上 下
40 / 85

040★理性と感情は………でも、納得するしかないんですよね

しおりを挟む


 ウォルもエドも、私にべた惚れって感じて言い募ってくれました。
 何かアスタール伯爵家の男って哀れかもって思うわ。

 こんなちんくしゃな私に、夢中なんだもの。
 私は、ウォルとエドに守られてのほほんと暮らせば良いのかな?

 でも、悪役令嬢ものや異世界転生ものでは、貴族の令嬢や夫人が、夫や家の為に、情報を集めたり情報操作したりするのを読んでいたから………。
 ちょっといやかなり不安なんで聞いておきますよ。

 「私は、こっちの常識は疎いし………
  貴族としての社交なんて出来そうに無いわよ」

 「必要ないよ。社交も俺達がするからね」

 「俺達に任せてくれれば良いんだよ」

 あれれ?これってラノベあるあるとかと全然違いますよ。
 う~ん…あっ…そっかぁ~…こっちでは、男女比が1対1じゃないから、夫達の誰かが情報収集や情報操作をすれば良いんだわ。
 女に余計な負担を掛けさせたりしないんですね(ラッキー)。

 子供が生まれ辛い世界だし、女の子は一家に1人か2人の割合でしか生まれない。
 その上で、流行病に魔物被害っていうどうしようもない事態で、子供も大人も呆気無く死んでしまうハードな世界(怖)。

 だから、女性のストレスは出来るだけ減らして、こころ穏やかになってもらい子供を沢山産んでもらうっていうスタンスなのかもしれないわね。
 なんて思っていると、エドが話し掛けてくる。

 「そう、マリエの世界では、女も男と同等に責任を持つけど
  こっちでは、子供を産んで育てるっていう

  男には絶対に出来ないコトをするんだから
  他のコトは、夫達がするものなんだよ」

 なんとなく、その言葉に反論してみる………天邪鬼な私です。
 ついでに、自分で働いて生活するっていう普通の生活に、かなりの未練があったから………。

 だって、ファンタジーな異世界なのに、異世界転移なのに、ラノベあるあるの冒険者になれないなんて、すっごく残念なんだもの。
 そう母みたいに、イケメンの父に捨てられた時に生きていける様に、手に職が欲しかったの。

 こっちの世界では無理だって、頭というか理性では理解していても、日本での常識が邪魔をするわね。
 アスタール伯爵家の正式な養女の私が、どうやったって働けるはずがないってわかっていても………。
 いまひとつ信じきれないわ。

 だって、私はチビでブスでデげふんげふんぽっちゃり子の一般小市民なんだもの。
 いっくら貴族令嬢としての教育をされても、知識はあってもこころがついていかないの。

 「でも、侍女とかしている………」

 私の反論にウォルが、黒いオーラをまとってきっぱりと宣言してくれます。
 なんかちょっと怖いわ。

 「マリエとは身分が違うんだよ
  何度も言うけど【エトランジェ】なんだよ、マリエは………」

 キター………これは、伯爵家筆頭という高位貴族としての極自然な傲岸不遜と俺様のダブルコンボです。
 俺様なウォルもエドも眼福です、尊いです、このスチルが欲しいわ………ご馳走様です。

 なんて思っていると、まだ話は続きます。
 今度は、エドが言い募ってくれてますよ。

 「俺達に、可愛い女の子それも《魔力量》の多い子を
  産んでくれる存在なんだよ

  勿論、男の子の《魔力量》も多いから
  宮廷魔術師長官を代々輩出している我が家には
  とってもありがたいお嫁さんなんだよ」











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

異世界転生したら幼女でした!?

@ナタデココ
恋愛
これは異世界に転生した幼女の話・・・

【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。

櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。 ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。 気付けば豪華な広間。 着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。 どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。 え?この状況って、シュール過ぎない? 戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。 現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。 そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!? 実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。 完結しました。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです

狼蝶
恋愛
 転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?  学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

処理中です...