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弟4章 狂信者集団と対決・前哨戦

237★流石に、見せられた状態では無いので………

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 爺やの言葉に、桜もコクッと頷く。

 「ええ、それは桜もそう思いますわ
  でも、和輝は、もっと冷たい感じがしましたのよ…あの和輝が

  だって、後々のちのちまで障害が残るようにって
  関節を外すとか言っていたのよ

  あやつら【狩る者】は、よほど和輝を怒らせるコトをしたのよ
  桜は、和輝に嫌われたくないわ

  だから爺や、和輝とその友人や幼馴染みの行動を邪魔しないよう
  屋敷の者達にキツク通達しておいて欲しいのよ

  屋敷に襲撃してきた、あの【狩る者】の集団を、和輝達の力で
  撃退できれば、桜達もしばらくは安泰よねぇ~………

  それに和輝のコトは、いずれ白夜兄ぃ様がみなに紹介すると
  おっしゃっていたわ

  和輝は、桜の一族への変化に必要な者だとお認めになったわ
  だから、みなによぉ~くそのコトを言い聞かせておいてね
  頼みましたよ、爺や」

 桜の言葉に、やっと話しが終わったコトを感じて、爺やは安堵の表情で頷く。

 「はい、わかりました」

 が、杞憂の尽きない桜は、溜め息混じりに言う。

 「特に蒼夜そうや兄ぃ様のお力で、お眠りになっている
  藤夜とうやお兄ぃ様には、気を付けてちょうだい

  あの憎っくき【狩る者】に、乗車中に強襲されなんて………
  その上で、精神と肉体に深刻な傷を負ったというのに
  ろくな手当ても出来なくて、いまだ傷跡は癒えないまま

  今は、蒼夜そうや兄ぃ様のお力で、深い安息の眠りへと
  沈められてはいるけれど…流石に、見られた姿ではないもの

  いくら、桜の変異に寛容な和輝でも、流石に…不味いでしょう」

 桜に言われて、爺やもハッとする。
 ここしばらく、平穏だったが為に、その存在を忘れていたのだ。

 そうですね………深き眠りの園で、蒼夜そうや様が施した
 《癒しの微睡み》によって、眠っている藤夜とうや様のコト
 すっかりと忘れておりましたよ

 いや、桜お嬢様への対応を考えますと、大丈夫かも知れないと……
 そう思ってしまうんですが…………
 今回は、ご友人と幼馴染みもいらっしゃるんですよねぇ……

 「はい、厳重に警戒しておきます」

 桜は、爺や僅かに動いたの表情から、地下室で深き眠りについている
藤夜とうやの存在を、綺麗さっぱりと忘れていたらしいコトを読み取り、桜は内心で溜め息を吐く。

 ああ…やはり……藤夜とうやお兄ぃ様のコトを忘れていた爺や
 なまじ、蒼夜そうや兄ぃ様のお力で、深き眠りに沈み、月に1度
 兄ぃ様達や姉ぇ様達が集めた《生気》を注ぐだけだから………
 仕方の無いコトかも知れぬが…和輝達にはバレ無いようにせねば

 「とにかく、頼みましたよ、爺や
  警戒するにこしたコトはないのですから………

  なんと言っても藤夜とうやお兄ぃ様にあれだけの重症を負わせ
  一族の先代の長たる、白夜兄ぃ様の父上を、虐殺した者共です
  あやつらの気配に反応して、藤夜とうやお兄ぃ様が、蒼夜そうや兄ぃ様の施した
  《癒しの微睡》から覚醒してしまう可能性とてあるのですから

  流石に、あの狂乱状態の藤夜とうやお兄ぃ様を和輝達に見られたら
  桜でも、うまく言い訳など出来ないわ

  いくら桜の異変に対しては、鷹揚で寛容な和輝だったとしても
  私達の存在を疑うかもしれないもの

  そうなった時、取り繕うコトも出来ずに敵になられては困るわ

  真族へと変異中の桜には、まだまだ和輝がくれる《光珠》や
  その結晶が必要なのよ

  なによりも、桜は和輝達に嫌われたくないのよ」









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