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第12章 エリカはポションを作ってみたい
182★乗馬でデートです
しおりを挟むアルファードは、何故、今お金を出してきたかを、苦笑しながら説明する=説得とも言う。
「あのな、エリカは、正式な法騎士団の
騎士じゃないから、給料は無いんだ
そのかわり、外部の人間に仕事を
発注したのと同じ扱いになる
だから、これは騎士達への治癒や
攻撃補助をしてくれたエリカへの
俺(魔法騎士団団長)からの
正当報酬なんだ」
その丁寧な説明に、エリカも納得する。
〔うっわぁーラノベだと《召還》された
聖女も勇者も魔王を倒すまでは
基本タダ働きなのに
きちんと報酬をその都度出すんだぁ
下手すると《召還》先から
現世に還るコトが報酬のタダ働きって
物凄く嫌な話しが普通なのに……
私は、この世界に《召還》されて
良かったなぁ
チビで、ブスで、デブ…げふんげふん…
ぽっちやりな私が、これぞ皇子様って
美少年のアルファードから
信じられないほどの愛情をもらって
お妃になって幸せになるって
御伽噺でも有り得ないコトが
現実に有るんだもん
アルが悪趣味な皇子様で
ほんとぉーに良かったな〕
エリカのネガティブな思考に、もしアルファードが気が付いたなら、必死で説得し切々と愛を訴えたのは確実なコトだった。
だが、本人自身が、まだそれに気が付いていないので、のほほんとお礼を言う。
「そっかぁー私は騎士じゃない
《召還》されたばかりの聖女候補だし
完全な所属が決まっていないから
団員としてのお給料は発生しないんだ
だから、騎士様達を治療するって
お仕事扱いになるのね
うん、仕事の対価の報酬ね
なんか、とても大人になった気分で嬉しい
ありがとう、アル」
エリカが、嬉しそうに笑ったのを見てアルファードはしあわせになって笑う。
「うん、納得してくれて良かった
それじゃ、エリカ、乗馬しながら
さっさとアムール・シンに行こうか?」
「うん」
アルファードに頷いたエリカの頬は、紅く染まっていた。
それは、内心で色々と考えていたセイだったりする。
そんなエリカをアルファードは、お互いに色気の無い甲冑姿だが、それでも華麗にエスコートしていた。
その前後左右を、守護騎士が本来なら侍るのだが…………。
アルファードの視野を阻むコトを嫌がる性格なので、全員が2人の後ろを付いて歩いて行くのだった。
そう、もしも前後左右に侍ったら……。
『俺より背が高い男が、俺の前に
立つんじゃない
が見えなくなるだろう
うっとおしいし邪魔だ』
と、エリカの隣りに自分以外の男が立つことを嫌がり……。
『俺以外が、エリカの横顔を見るのは
許さん』
という狭い心というか嫉妬を、発揮しまくっていただろう。
そんな状態で護衛が出来るのかという突っ込みは、アルファードが全ての騎士達の頂点に立つ男なので、護衛自体が必要なのか?というコトになっていたので、オスカーもその辺りは不問にしていた。
こうして、エリカとアルファードは、何事も無くアムール・シンに向かって馬を軽く駆けさせるのだった。
ちなみに城門は、アルファードの顔パスでスルリと抜けていた。
そして、何事もなくアムール・シンにエリカ達は到着した。
そこで、エリカは、縁日のような露店と屋台の群れを見て、瞳をキラキラさせ各店を覗こうとする。
が、馬に乗ったままだったので、露店や屋台のあるエリアに入ることが出来なかった。
ガックリと肩を落としたエリカに、爽やかな笑顔を浮かべたアルファードが話し掛ける。
「帝都騎士団の騎士達が、訓練を兼ねて
毎日見回りしているルートを
軽く早駆けしたら
帝都騎士団の詰め所に馬を預けて
露店や屋台を見て廻ろうか?」
アルファードの提案(デートの誘い)に、エリカはこくこくと頷く。
「うん。森の中も興味あるから
早く行こう」
散歩前の子犬のようにうきうきしている様子のエリカに、アルファードは優しく微笑む。
「では、行こう」
アルファードが、宣言したと同時に並足で走り出す。
するとエリカは、その隣りを並足で併走する。
守護騎士達は、2人の後を付いて行った。
人の手が入った森の中は明るく道の両側には、綺麗な華が咲き乱れていたし、所々にはベンチや東屋があった。
人々は思い思いの場所に座って、屋台で買ったモノを食べたり飲んだりして会話を楽しんでいた。
その様子を見たエリカは、森の中を走り終わったら、露店と屋台を楽しむぞと思っていたのだった。
その少し後に、ポーションの材料に出会うなんて思ってもいなかった。
ここで、その存在に出会うとわかっていたなら、オスカー達を連れて来たのにと、アルファード達はとても後悔するのだった。
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