上 下
134 / 450
第9章 魔法騎士団本部にて

128★約束ごとは指きりげんまん

しおりを挟む


 そして、確かにアルファードの銀髪に、綺麗な輝く金髪のメッシュが入っていることを確認してしまう。

 〔ふむ、姫君の言うように、金に変色した
 部分がありますね……でも、どうして?
 昨日の深夜までは、無かったはずですが…〕

 微かに眉をあげてオスカーは、アルファードに話し掛ける。

 「おや? 確かに、金色の房がありますね
 昨日は、私達が自室へと下がるまで
 そんな髪の色をしていませんでしたよ」

 オスカーの発言に、エリカも同意を込めて頷く。

 「うん、確かに、眠る前までそんな金色の
 いかにもな房なんて存在して無かったよ
 左右対称の位置に同じ太さの金の房かぁ……」

 そう呟いたエリカは、どうしてもオタクごころが刺激されてしまう。
 お陰で、つい余計な知識を口にする。
 
 「あっ……そっか…なるほど……
 ラノベ設定だと、ドラゴニアンの髪の色が
 違う部分は、角の色だって書いてあったわ
 って、ことはアルの角は金色なんだ

 うふふ…こうして、角を現す変色が有るなら
 きっと、翼もいずれ出ると思うなぁ~……」

 エリカの発言に、オスカーは、今は亡き親友(先代皇帝アレクサンデル)に見せてもらった歴代皇帝や皇妃、皇太子を含む皇子達の肖像画を思い出す。

 「そう言えば、寵愛の聖女様を溺愛していた
 皇帝陛下も皇太子殿下も髪の色が
 一部違っていましたよね…団長」

 オスカーの言葉に、アルファードも肖像画に描かれていた、皇帝と皇太子の姿を思い出して言う。

 「ああ、確かに皇帝と皇太子の銀髪に
 金髪の房が混じっていたな」

 同じ肖像画を見たことのあるギデオンも、こくこくしながら言う。

 「兄上の色違いの髪って、彼の皇帝や
 皇太子と色違いの髪の位置が同じですよ
 もしかして、それが姫の言うように
 角の色かもしれませんね?」

 再度、オスカーは確認するように言う。
 その発言に、マクルーファもこくこくと頷く。

 「皇帝陛下は、銀色の鱗に金の角
 金の翼で描かれていましたよね?」

 オスカーやマクルーファやギデオンの言葉に、アルファードは考え込んでいるという表情で言う。
 驚きと嬉しさと戸惑いの混じった表情のアルファードは、エリカを見詰めていた。
 
 〔エリカは、俺が飛竜に変身しても
 気にしないよな……たぶん、きっと

 でも、なんか嬉しい
 あの皇帝アレクサンダーと同じ姿に
 変身できるかもしれないなんて……

 エリカと出会ってから、嬉しいこと
 ばっかりだ
 俺の幸運の女神エリカ〕

 「そう言えば…って…もしかして…
 俺は…本当に変身出来るのかな?」

 エリカは、アルファードに飛びっきりの笑顔見せながら言う。

 「アルの身体が、変身に耐えられるだけの
 《力》に満ちたらそうなるかも?

 それとも、成長が止まる成人体になったら
 変身できるのかも?

 もし、変身できたら、お空の散歩に
 連れて行って欲しいなぁ~」

 エリカの初めてのおねだりに、アルファードは輝くほど眩しい笑顔で答える。

 「もちろん、連れて行くよ
 エリカが行きたい所は、どこへでも
 連れて行くよ
 だから、変身できるまで待ってくれ」

 その良い笑顔に、エリカは見とれてしまった。
 頬を紅く染めながら、エリカは恥ずかしそうに笑って言う。

 「うん。ありがとうアル。約束よ」

 エリカの言葉に、アルファードはどきどきしながら応える。

 〔あはは…女と約束なんて……
 エリカが初めてだ

 なんだろう凄くドキドキして恥ずかしい
 でも嬉しくて堪らない

 約束って、これからも一緒の時を過ごす
 っていう約束にもなるから……
 これは、皇家に伝わる約束のしかたでいこう〕

 「ああ約束しよう。なんなら指きりするか?」

 アルファードの言葉に、エリカは驚いてしまう。

 〔こっちにも指きりがあるって…これは…
 聖女様が広めた約束の仕方よね…多分きっと

 まっアルに聞いてみれば判るよね
 聖女って、たぶん日本人が大半なんだわ〕

 「えっ、こっちにもあるの?」

 エリカの質問にアルファードはさらりと答える。
 もちろん、指きりの為に小指を立てて見せたアルファードだった。

 「寵愛の聖女様が皇帝と何か約束する時は
 指きりをしたといわれているんだ

 だから、何か約束する時は、指きりするんだ
 特に恋人同士とか、婚約者同士とかは……」

 アルファードの答えに、エリカは予想通りだったと思いにっこりする。
 そして、アルファードの小指に自分の小指を絡めて言う。

 「うふふ、じゃぁ約束ね
 私を連れて空中散歩をすること

 指きりげんまん嘘付いたら針千本飲ーます
 …指切った」

 エリカとアルファードは、小指を絡めて軽く上下に振って言う。

 「指きりげんまん嘘付いたら針千本飲ーます
 …指切った
 エリカ、飛竜に変身できたら
 必ず空中散歩に行くと約束しよう」

 甘い雰囲気を垂れ流す2人に、聖女候補達もオスカー達騎士達なにも言えずに、生温い微笑みを浮かべていたのだった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

召喚されたのに、スルーされた私

ブラックベリィ
恋愛
6人の皇子様の花嫁候補として、召喚されたようなんですけど………。 地味で影が薄い私はスルーされてしまいました。 ちなみに、召喚されたのは3人。 2人は美少女な女子高生。1人は、はい、地味な私です。 ちなみに、2人は1つ上で、私はこの春に女子高生になる予定………。 春休みは、残念異世界への入り口でした。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...