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第11章 訓練開始
159★原因の理由なんてそんなモノ
しおりを挟む巨大黒Gの大量発生に続いてイナゴの変異体の大量発生と、虫尽くしをくらったエリカ達は、身も心も極限まで疲れていた。
そんな状態のエリカ達に止めを刺すかのように、黒や緑など色々な色の羽根付きの虫の集団が更に迫っていた。
今回の虫達は、日本人ならその鳴き声を愛でる存在だったりする。
ただし、虫かごに1匹2匹だったら……。
コオロギ、スズムシなどに、男の子達の大好きなクワガタやカブトムシなどが取りとめも無い集団として、エリカ達に向かって飛んでいた。
その後を、キリンよりも細くて背の高い何かが、虫の背後から次々と現われたのだった。
そして、エリカは逃げ惑う虫の集団と、それを追いかける緑の集団を見た瞬間に、もう笑うっきゃないという心情で苦笑する。
〔うふふ、諸悪の根源は、あの緑の集団ね
そう……自走肉食植物達が原因だったのね
天敵とか捕食者の自走植物に追い回されて
黒Gもイナゴも、今回の色々な虫の集団も
逃げて、私達の方に向かっていたのね
ここって、緑魔の森って言われていたのよね
緑魔って、あのサンタマドラーヌだけを
指してしたわけじゃ無かったってことね
とんでもなく、迷惑な話よね
じゃなくて、オスカーさんなら
追いかけている自走肉食植物が
なんていう植物かわかるかな?〕
3回目の虫の集団なので、エリカは冷静な態度に出ていた。
そんなエリカを見ていたが、アルファードはエリカを抱き込んだままでいた。
そう、エリカを腕に、アルファードは幸せを感じていた。
〔今日は、弱っているエリカに、泣いている
エリカ、そして、俺を頼りにするエリカを
抱き締められた
何時もは抱き込むと、恥ずかしいと言って
結構嫌がるのに、嫌いな黒Gのお陰で
エリカをがっつりと抱き込んで、そっと
口付けをしても抵抗していなかったよなぁ
苦手な黒Gでも、イナゴでも、自分の魔法で
殲滅するところは何時も通りだったけどな
エリカは、責任感が凄いと思う
自分がやれることは、絶対にするって
決めているようだな
聖女としても、皇妃としても相応しいと思う
絶対に、俺の皇妃にしてみせる
俺の隣りに立てる《魔力》と《責任感》と
《優しく強いこころ》と《部下や仲間や
民に対する思い遣り》どれをとっても
エリカは素晴らしい
《皇太子という地位》には《権力》もあるが
《義務》と《責任》もがっつりとあることを
エリカは完全に理解しているから……
結婚しても、その純粋で可愛い性格が
変わったりしないと確信できるし……
まっ、容姿も性格も俺の好みなんだ
絶対に逃がしはしないよ
エリカには、後があっても
俺にはエリカだけだからな
クスクス…愛してるよ、エリカ〕
アルファードの内心を知ったら、エリカはかいかぶりすぎよと言うだろう。
それでも、自分を愛して守ってくれる存在であるアルファードの腕の中で、エリカはしあわせを感じていた。
が、昆虫を追いかけるように自走する植物の詳細に疑問を感じたエリカは、チラリと聞きたいなーと言う視線を一瞬向けた。
そのエリカの視線に気付いたオスカーは、アルファードへと生暖かい視線を向けながら話し出す。
「昆虫達を追いかけているのは
幻の《魔力回復薬の材料》と言われている
ドンナマリーベラとサンタツァーラですね
その生息場所がわからないというか
どちらも、神出鬼没で有名な植物ですよ
この森はその名の通り、色々な緑魔が
出現する場所なんですね」
オスカーの説明に、ラノベ好きの厨二病のオタクなエリカは、食いついた。
「あの自走肉食植物って、本当に
《魔力回復薬の材料》なんですか?」
「ええ、そうですよ
あの2つがメインで、その他に数種類の
薬草と甘味とハチミツを加えて作ります
マジックポーションとして1本飲めば
《魔力》が半分まで回復しますから
非常に有効な薬です
ですから、ここは、全部掴まえましょう」
そのセリフを聞いたエリカは瞳をキラァーンとさせる。
勿論、黒Gやイナゴetc.を自分達の方へとおっぱしってきたという恨みを心に、エリカは力強く答える
「はい。全部、掴まえて薬にしましょう」
「オスカー、お前達は、虫達の集団を
《結界》内で捕まえておけ
エリカと俺は、自走植物達を《結界》に
閉じ込めておく
エリカ、面倒だと思うがドンナマリーベラと
サンタツァーラに分けて強制乾燥して欲しい」
「確かに薬草として使うんだったら
別々に乾燥させたほうが使いやすいよね
たぶん、大丈夫だと思う」
「そうか、じゃ、エリカ、自走植物達を
捕まえようか」
「ええ、掴まえましょう
そして、魔魚を迎えに行きたいの
中庭で飼ってもイイって言っていたよね?」
「魔魚を中庭で飼うのは許可するよ
エサになるモノも、今ここで大量に手に
入るだろうし……
だけど、環境に適応できなくて
死ぬ可能性があることを忘れないで欲しい
死んでも泣かないで欲しいな
もっとも、俺の腕の中で泣くんだったら
何時でも大歓迎だけどな」
そうチャメで言うアルファードに、エリカはクスッと笑って言う。
「アルってば、なに恥ずかしいコトを
言ってるの?
さっさと片付けて、リンゴやモモやブドウ
ハニーベリーなんかも採取したいし
魔魚も回収してさっさと帰りたいわ
早く、みんなに魔魚を見せてあげたいわ
だって、まるでヒレの長い錦鯉みたい
なんだもん」
「だったら、さっさと済まそうか?」
「うん、早く、終わらせて帰りたいわ
そして、色々なスイーツを作って食べるの
疲れたときは甘いモノか゛1番だから」
「では《結界》」
「熱い風を《結界内》のドンナマリーベラと
サンタツァーリに当てて乾燥させる
吹き荒れろヒートウェーブエアー」
エリカの魔法はきちんと発動したので、予定通りドンナマリーベラとサンタツァーリを分けて乾燥させてあった。
その後に、オスカーの張った《結界内》の虫達をフリーズドライにするエリカだった。
なお、フリーズドライの粉状態になったイナゴやコオロギやクワガタやカブトムシも種類別に特殊な袋に入れられたのだ。
こうして、エリカ達の長い虫討伐と自走植物討伐はおわった。
エリカは果物とハニーベリーを手に入れて、魔魚を手にいれた。
《魔倉庫》の中には、2種類の自走植物と虫のフリーズドライが入っていた。
今日の出来事と昨日の出来事で、エリカは地名を確認することは、非常に大切だと思ったのだった。
そして、緑魔の森には、2度と行かないとエリカは心の中で誓ったのだった。
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