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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

203★何気ない日常?

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 「おはよう、和輝」

 「むぅ…おはよう」

 「ああ、おはよう
  竜也、輝虎」

 自分の席で待っている2人に声をかけた和輝は、机の上にバスケットふたつを置き、カバンをサイドにあるとってにかける。
 そこに、乙姫を連れて竜姫が現れる。

 「おはよう、和輝」

 「おはよう、和輝くん」

 「悪かったな、昨日は
  時間が無くてな

  詳細は、竜也達から
  聞いたろう」

 和輝の言葉に、竜姫が頷く。

 「ああ、聞いた聞いた
  ……と、なんかイイ匂い
  するんだけど………」

 目ざといというか、鼻が利く竜姫の言葉に、和輝はクスッと笑う。

 「とりあえず、座れよ
  乙姫、竜姫

  今日は、朝焼きたての
  パウンドケーキが
  あるんだぜ

  まだ熱々なんだ

  ホームルームまでの
  時間もあるし

  せっかくだから
  温かいうちに食べようぜ

  勿論、紅茶セットも
  持参しているからさ」

 ある意味、桜に雇われてから、なにげなく贅沢になった和輝であったが、そんな自分の変化には気付かなかった。
 勿論、それをお相伴している竜也達4人も………。

 紅茶を入れて、パウンドケーキを切り分けていると、水鳥と啓太が教室に入ってくる。
 和輝達の優雅なお茶会を目ざとく見付けて、例によって騒ぐが、何時ものコトなので、誰も反応らしい反応はしなかった。

 あとから加わる、仲の良いクラスメートに、持ってきたパウンドケーキを切り分けて配る。

 そして、なごやかな雰囲気でお茶会を楽しんでいると、ホームルームのチャイムが授業の準備をしろと鳴ったのだった。
 チャイムと同時に、何時ものように落合が元気に教室に入ってきて、生徒達はワラワラと着席し、なんら通常と変わらない日常が始まる。

 午前中の授業が終わり、昼食の時間、和輝達は例によって屋上に集まっていた。
 なんといっても、1番の成長期だけあって、誰もがアッと言う間に昼食を食べてしまう。
 和輝は、カラになったタッパーを集めて、バスケットにしまい込む。

 「ねぇ~…和輝……
  やっぱり、今日も
  あの屋敷に行くの?」

 竜姫の質問に、全員が和輝に注目する。

 「ああ………やっぱり
  ボルゾイは可愛いしなぁ………

  それに体調を崩した桜は
  外出禁止くらったんだわ

  職務に忠実な爺やさんから
  ボルゾイに引き摺りまわされて

  体調異変を起こすほどの
  疲労したコトをさ………」

 「体調異変」

 「ああ、俺達だって
  何かで興奮したりすると
  目の色が変わるだろろう

  桜の場合はさぁ………
  おもいっきり充血して
  真っ赤になるんだわ

  夜中に筋肉痙攣おこして
  大騒ぎに………っと

  そうだ、今日こそは
  スポーツ飲料を買っていこう

  っと、そう言えば俺、最近
  新聞も見てねぇ~から
  広告も確認してないんだよな

  どっかで、スポーツ飲料の
  安売りとかしてなかったか?

  竜也、輝虎?」

 和輝に聞かれた竜也が反応する。

 「ああ、それだったら
  今日オープンするお店があったよ
  デカデカとした広告が入っていたから

  ジュースからお酒までの
  飲み物中心のお店だったよ」

 竜也の提供してくれた情報に、和輝は喜ぶ。

 「おっ…ラッキーじゃん……
  ジュースは、色々な
  生の果物があるから絞れば良いし

  酒もそこそこあるから
  いいんだけどさぁ~………

  流石に、スポーツ飲料は置いて無くてよ
  困っていたんだよ

  っと、それじゃ、俺はお仕事に行って来る」

 そう言って、和輝は二つのバスケットを持って駐車場へと走って行った。

 
  








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