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第5章 一難去っても、また一難

267★《光珠》の結晶化を実演してみせました

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 見たことも無い薬?なので、そう決め付けて言う竜姫の、あんまりな言いように、和輝は疲れた声音で言い返す。

 「こぉ~ら…ひとをマッドサイエンティストみたいにいうなよ
  今、桜が飲んだモンは《光珠》の結晶化したもんだよ
  なんなら、お前にも見せてやるよ」

 和輝の言葉に、幼少期の体力の無い時に、それで弱い生命力を補ってもらっていた竜也がしみじみと言う。

 「あぁ~…なるほど………《光珠》かぁ~…懐かしいねぇ~……
  僕も小さい頃には、随分と和輝のお世話になったっけなぁ
  でも、結晶化なんてコトが出来るモノだったのかい? 和輝?」

 そう竜也に問われた和輝は、軽く肩を竦めてあっさりと答える。

 「ああ、必要にせがまれると、結構、出来るモンだぜ

  たぶん、竜也の時は、俺の《力》がまだまだお子様だったから
  足りなくて結晶化できなかったんじゃないかな……と思ってる

  でも、今はかなり身体も出来上がっているし………

  この屋敷の……例の紅い瞳の〔バンパイア〕の噂に反応して
  あの見境の無い狂信者集団が現われるだろうってコトは
  水鳥と啓太の話しを聞いて、すぐ判ったからな

  んで、必死になった………だから出来たんだと思う
  人間、必死になってやりゃーできるモンだ

  んじゃ…ちょっとやって見せるから、少し静かにしてくれ」

 「「うん」」

 「「「「了解」」」」

 妹達と友人達が頷いたのを確認し、和輝は丹田に《気》を集め始める。
 深い呼吸法へと変え、自分の身体のみならず、周囲に漂う、あらゆるモノから《生気》をかき集めて、丹念に練成する。
 そして、半物体に近い《光珠》にまで仕上げてやら、喉から口腔へ持ち上げ、舌の上で更に転がすようにして精製して行く。

 ふ~ん………昼休みの時よりも、簡単に結晶化していくのが判るぜ
 もしかしたら、結晶化をする度に、コントロールが上手くなって
 簡単に作れるようになってきているようだな

 ふむ、これば《光珠》の結晶化のコツを掴んだってコトかな?
 生きとし生けるものどころか、この地球自体の《生気》を集め
 結晶化できるようになるのも近いかな?

 舌の上に硬い結晶体の感触を感じ、精製が終了したのを確認してから、左手を口元へと運び、和輝は軽くフッと息を吐き、手の平へと《光珠》の結晶体を吹き出した。

 「ぅん…結構、上手くできたな………ほら、桜…これも飲めよ」

 そう言って、桜に差し出す和輝の手の平に乗っている結晶体を見て、その場に居た者は口々に感想を零れ落とす。

 「「うわぁ~…キラキラして…宝石みたぁ~い」」

 双子らしく、声をハモらせて言う真奈と優奈に、輝虎も双眸を見開いて頷く。

 「うん、確かに綺麗な宝石のようだ」

 桜の手の平へと躊躇い無く手渡す《光珠》の結晶体を見て、竜也はしみじみと言う。

 「本当に《光珠》を結晶化出来るようになったんだね
  和輝ってば凄いね

  出来れば、1つか2つ、僕も欲しいな
  確かに、今は子供の頃よりも、かなり丈夫になったけど

  何かで体調を崩すこともあるだろうからね
  ちょっとしたお守りとしてあったら安心だね」

 その言葉に、和輝は竜也が幼少期によく寝込んでベッドの住人と化していたコトを思い出し、少し苦笑して頷く。

 「ああイイぜ………っても、後でイイか?
  流石に、まだ結晶化に慣れてねぇ~んでな」











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