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第5章 一難去っても、また一難
270★和輝は真奈と優奈に説明する
しおりを挟む和輝は優奈の言葉に頷き、次の指示を出す。
「そっか………なら、こいつらの身体をブラッシングして
全身を絞ったタオルで拭いておいてくれ
特に、足は丁寧にな…濡れたので拭いた後は乾拭きもしろよ
こいつらの足に、湿気は大敵だからな
それが終わったなら、優奈が作ったミルクババロアを
食べさせてもイイぞ
結構遊んだから、生クリームもOKだ
なんなら、クリームチーズを乗せてやってもイイぞ
アレだけ派手に遊んじまうと、3時間から4時間は
安静にさせないと、ご飯を食べさせてやれないからな」
そんな和輝に、真奈が不思議そうに聞く。
「なんで? 和輝兄ぃ?」
真奈の問い掛けに、和輝は理解しやすく説明する。
「それはだな、真奈
こいつらが、捻転を起こす可能性があるからなんだ
胃とか腸とかでな………要するに、胃や腸が捩れちまうんだ
特に、1番やっちゃイケナイのが、食べた直後に激しい運動な
それをやると、大概の犬が捻転になりやすくなる
ご飯という重いモノが胃や腸にある状態で激しく遊ぶと
その重量が体内で揺れるから、捩れるリスクあるんだ
勿論、激しく遊んだ後も、そういう捻転を起こすリスクがある
まだ、2頭とも若いから、そういうキケンはかなり低いけどな
年齢が上がるごとに、捻転のリスクは増えるもんなんだ
だから、用心にこしたコトねぇーってことで
〈サラ〉と〈レイ〉のご飯は、もう少し後な
ちなみに、そういう危険回避って意味で、車での旅行前や後は
安静にさせて、心身が落ち着いてからしか、しっかりとした
ご飯を食べさせられないんだ
それに、犬種によっちゃー………麻酔とかに弱くてな
ショック死する犬もいるんだよ
だから、胃捻転や腸捻転を起こしました、そんじゃ切り開いて
治しましょうって具合に、簡単に手術って訳にいかないんだ
よく、犬や猫を飼ったら、避妊や虚勢をしましょうって
簡単にいうヤツいるけどな、それって物凄いリスクなんだぜ
愛犬や愛猫が、麻酔で死ぬ可能性があるコトを告知しないで
よく、簡単に避妊虚勢させましょうなんてコト言えるよな
飼っている者にとっては、家族なのにな
それに、ついでに言えば、避妊虚勢すると、体内ホルモンが
狂って肥満になりやすくなるリスクもあるのにさ
避妊虚勢を、さも病気の予防みたいなコト言っているけど
俺としては、逆だと思うんだよな
そんなに避妊虚勢が良いってんなら、人間もすれば良いじゃん
必要になったら、冷凍精子や冷凍卵子で子供を作ればって思う
じゃなくて、とにかく、たっぷり遊んだ後は、細心の注意を
飼い主たる人間がしてやらないといけないんだ
ってコトで、クールダウン出来るように、全身を拭いてやれな」
「「うん、わかった」」
和輝の説明に納得した真奈は、優奈と共に2頭の身繕いをする為に、クシやバケツ、タオルを取りに走るのだった。
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