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第10章 レギオン・カイドールの苦悩 レギオン視点

113★皇帝とは意外と雑事が多い by.レギオン 

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 「皇帝となり、義務と責任を負うのは嫌だ、と思ったからでしょう……レギオン陛下…アレクサンデル陛下達と同じようにね………優秀な皇帝となる者は、皇帝としての責務を知る故に、嫌がり逃げるのです。後に、自分以外の者が帝位に着いたら、この帝国はどうなるか? というコトに思い至り、その優しさから、結局は逃げ切れずに帰ってくるのです。そうですよね、陛下?」

 ここで、わざわざ私に確認するか?
 まったく、その通りだから、否定が出来ないじゃないか………。
 ブランデルが大きなドボン……いや、息子の方か………がしてくれなければ、多少の理不尽なコトにも目を瞑る予定だったのに………。
 結局、こうなってしまったか………。

 でも、シルビアーナのコトがあるから、これも運命(さだめ)かもしれないな。
 力尽くでも取り戻す予定はしていたからな。
 だが、流石に、選んだ相手が娼婦はいただけないだろう。
 国内の有力な公爵家の娘ならともかく………。

 まっもっとも、あやつに皇位継承権は無いから、皇太子で居る為には、シルビアーナ以外は選べなかっただろうがな。
 降りる…と、いうか婿入りなら、まぁ………公爵家か侯爵家………どちらの血統も、あのようなボンクラ…いやいや、お花畑は要らないというだろうがな。

 廃帝としたブランデルは………処分するには、アレでも惜しい。
 となると、神官にでもさせるか?
 息子と違って、伯母上のお子だけあって、相応の魔力があるから、神官になれる。
 ふっ………伯母上の処置のセイで、還俗は意味もなし………。
 子種が無いのでは、神官になるぐらいしかないかな?

 皇后殿は、祖国に帰るか、我が国で離宮に幽閉されるかは、本人に選ばせよう。
 側室殿は、実家に帰還してもらうか………。
 問題は、あの廃皇太子だな。
 あそこまで、魔力もなくお花畑では………嗚呼、頭が痛い。

 じゃなくて、逃避しても事態はかわらないな。
 私の立場は………皇帝だからな。 

 「ははは………そうだな…逃げているシルビアーナを追跡できる力のある者が……婚約者であり、夫候補なのだ。アルディーン達は、私達と同じように冒険者として、ダンジョンに潜っていたからなぁ~………。この話しは、ここまでだ。シルビアーナが欲しいなら、制約を受けるか? シルビアーナの求婚者達よ。受けなければ、我が娘を追う資格は無い。ここは、そなたらの国ではない、私の国であり、皇帝たる私が法律だ。他国者が勝手に、我が帝国を闊歩し、我が娘を探すことは許さない。どうする?」

 私の問いかけに、シルビアーナを欲した男達が全て前に出てくる。

 ったく、シルビアーナの価値を良くわかっている者達だ。
 1人も欠けないとはなぁ~………。
 が、この程度の脅しには屈しない男でなければ、制約をかける意味すら無い。

 私の出した条件を、彼らは全て飲み込み契約書にサインした。
 アルディーン達も他国の皇太子や王太子、皇族達は全て、シルビアーナを諦めなかった。
 本当の姿のシルビアーナは、私とディアの娘だけあって、絶世の美貌と魔力を誇る傾国の美少女だからなぁ~………。

 血統もすこぶる良いし…性格も良い…そして、一騎当千の戦う能力もある。
 そんな有能で美しい姫を諦めるのは、馬鹿のすることかな?
 とは言え、制約をしたんだから、とりあえずは故国に帰って頂こうか?

 我が国内を、他国者にシルビアーナを求めてうろつき回られるのは、御免蒙る。
 まして、皇太子なんぞは………。
 もし、怪我でもされたら大問題になるからな。

 ソレ(怪我など)を理由に、シルビアーナを求められると思われても困るしな。
 ここは、代理を選んで送って寄越せと言って追い返すのが1番だろう。
 くっくく……自分の代理に出来るだけの能力と忠誠心を持つ者。

 当然、側近の中でも、お気に入りだろう、それを手放すのは辛かろうなぁ………。
 クククッ………シルビアーナの探索をするなら、パーティーを作るほどの人数を、手放さなければならないからな。

 シルビアーナにとっても、皇太子としての試練だな。
 捕まれば、ヤンデレ確定の夫候補達に追われるのだから………。
 だが、それもこれも、このハイオシス帝国の皇太子としての運命(さだめ)だ。
 
 お前は、皇太子としての人生を選ぶだろうか?
 それとも、見事に逃げ切って、冒険者を続けるのだろうか?
 この父からの提案として………。

 『さっさと、子供を作って地位(皇太子)を押し付けるのも1つの手』

 と、直接会って、言ってやるのも親心かな。
 あっ…不味い…ディアに相談しないと………。
 図らずも、皇帝になってしまったことも、ディアに告げなければ………。

 嗚呼、私も試練だ………。
 借りていた、魔術師殿達も帰国していただかないと………。
 あうぅぅぅぅ~………やることがいっぱいだ。
 なんて、やってられるかぁぁぁぁぁぁぁ~………。

 さてと、私も今後の為にも、ディアの元に帰らないと不味いからな。
 皇帝として、ある程度の指示を出したら、後のことを師匠とロシフォール達に頼んで、北の館や領地の処理を指示しなければ……はぁ~面倒くさい。
 そして、私は突然降ってわいた皇帝としての地位の仕事を片付ける為に会場を後にした。








  
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