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第5章 一難去っても、また一難
265★ボルゾイと遊ぼう
しおりを挟む蓬莱家の当主たる白夜から、外出禁止をくらってしまったセイで、水鳥や啓太達の話しに、瞳をキラキラさせていた桜だったが、2頭のボルゾイと遊ぶ予定も入っていたので、嬉しそうに頷く。
「うん………フリスビーとアジリティーをして遊びたいわ
すぐに、爺やに連絡するわ」
そう言って、桜は太陽が西に沈み始めて、少し陽光が落ちてきた専用運動場に設置してある照明を、自動点灯するように連絡を入れる。
本邸と繋がるインターフォンを押して、桜は声を掛ける。
「誰かいますか? 爺や、いる?」
桜の呼びかけに、そこで待機していた爺やが、すぐさま出る。
『はい、桜様……どうかなさいましたか?
何が入用でしょうか?』
「爺や〈レイ〉と〈サラ〉の専用運動場に、自動点灯ライトを
入れてくれるかしら?
今日は、あのような者達が乱入してきたから………
散歩の代わりに、アジリティーとフリスビーで遊ぶわ」
『はい、わかりました
では、ボルゾイ専用の運動場に、ライトが自動点灯するよう
スイッチを入れておきますね
して。食事の方は如何いたしますか?』
ここ最近に加わった爺やの問い掛けに、桜はさらりと答える。
「和輝達と食べますから、用意しなくて良いわ
それでは、爺や、照明をお願いね」
『はい、かしこまりました』
爺やの返事を聞いて、桜はインターフォンの通信を切り、うきうきとしながら和輝を振り返る。
「専用運動場の照明が、自動点灯するように連絡したわ
アジリティーとフリスビーをしに行きましょう」
そう桜が言うと、大人しくお座りして、ジッと爺やとのやりとりを聞いていた〈サラ〉と〈レイ〉が、嬉しそうに吠える。
「「ウォンウォン……アッフ…アッフ………」」
勿論、ご機嫌で尻尾を振りながら、前足でタンタンと床を叩いてみせる。
そんな愛らしい2頭の姿に、優奈と真奈がきゃっきゃと嬉しそうな声を上げる。
「「やったぁー」」
それを見て、和輝は2頭に首輪とハーネスを装着させた。
普段は、綺麗な長毛が擦れて切れてしまわないように、ほとんど着けていないのだが………。
今日は、なんか人間も犬も変に興奮しているからな、二重にしとこ
こんなんでも、着けていれば抑止にはなるからな
はしゃぎ気味の桜と、優奈と真奈の3人に反応して、何時も以上にそわそわしている〈サラ〉と〈レイ〉に、ガッチリとしたハーネスに綱を付けた和輝は、桜に声を掛ける。
「んじゃ、桜………そのアジリティーがある運動場を案内してくれ
まだ、何処に何があるって、全体像を把握してないからさ」
和輝の言葉に、ご機嫌の桜が頷いて言う。
「うん………こっちにあるのよ」
楽しそうにペットハウスを出た桜は、軽い足取りで歩き始める。
そんな桜の隣りに、優奈と真奈が駆け寄る。
桜を先頭に、アジリティーがある専用運動場へと、全員で向かう。
当然、竜姫に乙姫、竜也に輝虎、そして、水鳥も啓太もいた。
勿論、ボルゾイ2頭の引き綱は和輝がしっかりと握っていたのは言うまでも無い。
そして、体育は結構平気で手を抜く水鳥も、フリスビーやアジリティーという、普段味わえないスポーツに、ボルゾイという超大型犬という、物珍しさが手伝ってか、汗をかくほど真剣に遊んでしまうのたった。
勿論、調子もノリもイイ啓太も、汗だくになるほど、2頭と走り回った。
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