異世界に引っ越しする予定じゃなかったのに

074★安全第一の為に、頑張ります

　「はぁ～………それでいくと
　　やっぱり残りの三家の公爵家も

　　辺境伯爵家の【エトランジェ】では無く
　　マリエとの婚姻を望むな」

　イザーク、それって、マジですか？
　まるっきり私の予想通りなんですけどぉ………。

　これじゃ確実に夫の数が増えますね。
　公爵家も、私は何れコンプリートする予定ですけど。

　自分でも打算的だって思いますが、この常識が違う異世界で身を守る生きた盾は、身分が高い夫達ですもの。

　だって、自分で働いて自分の口を拭うってコトを、私は許されない立場なんですから………滅茶苦茶不本意だけどね。

　だったら、私を守って養ってくれる夫を求めてしまいますよ。
　チキンハートの元が平民のモブでチビでブスでデブ………げふんげふん………ぽっちゃりな私は、綺麗な貴族令嬢達に苛められる存在ですから………。

　身分格差は養女になっても、侮られる理由になります。
　これは、どうしようもないから、諦めます。

　でもね、守ってくれる夫を沢山必要としていても、ラノベあるあるの獣人との蜜月を考えると………ここは、軽く拒否しておきます。

　これ以上は、夫が増えて欲しくありませんので………。
　蜜月って、ラノベだと夫達とアレをやりまくる期間なんですよね。

　夫達の人数は、少なければ少ない程、私の負担が減ると思います。
　だから、常識があって貞淑な私のイメージ通りの言葉でやんわりと拒否しますよ。

　命は大事に使えば一生使えるって思っているんです。
　だいたい獣人って、ラノベあるあるによると、嫉妬深くてＳ気質で絶倫で監禁したがりって設定なんですよね（号泣）。

　ウォルとエドは、狼の獣人なのに、その兄達は、獅子の獣人。
　アルブとアーダは、獅子の獣人。

　アッシュやイアンは、雪豹の獣人。
　イズライールとイシュトバーンも獅子の獣人。

　ウルフレッドとウィザードリも獅子の獣人。
　皇子様達って、獅子の獣人が基本みたいですね。

　皇族の血を引くのに、狼の獣人であるウォルとエドの方が珍しいと思いましたよ。
　皇女様達って、豹の獣人が多いと思いました。

　お義母様とヴレンシュタイン公爵夫人は、豹の獣人ですからね。

　思わず現実逃避をしてしまいました。
　モブでブスでぽっちゃりなイジメられっ子の私が、乙女ゲームの逆はーモドキなんですよ。

　それも絶倫設定の多い獣人が６組で１２名って、私は自殺願望があるのと一緒な気がしてきました。

　これからの生活………おもに夜のコトを考えたら、涙が溢れて止まらなくなりそう（頑張れ私）。

　絶対に夫達に抱き潰されて、私は疲労困憊からベッドから出られない生活が待っていそうです（ガクブル）。

　子供を妊娠するまでは、ガンガンいくよって言われそうです（号泣）。

　ここは、ウォルやエド達の子供を産んだ後なら、残りの公爵家の人達と結婚しても良いけど、今はお断りするしかありません（我が身大事に）。

　気弱でことなかれ主義のイヤと言えない日本人ですが、今後の生活の為にはっきりと拒否してみせます（頑張れ私）。

　「えっ、だって、色々な男達と
　　関係を持つのはいけない

　　って言うんだから
　　それはパスしたいわ

　　だって、今でさえ婚約者が
　　６組１２人なのよ

　　公平に平等に扱うって考えると
　　大変だもの」

　「そうだね
　　マリエの言う通りだと思うよ

　　残りの公爵家は
　　こちらに打診があったら
　　考えれば良いと思うしね

　　もしかしたら
　　水面下で、婚約者候補が
　　いるかもしれないから

　　それに
　　アッシュやイアン達と違って
　　約定は無いし

　　血統も俺達の関係ほど近く無いしね

　　それよりも
　　婚約誓書を交わしておこう」

　私の発言に、ウォルが苦笑しながら頷いて提案してくれました。
　その相変わらずぶれない優しさに、ほっとします。

　そんな私をよそに、弟達を守るという意思を持って、アルブが言います。

　「ああそうだね
　　父上、弟達の分の用意はあるのですか？」

　アルブもアーダも皇子様って立場と、兄って立場に従って行動しているんですね。
　それに答える皇太子殿下は、にこにこ笑って言い返していますよ。

　「ここにあるから大丈夫だ」

　皇太子殿下は、侍従から手渡された綺麗な箱から、羊皮紙を数枚取り出してひらひらさせながら言いました。