お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

第３章 蓬莱家で住み込みのお仕事

223★お迎え用登録を済ませたので、女性陣と交代します

　「車で待っていますよ…車に悪戯されたら大変ですから」

　和輝の言葉に、宇崎先生は軽く首を振る。

　「そう、残念ね…それじゃ、ここに身分証明書のコピーを……
　　住所…電話番号…携帯番号…メールアドレス………

　　それから、事務所で作った証明書のコピーを、この場所に
　　添付してね………で、ここに署名捺印ね

　　はい、これで生徒のお迎え登録しましたよ……はぁ～………
　　ごめんなさいねぇ～……

　　こんなに面倒な手続きをいちいちしなくても
　　貴方達は、私の生徒だったから…本当なら………」

　ぼやくように言う宇崎に、和輝は首を振る。

　「先生、規則は守った方が安全ですよ
　　それに、輝虎の登録も出来たから
　　俺としては良かったと思っていますよ」

　和輝の言葉に、宇崎は柔らかく微笑んで、おっとりと言う。

　「そぉ～…それじゃ…今度は、車で待っている有川さん達の分も
　　登録してもらっておこうかしらね………
　　ひさしぶりに、あの子達にも、会いたいから呼んでくれる」

　豪快なんだか？おっとりなんだが？という、相変わらずつかみどころの無い宇崎に、和輝は溜め息を吐きながら頷く。

　「わかりました、竜姫達にも登録してもらいます
　　ところで、宇崎先生、聞いて良いですか？

　　優奈と真奈を連れて来るのに
　　教室を空けてしまって、大丈夫なんですか？」

　ちょっと心配そうに言う和輝に、宇崎はクスクスと笑う。

　「あら、それは大丈夫よぉ～……手の空いている先生に
　　教室に居てもらっているからぁ～………

　　今日は、剣道部の先生だったかしらぁ～………
　　最近、変質者の噂がたえないから、先生達が付き添って
　　通学路の安全確保して、送り迎えもしているんだけど………

　　とうとう、狂信者までが集団で出没でしょぉ～………
　　親御さん達も色々と大変かもしれないとは思うけどねぇ～

　　迎えに来てもらうしかなくて、神咲君なんて特に大変よねぇ～
　　あの時に、狙われたのは、貴方達だったし………」

　宇崎の言葉に、和輝は肩を竦めて言う。

　「だから心配で、送り迎えをしているんですよ
　　あいつらに、見境なんてモンはありませんからね

　　………んじゃ…竜姫達を登録によこしますから
　　少し待っていてください」

　和輝がそう言うと、優奈を竜也が、真奈を輝虎が抱き上げる。

　それを見て宇崎は頷いて、優奈と真奈に手を振る。

　「じゃ、気を付けてね、神咲君
　　優奈ちゃん、真奈ちゃん変な人には気を付けるのよぉ～………

　　まぁ…貴方達は車だし、人数も多いから
　　そういう意味では安心だけどね……さようなら」

　「宇崎先生、さようなら」

　「はい、さようなら」

　そういう挨拶をして、優奈と真奈を連れて車に戻った和輝は、宇崎とのやり取りを竜姫と乙姫に話し、２人のお迎え用の登録をして、その証明書をもらって来るように言う。

　和輝の言葉に頷いた乙姫と竜姫は、さっさと自分の登録をしに、事務所へと向かった。

　その間にも、和輝のように車で迎えに来たらしい父兄が、来客用の駐車場へと車を停めて、やれやれという表情で、事務所へ向かう姿があったのは確かな事実だった。