上 下
18 / 85

018★手に仕事を持ちたいんです………イエス、自立したいんです

しおりを挟む


 エドもウォルも困った顔をしているけど、私も困ったしまう。
 もしかして、これが、常識の違いによるものならどうしようもないわ。

 「えっとぉ~」

 私の手を取り指先に口付けしながら、ウォルが首を傾げながら言う。

 「なんて説明すれば良いのかなぁ~………
  この世界で、女性の生まれる割合は
  男性よりもちょっと低いんだ」

 そのしぐさも、話してくれた内容も、私には受け入れ難かったわ。
 頭の中には、はぁ~なんですとぉ~……という対処不能な思いが踊っていたの。
 それなのに、エドも同じように私の手を取って、指先に口付けしながら補足説明をしてくれる。

 「国にもよるけど、男性5人に対して
  女性は、3人以下なんだよね」

 2人の説明を併せると………この世界の女性は、マジもんで少ないらしい。
 何処のラノベの世界なの?って思うわ。

 ありえないわ………だって、ここに来た時に、お出迎えの侍女さん達がけっこういたもの。
 どうか2人のくれた情報が、冗談でありますようにと祈りながら、私は質問する。

 「えっ? そんなに女性は少ないの?」

 そんな私を、気の毒そうな表情でウォルが答てくれる。

 「そうだね、少ない国では
  男性3人に対して女性が1人かなぁ~………」

 次にエドが、本当に困ったなぁ~という表情で説明してくれる。

 「それは、平時だろう
  戦争時や流行病があると

  もっと女性の割合は
  減る傾向にあるよな」

 なんなのその男女比率はぁ~………マジですか?
 3対1でも、少ないと思うのに、流行病でもっと女性が減るんですか?

 そうねここは、剣と魔法の世界だよね。
 治癒魔法やポーションがあるから、医療技術が発達しないのね。

 たぶん、病気に対しては、ポーションとか薬草を煎じて飲むって以外の対処方は無いんだと思う。
 病気に対する考え方が違うから、ワクチンも無いだろうし………。

 なまじ、便利で万能な治癒魔法とポーションがあるから………。
 ラノベを思い出して、私は、この世界がおかれている医療事情を想像して死んだ魚の目をしてしまう。

 そこで、医療事情をポイッと捨てて、私は女性が出来る仕事について聞いてみるコトにした。
 できるコトをやるっていうのが、異世界転移した人間の処世術よねなんて思いながら………私は2人に質問する。

 「だったら、女性の仕事は?」

 私の質問にウォルが、苦笑しながら答えてくれた。

 「あんまり無いよ

  侍女や乳母、家庭教師に巫女や
  女神官とかかなぁ~………」

 うっそぉぉぉ~………マジでぇ~………。
 それ以外の言葉が出てこない。

 それって、女性は家に居て引きこもり生活する人が、大半だって言うコトじゃないのぉぉ~………。
 いやいや、落ち着け私。

 侍女って職業があるなら、洋服のデザインをするとか、縫製の仕事とか、機織するとか、レース編みをするとかって、色々と家の中でする仕事もあるじゃないの。

 平民の農家なら農作業するとか………。
 牧畜なら、乳搾りや餌やりもあるよね。

 それと、チーズやバター、それにヨーグルトや生クリームを作る作業とか色々とあるよね。

 きっとやっているよね。
 そう思いながら、私は2人に懲りずに質問する。

 「洋服のデザインとか
  服を縫ったり、機織とか

  レース編みに刺繍とかって
  仕事としてあるんですか?」

 2人に女性が少ないって説明されてから、私は涙目になっていたらしい。
 だって、2人して私の目尻や頬に口付けするんだもの。

 いっやぁ~いたたまれないから、モブの私に2人と何するんですかぁ~………(号泣)。
 もう勘弁してぇ~私のHPは、限りなく0に近いんですよぉ~やぁ~めぇ~てぇ~………(爆)。

 乙女ゲームの攻略者並みの美形が2人して、背景でしかないモブの私にヒロインにするようなコトをしないで下さいよぉ~いたたまれないわ。

 でも、女性が少ないなら、これもありなのかしら?
 そんな腐った考えはおいておいて、真面目にこの世界の女性の立場を聞いてみるしか無いわね。
 
 「あっあの………」

 口ごもってしまった私に、ウォルが優しく微笑んで甘い声で囁いてくる。

 「家の中では、それぞれの仕事を
  手伝っているかも知れないね」

 うっきゃー何処の乙女ゲームなのぉ~………いちいちこれじゃあ、私の精神や神経の方が持たないわぁ~………。

 どこぞのラノベに出てくる、イエスロリータノータッチの精神で、私に接して欲しいと切に願います。
 そう、見るだけにして………いや、それでもモブにはツライけとね。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

陽キャの俺、ぜか毎回美女を落としてしまう ~「行動力」と「優しさ」だけでモテまくる~

昼から山猫
恋愛
俺、桜庭ケンジ、大学二年生。 見た目も成績もごく普通なはずなのに、困っている女性を見ると放っておけない性格だ。 そのせいか、なぜか毎回いろんな美人に気に入られてしまう。 友人には「お前、絶対に何か隠しスキルあるだろ」とからかわれるけど、そんなものは持ち合わせていない。 ちょっとした行動力と会話で困っている人を助けているだけなのに、周囲からは「まさかのモテ期だ」と騒がれる始末。 そんな俺の大学生活は、恋と騒動の連続でまるでジェットコースターだ。 さらに、毎回なぜか因縁の相手やトラブルが立ちはだかる。 けれど、俺は逃げない。 目の前で困っている人がいるなら、助けるのが俺の流儀だ。 そして、今日もまた新たな出会いが、俺の前に待ち受けている。

そしてふたりでワルツを

あっきコタロウ
恋愛
★第9回ネット小説大賞(なろうコン)二次選考通過作 どこか遠くに本当にある場所。オフィーリアという国での群像劇です。 本編:王道(定番)の古典恋愛風ストーリー。ちょっぴりダークメルヘン。ラストはハッピーエンドです。 外伝:本編の登場人物達が織りなす連作短編。むしろこちらが本番です。 シリアス、コメディ、ホラーに文学、ヒューマンドラマなどなど、ジャンルごった煮混沌系。 ■更新→外伝:別連載「劫波異相見聞録」と本作をあわせて年4回です。(2,5,8,11月末にどちらかを更新します) ■感想ページ閉じておりますが、下段のリンクからコメントできます。  検索用:そして二人でワルツを ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

婚約破棄されたので初恋の人と添い遂げます!!~有難う! もう国を守らないけど頑張ってね!!~

琴葉悠
恋愛
  これは「国守り」と呼ばれる、特殊な存在がいる世界。  国守りは聖人数百人に匹敵する加護を持ち、結界で国を守り。  その近くに来た侵略しようとする億の敵をたった一人で打ち倒すことができる神からの愛を受けた存在。  これはそんな国守りの女性のブリュンヒルデが、王子から婚約破棄され、最愛の初恋の相手と幸せになる話──  国が一つ滅びるお話。

五人姉妹の上から四番目でいつも空気だった私は少々出遅れていましたが……? ~ハッピーエンドへ走りたい~

四季
恋愛
五人姉妹の上から四番目でいつも空気だった私は少々出遅れていましたが……?

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

異世界転生したら幼女でした!?

@ナタデココ
恋愛
これは異世界に転生した幼女の話・・・

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです

狼蝶
恋愛
 転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?  学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?

処理中です...