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030★貧乏人には、計り知れない世界です
しおりを挟むそれを聞いて、私はほっとしました。
だって、私のデビュタントとウォル達との婚約発表が、メインの予定なんですもの。
そして、帝都のアスタール伯爵家の館に落ちついたら、お茶会と夜会をして、2週間後には、皇帝陛下主催の夜会で、私は取り巻き令嬢達と一緒にデビュタントをします。
この計画を聞いた時、思わずマジかよって口に出しそうになりましたね。
私をお空に帰して………なんて、思っちゃいました。
でも、今まで作ってもらって、1回しか着ていないドレスが詰まったクローゼットを思い出した瞬間、この家の嫁になって、バンバン子供を産むしか無いって決心しましたよぉ~………(号泣)。
ドレス1枚が、比較的簡素なお茶会用のドレスですよ、それが日本円で平均10,000,000円前後するって聞いたとき、魂が口から飛び出していましたよぉ~(号泣)。
ドレスに合わせたアクセサリーなんて、30,000,000円~50,000,000円って聞いて、我ながらよく倒れなかったって自分を褒めましたねぇ~………(号泣)。
私の前にこの家で世話になった【エトランジェ】の人達………。
この人達も常識や金銭感覚の違いに苦悩したと思います。
それとも、華族とか財閥の令嬢達で、私みたいな苦悩をしない金銭感覚だったんでしょうか?
でも、そんな人達が、ここに来る可能性よりも一般市民がここに来る可能性の方が高いと思います。
ラノベとか乙女ゲームのヒロインが、お世話してくれたというか、構ってくれた皇子様達と結婚しているのって、きっと私みたいに、ドレスやアクセサリーの金額にビビッて、恩返しに結婚したんだと思いますよ。
いや相手が超絶美形っていうのも、あったと思いますけどね………ほぼ確実に。
色々と現実逃避しても、つい遠い瞳をして空を見上げます………。
私には、それしか出来ませんでした。
ウォルやエドに言わせると、宝石鉱山も領地内にあるからそんなに高くないって言うんですよ(爆)。
それも、にこにこ笑って地産地消って言うんです………なんかおかしいです(涙)。
一般小市民以下って言うか、底辺に近い母子家庭出身の私。
はっきり言って貧乏なんです………貧乏暮らししてたんですよ。
それなのに、ウォル達ってば貴族というか伯爵としても、滅茶苦茶裕福なアスタール伯爵家の御曹司の金銭感覚って………どうやっても合いませんよ(爆)。
もう何をどう言ったら良いかわかりません(号泣)。
ちなみに、バカっ高いスパイダーシルク、サーペントシルク、アーントシルク、ワームシルク等、極上の魔物から取れるシルクは、基本的にエドとウォルが冒険者をしていて獲ったものだから、ただだよって言ってくれました………自前で獲ればタダって………(きゅぅぅぅ~彷徨い)。
その時、違う、それ絶対に違うからぁぁぁぁぁぁって、言いたかったけど小心者の私は、何も言えませんでした。
だって、2人とも嬉しそうに笑っているんですもの。
こんなコトを考えていても、馬車から降りるしかない状態になりましたよ。
いや、城壁を歩いて潜ってみたいって、事前に言っていたんです。
言わなきゃ良かったって、後悔しても始まらないので、気合を入れます。
くだくだ考えている間に、転移門を潜って帝都に着いて、今、私達はアスタール伯爵家に向かう為に帝都の城壁を見詰めていますので………。
結構な高さのある城壁ですね。
あの高さがあるなら、厚みもかなりあると思いますよ。
我が侭を言った私の為に、ウォルとエドが馬車から降りて私を迎えに来ています。
うふふ………私をエスコートする為にですよ(爆)。
門番の皆さんごめんなさいね。
帝都に入る為に順番待ちしている一般市民の皆さんとは違う、貴族専用の門を使っているのでそこまで迷惑は掛けていないと思います。
御者が降りて、私の為に収納されている階段を出しているようです。
馬車の窓に顔を近づけて見るのもはしたないそうなので、残念ながら遠くを見るなんて出来ませんよ。
勿論、前アスタール夫妻達の乗る馬車で見えないからと言って、馬車の窓から顔を出すなんてご法度ですしね。
あぁ~貴族って不便です。
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