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第14章 ミッション1 皇女様の行き先は?

235★守護騎士を決める大会

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 夫の言葉に、エカテリーナはにこにこ笑って言う。

 〔ここで、聖女様と
  親しくならないと

  私の立場と、実家の立場が
  弱くなってしまうもの

  なんとしても
  キャスリーンには
  負けたくないわ

  血のつながりの無い
  アルファードに媚びるより

  聖女様に媚びるほうが
  楽だもの〕

 「そうですよ
  出来るならば

  守護騎士の地位を
  戦って決めても良いと

  思っているのですよ
  ねぇ~貴方」

 エカテリーナの発言に、顔を引き攣らせてキャスリーンが言う。

 〔くっ……私が提案する
  予定だったのにぃ~……

  ここは、悔しいけど
  賛成しておきましょう

  何と言ってもアルファードは
  私の実の孫ですもの

  そうだわ、辺境伯に嫁いだ
  姉の騎士団にも優秀な者が
  多いと聞いているから

  帝国全土の騎士に
  守護騎士になる大会に

  参加できるように
  提案しておきましょう〕

 「貴方、私の姉が嫁いだ
  辺境伯爵の騎士団にも

  優秀な騎士が多いと
  聞いております

  いっそ、帝国全土から
  募集するのも
  宜しいかと思います」

 2人の夫人の言葉に、バルディア侯爵は鷹揚に頷いて言う。

 「ああそうだな
  では、キャロラインに
  言ってみようか?」

 そんな貴族同士の軋轢を含む会話を、苦笑いを浮かべて聞いていたキャロラインは肩を竦め、振り返って言う。

 「お父様、私にも陛下にも
  まる聞こえですけど………」

 そういうキャロラインの隣りで、顎を無意識になでながらアルフレッドは感慨深げに言う。

 「守護騎士を決める大会かぁ~
  寵愛の聖女様、慈愛の聖女様
  聖母な聖女様以来……か…

  では、それを私の名前で
  発表しよう

  それが終わったら
  聖女の認定式だと言えば

  皇女の嫁ぎ先を決める為に
  認定式を遅らせていると
  噂されなくて済むしな

  これでどうだ?
  アルファード?」

 アルフレッドの発言に、アルファードはこくこく頷く。

 〔俺のエリカは
  かの寵愛の聖女様に
  勝るとも劣らないんだから

  帝国最強の守護騎士を
  付けたい…いや、2番目…

  俺が1番だから……って
  オスカーやマクルーファより
  強いのは居ないから………

  う~ん……5番目………
  まっ…俺達に追随できる
  それなりの騎士を………

  それに、あの塩ババアを
  悔しがらせてやりたしな

  くっくくババアの息子は
  確かに俺の弟だが

  聖女を、1人だって
  与えたくないからな

  守護騎士達に、命じて
  邪魔をさせてやるのも
  楽しいなぁ~……

  そうだ、上手く邪魔できたら
  エリカの守護騎士にしてやると
  囁くのも良いかもなぁ~………〕

 などと、腹黒いコトを考えながら、表面はにこやかに笑う。

 「良いですねぇ~…
  勝ち残った者達を、エリカに 
  残りの者達を6人の聖女候補に
  つけるとするかぁ~…」










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