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第5章 一難去っても、また一難
266★桜用の特効薬があるんです
しおりを挟むちなみに、体力がずば抜けている和輝や竜也、輝虎や竜姫、やや4人よりは劣る乙姫でさえ、平然としていたりする。
そんな中、真奈が桜の異変に気付き、声を上げる。
「えっ? うわぁ~………和輝兄ぃ~大変だよぉ………
桜ちゃんの目が真っ赤だよ」
その声に、優奈も桜を振り返って、ちょっと青い顔をして言う。
「大丈夫? 桜ちゃん…ってお兄ちゃん、桜ちゃん震えているよ」
2人の言葉に、和輝よりも桜の側にいた竜也が手を伸ばして抱き上げる。
「どれ………ああ、完全に遊び過ぎだね、これは
桜ちゃんて、あまり体力無いのかい、和輝?」
竜也の言葉に、和輝は肩を竦める。
「だから、前に言ったろう
そこの〈サラ〉と〈レイ〉に、この屋敷からウチの近所まで
引き擦り回されて来たってさ
だから、桜の為の栄養分吸収力が良いスポーツ飲料が
欲しいっていったんだよ
ちょっと、身体とこころのバランスが悪くなってるようでさ
無理すっと、すぐにそうなるんだよ」
和輝の言葉に納得した竜也は、腕の中の桜を見下ろして、溜め息を吐く。
「そう、桜ちゃんは、体力がまだ戻りきってない状態なんだね
だから、ちょっとでも無理すると、こうなるってことか
ふむ、啓太、水鳥、桜ちゃんの瞳は充血して紅いだろ
これが、噂の紅い瞳の〔バンパイア〕の正体だよ」
竜也の言葉に、啓太と水鳥が納得という顔して頷く。
そんな中、和輝は竜也の腕の中で身体を震わせている桜に声を掛ける。
「桜、アレを飲んでおけよ、水も必要無いだろ
簡単に、口中で溶けるんだから」
和輝の言葉で、紅夜の写真がはめ込まれたロケットに入れたモノを思い出した桜は、少し貧血を起こしている為に、蒼褪めた顔色のまま、ホッとしたように頷く。
「うん、そうするわ
もう、身体がガクガクするのも、紅い瞳を隠すのもイヤだもの」
震える指先で、ペンダントヘッドになっているロケットをつまみ、中のモノを落とさないように手の平に大事そうに乗せて、パクッと口を開ける。
そこには、七色に輝くビーズが3粒入っていた。
桜は、3粒のうちの1番小さい、最初に和輝が作ったモノを、躊躇なく口にポイッと入れた。
はぁ~…ガチガチに萎縮してしまって、ガクガクしていた身体が
まるで温かい温泉にでも浸かったように、弛緩していく
あたこち痛くなっていたのに、和輝がくれた《光珠》のお陰で
身体の内側から波紋のように溶けていく
何かを飲んで、顔色が良くなった桜を見て、竜姫が安心したような声音で言う。
「あら、紅くなった瞳と青白い肌が、簡単に戻る薬があるのね
良かったわね、桜ちゃん」
竜姫の言葉に、身体の震えが消えた桜は、ホッとした表情で答える。
「うん、和輝が作ってくれたのよ」
にこにこして、問題発言をした桜に、竜姫はコメカミを押さえて、和輝を振り返り、溜め息混じりに非難する。
「和輝、新薬を、桜ちゃんで試すのは、問題よ
せめて、動物での臨床試験ぐらいは終わっているんでしょうね
それとも、竜也からの横流し薬なの?」
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