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007★ゲートといモノを通るようです

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 私がそう問いかけると、ふたりとも少し周囲を見回した。
 そして、私を見て言う。

 「この話は長くなる
  もう陽が落ちて来ている

  魔物の動きか活発化するから
  さっさとゲートを作って
  家に帰ろう……良いね」

 なんか陽が落ちるとマズイようなので、私は素直に頷く。

 「はい」

 「じゃ、行くよ」

 そう言うと、ウォルは私の隣りに来た。
 なんだろうと思っていたら、ひょいっと私を片手で抱き上げてくれたのでわたわたしてしまう(驚)。

 そんな私を余所に、エドが綺麗な宝石みたいなモノを地面に置き始める。
 首を傾げている私に、ウォルが話しかけてくる。

 「あれは、ゲートを開く場所を
  設定しているんだ

  あれを八方に置いて
  呪文を唱えるとね
  魔法陣が形成されるんだよ

  その魔法陣は、設置した人間と
  ゲートを通るものを許可すると同時に
  それ以外を弾く結界も形成されるんだ」

 その説明を聞いて、地面に置かれた宝石のようなモノがどうなるのか気になって聞いてみた。
 だって、もったいないって思ったから………。

 「魔法が発動したら
  あの宝石は使い捨てなんですか?」

 「いや、ゲートの行き先は
  俺達の家に固定されている

  ゲートの先に、俺達の家に付けば
  あの宝石は自動的に回収されるよ

  そういう魔法が掛かっているんだ」

 私の質問に、ウォルが丁寧な説明をしてくれる。

 「そうなんですかぁ~」

 なんとなくその説明に和んだ私の耳に、エドの催促の言葉が………。

 「…ん…出来たぞ
  ウォルさっさと入れ」

 「ああ悪かったな
  じゃぁ~……行くぞマリエ」

 「はい」

 異世界に来たと思ったら、イケメン獣人に会って、次は、ゲートをくぐって別の場所へって………。
 えらく展開の早いラノベのようです。

 それに、【エトランジェ】ってなんでしょうか?
 このイケメン達と行った先には、いったい何があるんでしょうか?
 なんて色々と考えて、黙って立っていたら………。

 ひょいっと、ウォルに抱きあげられてしまいました(爆)。
 それも、あの乙女ゲームで有名なお姫様抱っこですよぉぉぉ~(恥)。
 驚いて挙動不審になった私に、エドがイイ笑顔で言います。

 「突然、この世界に来て
  疲れているんだろう?」

 言われてみれば、確かに疲れています。
 たぶん、私の面倒を見てくれる気が満々なふたりに会って、気が抜けたんだと思います。

 だからと言って、お姫様抱っこはちょっとアレなんですけどぉ~………。
 こんなイケメンと会話した経験の無い私には、どう言い返して良いのかもわかりません。

 「えっとぉ~………」

 上手く言葉を口に出来ない私に、ウォルが話しかけてきます。

 「マリエは、ゲートを通った経験は
  無いだろう」

 「………」

 私はその問い掛けに、素直に答えます。
 だって、魔法自体が無い世界出身なんですよ。

 そんな経験なんて、無いですって言いたいのに………。
 上手く言えないから、またコクッと頷く私です。

 「まぁ~【エトランジェ】は
  魔法の無い世界から来る者が
  大半だから、説明するな」

 「お願いします」

 やっと言い返せましたよ。
 そんな私に、今度は、エドが答えます。

 「初めてゲートを通ると
  魔力酔いにかかる者もいるから

  手を繋ぐか抱き締めるか抱き上げるか
  どれかを選ばせる予定だったんだ」

 そう思っていたなら、抱き上げる前に説明して欲しかったんですけどぉ~………。
 そう言おうと思って口を開く。

 「あっあの………」

 でも、最後まで言わせてくれません(ぐっすん)。
 そして、ウォルがさらりと言います。

 「疲れているなら
  寄りかかれるように
  抱き上げるのが一番だろう」

 「そうだな、それで良いな」

 エドはうんうんと納得しています。
 私は、この親切なのに、聞く耳の無い2人のイケメンに言い返したい、声を大にして言いたいと思いましたが………。

 「じゃ行こう」

 エドは、そう言うとさっさと魔法陣の中に入ってくれました。
 続いてウォルも………。
 魔法陣が、ピッカーと輝きだした途端に、私は気持ち悪くなり………。
 意識を保っていられませんでした。












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