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第5章 シルビアーナはコウちゃんとダンジョン探索する

048★私の時間感覚と実際の時間経過はかなり違いました

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 えっ? これって、お父様の声……ですわよね?
 いくら、年に数回しか会えなくても、聞き間違えなんてしませんわ。
 じゃなくて、どうやって?

 私が疑問に小首を傾げると、コウちゃんとガッちゃんがほぼ同じ内容のことを言う。

 『ママの頭の飾りと耳の飾りで受信しているよ』

 『主さまの頭部と耳に着けられているモノが受信しているようです』

 2人からの言葉の内容で、なるほどと思う。

 そう思うと同時に、なんで今?
 なんか、時間経過がおかしくない?
 今頃、お父様の声が届くのって………。

 そこで、私はハッとする。
 
 私が、このダンジョンに転移されてから、いったいどのぐらいの時間が経過しているのかしら?
 ここは、コウちゃんに聞いてみよう。

 「ねぇ…コウちゃん、私がこのダンジョンに転移してから、いったいどのぐらい時間が経過しているのかしら? 少なくとも、半日以上よねぇ? もしかして、2日? ぐらい過ぎているとか?」

 不安を覚えて言えば、コウちゃんはケロッと言う。

 『ママァ…まだ、ここに来てから、前世時間で30分ちょっとぐらいだよ』

 「えっ?」

 驚きの声を上げた私に、ガッちゃんが言う。

 『主さまをこちらに転移させた者は、主さまを確実に亡き者にする為に、本当に深淵部に送ったようですね。時間経過は、その地点から左の部屋に入るまでの時間です』

 えっとぉ~……あの難攻不落の深淵の絶望ダンジョンの《狂いし神子の討伐》の攻略のための正規ルートと思わされていた、偽ルートを歩いていた時間だけ?
 って、あれ? そう言えば、あの部屋の時間経過ってどうなっていたの?
 聞いてみようかな?

 「コウちゃん、あの左右の部屋って時間経過どうなっているの?」

 私の問いかけに、コウちゃんが笑って言う。

 『左の部屋が、通常時間の百倍ぐらい遅い部屋で、右の部屋が百倍早いの……で、両方の部屋でトントンだけど………ママは、右の部屋にきちんと入ってないから………』

 額の魔石で外の様子を視ていたらしいガッちゃんが、その後を続ける。

 『本来は相殺されて、普通の時間経過しますが、主さまは入っておりませんので、左の部屋に入るまでの時間に、ほんの数分を追加した時間しか経過しておりません………』

 2人に言われて、私は左右の回廊は時空間の停止した空間であることを思い出す。

 「そっか…そんなに時間経ってないんだ」

 そう呟きながら、私はお父様が、あのお花畑でお馬鹿なルドルフ皇太子に、婚約破棄されたあげく、未来の宮廷魔術師長間違いなしと言われている、美少年コリウスに転移されたのを見ていたことに気付いた。

 『主さま? その声を送って来る者の姿を映しましょうか?』

 その言葉に、私はびっくりして聞く。

 「えっ? そんなことできるのガッちゃん?」

 私の言葉に、コウちゃんは、アッなるほどという顔をする。

 『ママ…左手首のインベントリの中に、ガッちゃんと共鳴する水晶球があるんだ』

 「へっ…そうなの? どれかしら?」

 そう呟きながら、私はコウちゃんが言った水晶球なるモノを意識しながら、左手首の腕輪に嵌まる魔晶石を見る。
 と、コウちゃんが爪先でチョイッと魔晶石を触った。

 その瞬間、コロンッと指輪が手のひらの中に落ちて来る。

 えっ? これぇ? いや、確かに小さい水晶球は付いているけど…………。
 コレが何の役に立つの?

 疑問顔の私に、ガッちゃんがストンッと目の前の床に降り立ち言う。

 『主さま、その水晶珠を僕の額の魔石に触れさせてください』

 私は言われた通りに、ガッちゃんの額を飾る大きな魔石に、指輪の水晶珠をちょんっと当てる。

 『ママ…そしたら、指輪をガッちゃんの前に置いて、5歩ぐらい下がった方が良いよ。いや、今のママの歩幅だともう少し下がらないと危ないかな?』

 コウちゃんがそう助言してくれたので、私は言われたとおりに、置いた指輪からかなり下がった。
 と、指輪に付いていた水晶球がスゥーっと大きくなった。

 指輪に付いていた1センチ程度の水晶珠は、前世の感覚で言うところの、直径3メートルはあろうかという水晶球に変化していた。

 『でわ、主さまに思念を送って来た者を周辺ごと映しますね』

 そう言って、ガッちゃんが水晶球に両手を当てた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 やっと、シルビアーナ視点の部分を予定の場所まで書き終わりました。
 次は、シルビアーナのパパ視点へと移ります。

 いやぁ~…予定は未定で書いているので、ここまで来るのにかかりました。
 流石に、ダンジョンなのに戦闘のひとつもないのは………と、思いまして………。
 でも、現時点でのシルビアーナに戦闘能力は有りませんから、ここはガッちゃんに活躍してもらおうと思い入れました。

 と、いうことで、次回からしばらくシルビアーナのパパ視点です。
 




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