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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事
200★《光珠》の結晶化を試みてみよう‥‥‥
しおりを挟む〈レイ〉と〈サラ〉に、ご褒美のクッキーを与えた後、和輝は自分と桜が使用した食器を洗浄機へと放り込む。
ホント、ここって便利なモンがいっぱいで
俺としては楽しい限りだよなぁ~‥‥‥
どうせ、荷物も多い(お弁当類で)から
車で学校に行く予定なんだし‥‥‥
まだ、時間はかなのあるしなぁ‥‥‥
食器洗浄機が稼動している音を聞きながら、和輝は用意だけはしておいたチーズケーキ用の材料と、チョコレートケーキ用の材料を、それぞれ手際良く混ぜて、型に流し込む。
少し持ち上げて、トントンと軽く落とし、型に入れたときに入り込んだ中の空気を抜く。
そうしないと、変な空間が出来て、均等に焼き上げられないからである。
そして、そのまま少し置いておいて、和輝は先刻焼きあがった3種類のジャムをそれぞれ練りこんだパウンドケーキを、台の上に置いていく。
う~ん‥‥もう少し荒熱がとれねぇ~と‥‥‥
型から出すのはなぁ‥‥‥
あぁそうだぁ~‥‥‥
いくつかは、洋酒を振り掛けるか?
つーとぉ‥‥‥ブランディーか‥‥‥
シェリー酒をまぶして‥‥‥
芯まで染み込むように、寝かせるかな?
そう思いついた和輝は、いそいそと振りかける為の洋酒を、ズラッと洋酒のビンが並んだ棚の中から、わりと安価そうなモノを出す。
たぶん、この辺にある洋酒のビンは
普通に、スーパーやコンビニでも
見かけたことあるヤツだから‥‥‥
まぁ、そこまで高いモンじゃねぇ~だろう‥‥‥
うん?‥‥‥ああ、ちょうど生地が
良い感じに落ち着いてきたな‥‥‥
ケーキの生地の状態を確認した和輝は、既に余熱を入れて用意しておいたオーブンに、良い感じに落ち着いた生地を入れる。
まず、チョコレートケーキを入れて
それから、チーズケーキのも入れて
ピッピッピッ‥‥‥と、これでOKだもんな
ホント‥‥‥ここにあるオーブンって
料理の種類と時間をセットすれば
それでOKだから、便利だよなぁ~‥‥‥
そのお陰で、時間短縮も出来て
数が出来るからおもしれぇ~よな
でも、コレが終わったら‥‥‥
桜に《光珠》をあげて、学校だ
はぁ~‥‥‥実は、まだ‥‥‥ちょっとただけ
ためらいがあるんだよなぁ~‥‥‥
俺が作る《光珠》は‥‥‥まだ、気体‥‥
それを、もっともっと熟練すれば
気体を練るコトで、結晶化させて
物質化するコトもできるって‥‥‥
もう、随分と昔にだけど‥‥‥
お師匠様に言われたんだよなぁ~‥‥‥
あの人、今は何処を彷徨ってんのかな?
はぁ~‥‥‥俺、そこまで《光珠》の
鍛錬ってモンをしてねぇからなぁ~‥‥‥
必要に感じてなかったから‥‥‥
今更感たっぷりだよなぁ‥‥‥
まさか、結晶化した《光珠》が
必要に感じるなんてなぁ‥‥‥
まぁ‥今から鍛錬するのも
遅くないかもしんねぇ~から‥‥‥
少し《光珠》を結晶化する
訓練をしてみっかなぁ~‥‥‥
そうすりゃ~‥‥‥いざってー時の
安心に繋がるモンなぁ‥‥‥
もし、結晶化できたら‥‥‥
ペンダントにでも入れて
首からさげてもらおうかな?
そういうコトを考えながら、和輝は双眸を瞑って、腹に両手を軽く置いて、丹田に光りを集めるイメージをする。
光りがゆるゆると集まる感覚を感じた和輝は、集まった光りの粒子のようなモノを更に掻き集める。
そして、ソレを丹念に練り上げるイメージを光りの粒子体へと注ぐ。
まるで、小豆からこしあんを作る時のように、じわじわと余分な水分を抜き、水分に溶け込んだ小豆の粒子を練るイメージで、ソレを行うコトを試みる。
《光珠》を作る過程で、何時もよりかなり丹念に練り上げた光りの粒子体を、腹腔から胸部、そして喉元へと押し上げて来る。
その最中にも、光りの粒子体から余分なモノを漉して、螺旋を描くように練り上げる。
ちょうど、喉元から口腔へと上がって来たところで、意識を集中して、再度の結晶化を試みる。
何時もより濃度を濃くした《光珠》の粒子体をキュッと凝縮させた瞬間、和輝は脳裏にハレーションが炸裂するのを感じた。
一瞬だけ意識が途切れかけたが、ふぅ~と無意識の呼吸をして正気に戻る。
途端に、口腔に違和感を感じて、和輝は不可解そうな表情を無意識に浮かべる。
そう、なんかジャリッとした、硬い小さなモノの感触を、舌上に感じたのだ。
ちょうど、砂抜きに失敗したアサリのお味噌汁の最後を飲んだ後のように‥‥‥。
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