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第5章 シルビアーナはコウちゃんとダンジョン探索する
024★出現する部屋の財宝をどうやって運びましょう?
しおりを挟む私はコウちゃんを抱いたまま、小首を傾げてから左右も見て確認する。
と、左手側に扉が見えた。
こうなったら、一番近くの部屋から探索しますか………。
コウちゃんの説明で行くと、ひとつも残さずに回収しなければならなってことでしょう。
って、あれ? 反対側の部屋の向こうにも同じような構造があるの?
「コウちゃん、もしかして反対側の部屋の奥にある回廊のモノも回収しないと奥へと続く扉って開かないとか………」
恐る恐る聞く私に、コウちゃんはその時確かに、にこぉ~っと笑って頷いた。
『うん、正解っ……流石、ますたぁー………ってことで、ここに魔物の類は出ないから、見落とし無くぜぇぇ~んぶ回収しようね』
とても楽しそうにコウちゃんに、私はちょっと溜め息を吐く。
「もう、保存食ないし……お腹空いて倒れちゃうかも知れないわねぇ……このシルビアーナの身体ってすっごく効率が悪いから………」
そう無意識に呟いた私に、コウちゃんが爆弾を落とす。
『大丈夫だよぉ~…この左右の回廊って時間経過しない空間だから……だから、生理現象の全てが存在しないのぉ~……お腹も空かないし、おトイレとかも行きたくなったりしないし………勿論、睡眠も必要ないのぉ~…眠くならないから………』
ある意味の無間地獄であることを楽しそうに教えられ、私はクラクラしてしまう。
そう、そういう空間なのね。
こうなると、狂いし神子が所有する、生物が活動できるインベントリってところかしらねぇ………。
とにかく、ここの回廊にあるお宝をぜぇぇぇ~んぶ回収するのがミッションね。
「そうなの………まぁ…お腹が空かなくて眠らなくて良くて、おトイレも必要ないなら、そんなに時間かからずに回収できるかしらね」
『ますたぁーだから平気ぃ~………』
嬉しそうに言うコウちゃんは、腕の中から肩へと移動する。
両手が自由になって私は、最初の扉を開いた。
その中の部屋には、はっきり言って財宝が溢れていた。
眩い装飾品やら宝石やら、どう見ても魔石や魔晶石までゴロゴロとあった。
「うわぁ~……想像以上だわ。こんな量をどうやって回収しろって言うのよ」
流石にとんでもない量の財宝に、私は途方にくれてしまう。
最初のひと部屋目でコレなのだ。
愕然とする私に、コウちゃんは肩の上から、財宝の山に隠れるようにして壁に飾られているモノを指し示す。
『あそこにある腕輪が必要だから取って、手首に嵌めて……そしたら起動するから……』
えっとぉ……起動って………じゃなくて、違和感があると思ったら、コウちゃん縮んでない?
サイズが、肩に乗れるぐらい小さくなってる。
最初の頃のロシアンブルー並みの大きさから、私の魔力その他を吸収して、メインクーンやノルウェージャンフォレストキャット並みに大きくなっていた筈なのに………。
もしかして、水晶壁にする為に流した魔力って、とぉーっても大量だったの?
そんなコトを考えつつも、私はコウちゃんの指示に従い、壁に飾られていた腕輪を手に取る。
そして、言われたとおりに、手首へと通す………と、すかすかしていた。
えっとぉぉ……この腕輪って、かなり大きいんですけど………。
かなり大柄な男性向けのモノでは………。
困ったなぁ…と思い、私は肩に座るコウちゃんに聞く。
「コレ、腕に着けるの無理そうだけど……ほら、すっごいすかすか……手首どこか二の腕でもちょっと………」
そう言う私に、コウちゃんは言う。
『んーとね…まだ、腕輪に主って認められてないの……その腕輪は、ずっと深い眠りの中に、今の今までいたから………まず、左の手首に通してから、反対の右手で腕輪を手首ごと覆って、魔力を込めてみて………』
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