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第6章 シルビアーナの父親レギオン・カイドール視点

063★皇太后セレナーデ・ハイオシスからの手紙 3通目・2枚目

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  勿論、貴方が選んだアルディーンも同じよ。

  ああそう、アルディーンを選んだときは、何故かシルビアーナは
  女帝になっていたわね。
  アルディーンは、女帝になったシルビアーナの政務を補佐していたわ。

  もっとも、シルビアーナの悪阻(つわり)が、余りに酷かったので、
  王配(女帝または女王の配偶者、ようするに夫のこと)である
  アルディーンに、女帝シルビアーナの完全な代理として
  政務が出きるようにしたのよ。

  それまでは、控えめな普通の夫だったわ。
  でも、シルビアーナの代わりに政務が摂れるようになったら………。

  こちらも、ベッドでシルビアーナの体力を削ってねぇ………。
  ぎりぎり最低限の公務以外は取れないようにって………。
  この子も、病んでいたのね…って思ったわ。

  そして、ろくでもないコトをするようになったわ。
  でも、王配として有能で、善政をしていたから、みんな黙っていたわね。

  子供に対しては………。
  子供とアルディーンだけなら、ちゃんと父親として対処していたわ。
  むしろ子供に甘い、子煩悩な父親だったわ。

  でも、シルビアーナが絡むとダメダメだったの。
  シルビアーナとの時間を邪魔するモノ扱いになっていたわ。
  それを、シルビアーナが上手にあやしていたの。

  シルビアーナの夫は、たいてい、この2人のどちらかと同じ
  対応や行動をしていたわ。
 
  シルビアーナの夫として、異端なのは………。
  貴方の息子である、ラインハルトね。

  シルビアーナは、誕生当初から…その姿もあって……。
  銀月の女神、癒しの女神シルビアーナの愛し子と呼ばれていたわね。
  そして、ラインハルトは、太陽神、正義と断罪の神ソルライトの
  愛し子と呼ばれていたわね。

  この二柱の神は兄妹で、夫婦だったわ。
  どこの国の王族や貴族でも、兄妹や姉弟達の婚姻を許していたわ。
  近親婚を奨励する王家もあるもの。

  それ故に、皇帝と女帝という同等の存在の婚姻として扱われたわ。
  ラインハルトは、戴冠していても、婚約者もいない時期に、
  シルビアーナをベットに引っ張り込んだわ。

  それも、酒に酔って歩けないふりをして、シルビアーナを騙したわ。
  その上で………。

  『酔い覚ましのお茶を一緒に飲もう』

  って、言ったのよ。
 
  実際に2人が、飲んだのは、地母神ガイアーナの涙と呼ばれる
  媚薬兼妊娠薬だったの。  
  結果、次の日には、シルビアーナの妊娠が発覚したわ。

  そして、ラインハルトは、貴方が婚約者に望んでいたアルディーンに
  強引な提案をしたわ。

  『最初に生まれた皇女を、お前にやる。成人したら結婚しろ。
  その代わりシルビアーナは、私のモノだ』

  って、言ったのよ。

  そうそう、アルディーン以外の男と婚姻すると、きまって、最初の姫は
  アルディーンの婚約者になっていたわね。

  レギオン、シルビアーナは、貴方の意思を………。
  アルディーンを、婚約者にと選んだ事実を、とても大切にしていたわ。

  この他に、魔の森から魔物が溢れて止まらなかった時期に、
  全ての魔物を押し返した英雄のひとり大将軍レジオナールの孫
  フェルディナンド将軍。

  同じく英雄と言われた、偉大なる魔術師フォレストの孫
  宮廷魔術師筆頭ジリアーノ。

  同じく英雄と言われた、先代の大神官長イグナシオが、
  老いらくの恋に落ちて、還俗して作った、息子。
  冥府の女神、死と眠りの女神イザミーナの大神官イルバイン。

  同じく英雄と言われた、SSS級の冒険者クライシスの孫。
  S級冒険者兼伯爵氷炎の魔法戦士バルザック。

  どの男も、シルビアーナを愛しすぎて、自分以外の男の目に
  ふれさせることを嫌がったわ。

  シルビアーナの美貌、魔力と能力、三つの王家の血を引くその生まれ、
  そして、不遇な少女時代を送った為の謙虚な性格。

  どれをとっても、男達には、眩し過ぎたのよ。
  普通の王女だったら、閉じ込めたりなんてしなかったと思うわ。

  でも、シルビアーナだから、不安でしょうがなかったのよ。
  誰もが一目で恋をすると謳われた銀月の女神シルビアーナの化身と
  謳われたシルビアーナだからこそ。

  誰もが、自分だけのものにしたくて、封じたのよ。
  みんなシルビアーナという病(やまい)を、病(や)んでしまったのよ。
  でも、国内だけで、7人もいたのに………。

  国外からも………。
  これは、書く必要があるのかしら………。
  また、後でねレギオン。

                     貴方の伯母 セレナーデ   』
 




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