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014★一応【エトランジェ】の説明を受けましたけど………
しおりを挟むそんな私の質問に、エドがにっこり笑って答えてくれましたよ。
「あのね【エトランジェ】
って言うのは
異世界からの迷子とか
彷徨い人とかまれ人とか
放浪者っていう意味の
女性形なんだよ」
「わざわざ女性形と男性形に
言葉を分けるって
意味があるんですか?」
「だって、女性の
【エトランジェ】
っていうより
【エトランジェ】で
女性の彷徨い人って
わかる方が便利でしょう」
「あっうんそうだね」
「それと、彷徨い人
【エトランジェ】
純粋な人族の女性
彷徨い人【エトランジュ】
純粋な人族の男
彷徨い人【オトランジェ】
他の種族が混じった人族の女
彷徨い人【オトランジュ】
他の種族が混じった人族の男
彷徨い人【カーランジェ】
獣人族の女
彷徨い人【カーリンジュ】
獣人族の男
というふうに
区別されています」
「えっとぉ~…
色々な世界から
色々な人々が紛れて
来ているって思って
良いのかな?」
「ええそう思って下さい」
私は、この説明だけで納得してしまいました。
これ以外の意味が………というより、この区別以外の方が大事だって知らされませんでした。
この世界の獣人達は、獣性が上がると身体能力は上がる。
ただし、魔力はそれに比例して下がって行くし、知能も下がってしまう。
それに、獣性が上がると、婚姻を結ぶコトがほぼ出来なくなる。
この世界の脅威である魔物や魔獣、魔族などと対抗するには、剣の他に魔法も必須だから………。
獣化が進むのは、滅びへのカウントダウンになるのだ。
それでも、異世界の血を入れないと獣化は、徐々に進んで行く。
それを阻止する為に、まったく血の交換をしたコトの無い新しい血として彷徨い人を必要とするらしい。
ちなみに、獣人としての血を数代から10代にわたって薄めて、魔力量を確実にあげてくれる子供を産んでくれるのは【エトランジェ】のみ。
その確実性と、猛々しく気が強く我儘な獣人族の女性より、華奢で大人しく優しい性格の為、皇族、王族、貴族、平民を問わず、全ての獣人に愛される。
また産んだ子供達は、獣性が皆無に近く魔力量は多いのが普通。
その資質が数代から10代にわたって遺伝される為に、非常に貴重な存在として愛されている。
【エトランジュ】は、純粋な人族の男性で、複数の獣人と婚姻し、獣人の血を数代から10代にわたって薄めてくれるが、確実にその魔力量が子供に伝わる確率は50%~20%ぐらいと多い。
その為に、貴族の女性からは、大変好まれる。
ごつくてむさくて荒っぽくて、五月蝿くて強引な獣人と真逆な性格と身体つきも好まれる。
また【エトランジュ】自身が、ハーレムを好むのでWINWINの関係になる。
産まれた子供達は、魔力量の多少があっても大切に育てられる。
未来にも、魔力量の多い子供が生まれる確率がかなり高いからだ。
この【エトランジェ】と【エトランジュ】は、異世界から転移してきたと思われる存在。
この世界には、純粋な人族が存在しないので………。
閑話休題。
こんな風に、その存在自体が、この世界に受け入れられた時点で区別される存在になるのは、教えてもらえなかった。
ウォルやエド、その祖父母にとって私は【エトランジェ】で大切に保護し、愛する存在でしかなかったから………。
そして、この世界での保護とは、婚姻関係を指すというコトも教えてもらえませんでした。
そのコトに、私は全く気が付きませんでした。
とにかく、親切な人達だなぁ~って思っただけ………。
でも、この世界に来たばかりの、何も知らない小娘に何ができたでしょうか?
私は、この世界の常識を教えてもらい、冒険者ギルドか、商人ギルドに登録する方法を教えてもらい、独り立ちするコトを考えていただけでした。
可愛い子ぶっても良いから、ウォル達に好意を持ってもらい、この伯爵邸で常識を覚えるまで、生活して行きたいって思っていたんです。
だって、ウォル達に会う前に、ゴブリンに襲われて倒したばかりだったんでから………。
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