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第10章 緑の魔の森にて
132★聖女の知識
しおりを挟む朝食を食べ終えたエリカは、聖女候補の少女達と分かれて遠乗りをする為、乗馬用の服装に替えて、魔法騎士団本部前へと向かった。
勿論、アルファードやオスカー達と一緒に行動することになっていた。
ちなに、マクルーファとギデオンとレギオンと側近達は、聖女候補達に乗馬を教える為に残った。
もちろん、魔法騎士団本部での業務もあるので、副団長のマクルーファかオスカー、または団長のアルファードの内、必ず1人は残っているのが通常だったりする。
当然、聖女候補達の乗馬訓練の為もあって、魔法騎士団本部に残されたマクルーファ達は、一緒に行けなかったコトを口惜しく思っていたのは確かなコトだった。
そんな騎士達や聖女候補の少女達を置いて、エリカとアルファード達は、帝都を出て1番近い魔の森まで街道を軽く走ることにした。
帝都の中を並足で走りながらエリカは思った。
〔こうして見ると、ここって道路が広いわぁ
うん、軽く6車線分はあるわね……
その両脇に、車道と同じ幅の歩道がしっかり
あるなんて凄いわぁ~……
これだけ広いと、いざという時の火災対策に
なるものねぇ……考えて作られてるわぁ
この辺は、誰がこの帝都の設計をしたのか
聞いてみたいわね…いや、本気で……
綺麗な建物が多いし、統一された建築様式…〕
などと色々なことを考えているエリカに、アルファードが話し掛ける。
「エリカ、どうしたんだ?
道路と建物を見て首を傾げていたけど?」
エリカは、アルファードに答えるかわりに質問を返す。
「ここって、商業地区なの?」
「ああ商業地区だぞ」
「ここだけが、道路幅があるの?」
「いや、どこでもこの幅があるぞ
寵愛の聖女様が、防火対策として
地区ごとに道路幅を決めたと聞いている」
その説明を聞いて、エリカは感嘆の溜め息を吐く。
「はぁ~寵愛の聖女様って、本当に
すっごい人だったのねぇ」
そう無意識に呟くエリカに、アルファードは過去に習った聖女についてを口にする。
「どの聖女様も、この国に有用な事柄を
伝えてくれたと習ったなぁ……」
そのセリフを聞いて、エリカがぼやく。
「うわぁ~ん…エリカは普通の人間なのに」
そんな風に、アルファードとエリカの会話がよれて、エリカが落ち込んで行くのを見たオスカーが、ひょいっと救いの手を差し伸べる。
「クスクス…姫君は、新たな魔法の使い方を
私達に伝授して下さいましたよ
例えば、ウォーターボールを熱して
それで料理を作ったりするなんて
完全に、あたらしい魔法ですよ
今までの聖女様達でも、そんな器用なこと
やっていませんから……
その上で《魔力》付与された料理ですから
私達にはとても有用です」
それにアルファードがのって、エリカに言う。
「エリカは、幾つも新しい魔法を作ったんだぞ
直ぐに、魔法の聖女様って呼ばれるかもな」
アルファードの綺麗な顔で、にっこり笑いながら言われて、エリカの落ち込みはあっさりと解消される。
〔自分でも、凄く単純って思うけど
アルやオスカーさんに褒められるのは
嬉しい…けど、かなり恥ずかしいな〕
だから、エリカはアルファードに、頬を染めてついツンで答えてしまう。
「アルってば、恥ずかしいこと言わないでよ」
そんな風に、アルファードやオスカーとエリカが会話している間に、城門を出て街道を走り始める。
街道を改めて目にしたエリカは、ここでも感心してしまう。
〔主道路って言っても、4車線はすごいなぁ…
歩道も車線と同じ幅があるなんて……
これなら徒歩の人間も安心して歩ける
それにこの道は、轍(わだち)を見ると
ローマンコンクリート?っぽい感じがする
ということは、聖女様が教えたってことね
ローマンコンクリートは固まるのに
かなりの時間が掛かるけど……
2000年超える強度があるから……
このドラゴニア帝国は、聖女様の持ってきた
知識や技術をガッツリと手に入れて有効活用
しているって実感するなぁ~……
だから、その儀式行う為に色々な意味で
かなりの代償(犠牲ともいう)を支払っても
聖女候補の《召還》は、絶対に止めないって
流石のエリカにもわかちゃうな
その知識の結果が、そこかしこにあるから…〕
黙っているエリカにアルファードが心配そうに声をかける。
「エリカ、どうかしたのか?」
「ううん、今から行く魔の森には
どんな果物が生っているのかな?
って思っていたの、でぎればカカオが
欲しいなぁ~なんて…………」
エリカの言葉に、アルファードはちょっと小首を傾げる。
「果物は色々とあるぞ
ただし、カカオは無いけどな」
アルファードのセリフに、エリカはちょっとだけ肩を竦めて言う。
「そっかぁーちょっと残念だねぇ」
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