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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

217★資金源の提供者は?

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 そういう竜也に、竜姫が悩ましげな表情で言う。

 「ねぇ~………和輝、竜也、あいつらの豊富な資金の
  出所って何処かしら?

  やっぱり、あんな得体の知れない狂信者集団を
  善悪の見境無く支援する者がいるってコトよね」

 竜姫の言葉に、和輝は肩を落として頷く。

 「うん、それも確かだよな、出所は、さっぱり判らないけどさ
  勿論、この日本国内をああやって自由に動き回れるんだ

  ソレが正しいと思い込んでいる支援者がいると思うぞ

  あの、どうみてもテロリストとしか言いようの無い
  反捕鯨船団に、資金提供するようなやからと
  同じような独断と偏見に凝り固まったやつらがな」

 和輝の言葉に、竜也も盛大に溜め息を吐いて言う。

 「いや、そういう意味じゃ反捕鯨船団に資金提供している方が
  まだ、真っ当かもよ」

 竜也の言葉に、そういうコトが大っ嫌いな竜姫が噛み付く。

 「どこがよっ………あいつらだって、テロリストでしょっ………
  実際、それで怪我人は出ているし、死人だって………」

 竜姫の言葉に、竜也は肩を竦める。

 「いや、あの反捕鯨船団で、海の警察を騙っている
  テロリスト達をかばうわけじゃないよ

  彼らの後ろにいる資金提供者達って
  日本の民間の漁船でも、魚群探知機使って

  潜水艦航行しているのを易々と捕捉できる
  日本船を封じ込める為って知っているからね

  反捕鯨船団の支援者は、自己利益の為?にやっているから

  あの狂信者集団の支援者とは、ちょっと違うかな?
  って、思っただけだよ」

 そんなやり取りを黙って、聞き耳をたてていた千尋や、級長の國枝に向かって、竜也は言う。

 「とにかく、千尋君が見た集団は、間違いなく8年前の集団だ
  あいつらは、危険な狂信者で、変質者だってコトは
  たしかな事実だからね

  あいつらは、女、子供、老人でも容赦しない
  1番危なくてタチが悪いやつらだってコトを
  君達も忘れないで欲しい

  千尋君が無事だったのは、ただ運が良かっただけなんだから
  遭遇しないように、気をつけてね

  はぁ~………僕は、真奈ちゃんや優奈ちゃんが心配だよ
  最近、小学校周辺に現われるって噂になっている
  変質者って、間違いなく、あいつらだろうからね

  たんなる幼児趣味の確率もあるけど………
  あいつらだと100パーセント生命に危険が及ぶからね
  ………ホント、なんとかしなきゃ………」

 心配げに吐息をついた竜也の言葉に、同感と頷いた和輝は、ハッとして腕時計で時間を確認し、首を傾げる。

 「あれ?………そう言えば、落合さん、どうしたんだ?
  この時間は、落合さんの授業だろう?」








  
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