216 / 446
第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
215★狙われる理由は………
しおりを挟む話しをふられた輝虎は、首を傾げてから、自分の瞳の色が感情によって簡単に変化するので、不可思議そうな表情で頷く。
「ああ………そういえば、俺も変わる………緑色だ
瞳が変化するなんて、ありふれているよな
なぁ~んだ、お前らもかよ
8年前に、朝露街に居なくて良かったな
乙姫と輝虎の言葉に、そんな感想を和輝が持っているわきで、何時でも、ごく標準的な位置にいる啓太が、ずるいと騒ぐ。
「えぇぇぇ~………俺も、変わりたいよぉ~………
なんか、俺だけ、仲間はずれはイヤだぁぁ~………
なぁ~水鳥ぃ~………お前も、仲間はずれはイヤだろう
なんとかいえよぉ~………」
啓太に制服を握られて、そう訴えられた水鳥は、珍しくすまなそうに答える。
「ごめんねぇ~…啓太……ボクの名前はねぇ…………
ボクの瞳の色からとったんだよぉ………
ボクが、無事産院で生まれた時ね
自分のコトだけでいっぱいいっぱいだった母さんは
名前のコトなんてなぁ~んにも、考えていなかったんだ
そこへ、お見舞いに来たお祖母さんがね
綺麗な翠色の瞳ねって言ったから~………
翠色からとって、水鳥って命名したんだって言ってた
はぁ~………あのまま、お祖母さんのもとに居たかったなぁ~
そしたら、ボクも、もっと真っ当に育ったかも………
寂しいのは、嫌いだ」
最後の方は呟くように言って、深く溜め息を付いた水鳥に、和輝は頭をボリボリする。
なんか、水鳥ンところも随分と複雑みてぇーだな
あえて、聞かないけれどな
人には聞かれたくない過去やなんかがあるんだから
それよりも、今はあいつらだ
「話しがだいぶ、本来からそれちまったけれど
千尋が見た集団ってのが、危ないやつらなのは確かだ
マジで、命の危険があるんだ、気を付けろよ
あいつらが使う武器は、ぜぇ~んぶ本物なんだから………」
改めて、クラスメイトに注意を促す和輝に、乙姫は小首を傾げて聞く。
「和輝君、瞳の色だけで〔バナパイア〕って
言われたわけじゃないでしょう?
他にも、何か要因があるの?」
乙姫の質問に、和輝はコクッと頷く。
「ぅん………ああ………俺達は、怪我して出血した時に
あんまり血液が流れ出ると貧血とかになるからって
筋肉の動きで血止めが出来るんだ
あとは、自分の《気》を活性化させて
早く治したりも出来る
ただ、あくまでも、応急処置的な行為だから
通常に回復させるよりも
急速に治癒させた場所の皮膚や筋肉などは
かなり弱いけどな
それでも、とりあえずの血止めがされていれば
動き回るのに支障はないだろう
それを、あの狂信者集団に見られたってわけさ
あいつらには、出来ないコトを俺達は出来るし
瞳の色も、日本人なのに変わるから、おかしいってな」
0
お気に入りに追加
371
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる