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第14章 冒険者の始まりの街フォレンへ

193★とりあえず、バケモノは退治されたようです

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 ジオンに抱えられたシアより先に扉にたどり着いた私は、観音開きの扉に手を掛けようとした。
 その瞬間、微かなパチッと言う音と共に、手を弾かれる。
 それを視認したシアが、叫ぶ。

 「私が開きます
  ジオン、降ろして………」

 一瞬躊躇(ためら)ったジオンがしぶしぶ降ろすと、シアが観音開きの扉の模様に触れる。

 あら、私は拒否されたのに、シアは弾かれ無いのね。
 封印を最初に解いたからかしら?

 そんなことを考えていると、ジオンが叫ぶように言い放つ。

 「俺が、出現するモノと戦う
  シアは急いで扉を開いて
  神殿の中へ

  あんたもだ、ライム」

 あら、私も気にかけてくれるのね。
 もしかして、意外と紳士的なのかしら?
 もっとも、神子を解体し、コウちゃんやガッちゃん達を封印した男達の仲間だから、あまり信用できないけど………。

 何らかのトラブルがあって、封印されたようだし………。
 それに、ジオンはかなぁ~り念入りに封印されるくらだから、強いはず。

 なんて思ってるいる間に、シアが神殿の観音扉の装飾に触れていた。
 そして、自分の魔力を注ぐ姿に、私は納得する。

 なるほど、そうするんだ。
 あっ扉が反応した。

 扉が開い瞬間、シアが走り込む。

 うふふ………シアってば、自分がどんくさい自覚があるんだね。
 きちんと開いた扉の中に、いの一番に入ったモノ。

 なんて思っていると、シアが叫ぶ。

 「みんなっ早くっ」

 私も急いで神殿の中へと飛び込む。
 足手まといになるつもりはないけど、得体の知れないモノはちょっと………。

 なんて思いながら、開いた扉を潜る寸前に、両肩に乗っていたコウちゃんとガッちゃんが飛び降りてしまう。

 えっ…ちょっと………。

 驚いて振り返って見たコウちゃんとガッちゃんは、何時の間にか扉の前に立って迎撃態勢を取るフリードの左右に陣取り、同じように迎撃態勢になっていた。
 そのコトに気付いたシアが叫ぶ。

 「フリードっ」

 「大丈夫、ままのコトは俺が守るっ」

 シアの呼び掛けに、フリードは振り返りもせずにそう言い放って、ジッと空間の歪みを見詰めている。
 それを確認し、私もコウちゃんとガッちゃんに呼び掛ける。

 「コウちゃんガッちゃん」

 あれっどっちも振り返りもしないどころか、答えてもくれないの?
 ちょっとつれなく無い?
 とは思うものの、それだけ緊迫しているってコトよね。

 この警戒を考えると、この世界の通常の魔物じゃないってコトかしら?
 恐竜もどき達ですら、ヘロヘロしていたんだから………。
 何が出現するの?

 そう思った次の瞬間、私も総毛立つ感覚を味わい、気持ち悪い空間の歪みへと視線を向ける。
 と、ちょうどそこが裂けて、バケモノが出現………って、うわぁ~某死神マンガの堕ち汚れた魂のなれの果てぇ~?
 なんて思った私に、シアちゃんが視線を飛ばして来る。

 うっ理解(わか)るよ、その気持ち。
 もろにリアル、ホ○ウ?だもんね。

 だから、私もついつい頷いてしまう。

 そんな私達の反応を見る余裕の無いジオンが、出現したバケモノを盛大に、ザックリと叩き切る。
 同時にコウちゃんとガッちゃんがバケモノにかぶり付いたのを見て、思わず、お腹壊さない?なんて思った。
 そして、チラッとシアの様子を見れば、瞳をキラキラさせていた。

 うん、なんとなくシアが何を考えているか理解(わか)るわね。
 きっと、ジオンを某死神少年になぞらえているんでしょうね。
 私から見ると、敵キャラの某城付きの彼の方が似合いそうなんだけど………。
 なんて思っていたら、綺麗さっぱりと食べきってしまっている。
 ねぇ…コウちゃんガッちゃん、それ(食べる)って必要なコトだったの?

 そう思いはしたが、私は取り敢えず黙っていた。
 それよりも、直前にシアに手渡された、綺麗な紫色に変化した魔晶石のコトが気になっていたから………。







 
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