209 / 446
第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
208★和輝は不快な記憶を思い出す
しおりを挟む桜だって、白夜兄ぃ様や紅夜がそばに居なくて
寂しくてしょうがないのだから………
兄である和輝が帰宅しないために
あの可愛い双子が、兄の和輝を思って
寂しさをつのらせているのは、桜もわかるわ
それでも、真族への変化に入った為に
精神的にも、肉体的にも、不安定な状態の上
膨大な量の《生気》が必要な、今の桜には
和輝という存在が必要不可欠なのよ
それに、桜は和輝の友達を見てみたい
紅夜や白夜兄ぃ様、爺やとかは心配するけど
私は、和輝が連れて来るだろうお友達や
真奈ちゃん優奈ちゃんと一緒に
〈サラ〉と〈レイ〉と遊びたいもの
「ううん…今日の夜から、真奈ちゃんと優奈ちゃんが
遊びに来るなら、桜は嬉しいわ
一緒に、フリスビーをしたり
アジリティーの真似をして競争するとか
ゲームしたりとか…くすくす…色々と楽しめるわ
桜は、和輝のくれた《光珠》の結晶があるから
心配しなくても大丈夫よ
だから、2人を連れてきて欲しいわ
だって、大好きな兄と離れて生活するのは
可哀想だもの………
でも、桜は和輝に居て欲しいから、この辺りで
妥協するから、真奈ちゃんと優奈ちゃんの
2人には許して欲しいのよ」
ああ、桜って本当18なんだなぁ~………
他人を思いやるコトが出来るんだから
でも、生来の我が侭はなおす気はないってことだな
まっ…しょうがねぇ~かぁ……
う~ん…なんかなぁ~……こう…妙に…
引っかかるモンが…あるんだよなぁ~………
何がどうって……言葉には言い表せないんだけどなぁ…
はっ………ああ…そうだ……今朝の視線だ
あれは…そう…あの陰湿で粘着質的な視線は…
8年前の…はた迷惑なアレ……思い出すんだよなぁ……
値踏みでもするような、全身を這い摺り回るような
あのいやぁ~んな、視線………
アレが、8年前のはた迷惑なあいつらと
同じ集団の視線だとすると………マジでヤバイな
体調の悪い状態の桜の瞳の色は………
そう……まるで動植物が発現する
色鮮やかな、警戒色や警告色のように
深紅に変化するからなぁ………
それになぁ…瞳の色だけで言うんなら
即、あいつらのいう【バンパイア】……って
コトになりかねないもんな~……はぁ~迷惑
いや、マジで…あの狂信者の群れは
思い込んだら一直線だから…すげぇー迷惑だぜ
めっきり杓子定規の上、全然融通は利かないし
常に自分達は正しいと………
神に選ばれた者だから、自分達がするコトは
神意《しんい》なのだと思い込んでいる
妄想の激しい狂信的な集団だからなぁ~………
それに、啓太と水鳥が妙に言葉を濁している
この屋敷の噂もあるし………
これは、一大事だからな…学校に帰ったら
さっそくあいつ等に聞いてみよう
昨日は、この屋敷にかんする噂を聞く前に
あいつ等に逃げられちまったからな
なに、今回はまだ午後の授業もあるから
逃げられる心配は無いからな
あいつ等………特に、他人を容易に信用しない
水鳥と違って、警戒心の薄い啓太なら………
ちょっとカマかけすりゃ~………ボロッと
俺の質問に答えるに決まっている
だいたいの想像は付くけど
出来れば、そうでないとイイなぁ~はぁ~
俺なりに、状況を確認した上で
今、この屋敷が置かれている状態を
桜に教えた方がイイかどうか、判断しよう
そうこころに決めた和輝は、真奈や優奈が遊びに来るコトへの嬉しさに、顔を綻ばせている桜に、内心を隠して、表情を緩めて言う。
「サンキュー…桜…気遣いさせて悪いな
流石に、またまた妹達も小学生だから心配で…
っと………そろそろ時間か?
んじゃぁ俺は、学校に戻るわ
そんな顔すんなよ
なるべく早く帰ってくるように努力するからよ」
軽く手を上げて、部屋から出て行く和輝に、桜はコクッと頷いて言う。
「うん、待っているから、妹達2人と
和輝の友達を連れて帰って来るのよ
桜は楽しみにしているわ」
「あいよ」
ちょっと寂しそうにする桜に、和輝はクスッと笑って頷いて部屋を出た。
部屋を出た和輝は、ペットハウスに横付けした車を車庫へと戻し、大きい車に乗り換えて、学校へと向かった。
10
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
あやかし第三治療院はじめました。
にのまえ
キャラ文芸
狼環(オオカミ タマキ)はあやかしの病魔を絵でみつける、病魔絵師を目指す高校生。
故郷を出て隣県で、相方の見習い、あやかし治療師で、同じ歳の大神シンヤと共に
あやかし第三治療院はじめました!!
少しクセのある、あやかしを治療します。
〈完結〉続々・50女がママチャリで北海道を回ってきた・道南やめてオロロン逆襲のちにスポークが折れてじたばたした話。
江戸川ばた散歩
エッセイ・ノンフィクション
北海道を7月にママチャリで回ること三年目。
今回はそれまでのマルキンのママチャリでなく、ブリヂストン様のアルベルトロイヤルで荷物をしっかりしたバッグに入れて積んでみました。
するとどんなことが起こったか!
旅行中に書いたそのまんまの手記です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
白鬼
藤田 秋
キャラ文芸
ホームレスになった少女、千真(ちさな)が野宿場所に選んだのは、とある寂れた神社。しかし、夜の神社には既に危険な先客が居座っていた。化け物に襲われた千真の前に現れたのは、神職の衣装を身に纏った白き鬼だった――。
普通の人間、普通じゃない人間、半分妖怪、生粋の妖怪、神様はみんなお友達?
田舎町の端っこで繰り広げられる、巫女さんと神主さんの(頭の)ユルいグダグダな魑魅魍魎ライフ、開幕!
草食系どころか最早キャベツ野郎×鈍感なアホの子。
少年は正体を隠し、少女を守る。そして、少女は当然のように正体に気付かない。
二人の主人公が織り成す、王道を走りたかったけど横道に逸れるなんちゃってあやかし奇譚。
コメディとシリアスの温度差にご注意を。
他サイト様でも掲載中です。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎ 〜Romance in Abū Dhabī〜 【Alphapolis Edition】
佐倉 蘭
キャラ文芸
都内の大手不動産会社に勤める、三浦 真珠子(まみこ)27歳。
ある日、突然の辞令によって、アブダビの新都市建設に関わるタワービル建設のプロジェクトメンバーに抜擢される。
それに伴って、海外事業本部・アブダビ新都市建設事業室に異動となり、海外赴任することになるのだが……
——って……アブダビって、どこ⁉︎
※作中にアラビア語が出てきますが、作者はアラビア語に不案内ですので雰囲気だけお楽しみ下さい。また、文字が反転しているかもしれませんのでお含みおき下さい。
笛智荘の仲間たち
ジャン・幸田
キャラ文芸
田舎から都会に出てきた美優が不動産屋に紹介されてやってきたのは、通称「日本の九竜城」と呼ばれる怪しい雰囲気が漂うアパート笛智荘(ふえちそう)だった。そんな変なアパートに住む住民もまた不思議な人たちばかりだった。おかしな住民による非日常的な日常が今始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる