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第9章 魔法騎士団本部にて
109★そして、話しは振り出し(聖女候補の守護騎士)に戻る
しおりを挟むそのセリフに頷いてから、エリカはもう1つの重要事項をアルファートへと確認する。
「塩は塩水湖に行ってからとして……
彼女達のストーカー対策はどうなるの?
何かアルに良い案ある?」
エリカにそう聞かれたアルファードは、端的に答える。
「守護騎士をつける」
その言葉に、エリカは小首を傾げて、重ねて聞く。
「誰をつけるの?」
この問いにも、アルファードはあっさりと答える。
「本来、聖女候補には、かならず皇子達を
つけることになっているんだが…………
全員が、帝都に居るわけじゃ無いからな
オスカー何人か出してくれ」
言われたオスカーは、ちょっと思案顔になってから言う。
「団長、とりあえずの誰かを付けるよりも
皇子達が全員帝都に帰ってくるまで
聖女候補達全員に、ここに居てもらう
というのはいかがでしょう?
我々の居ない間に聖女候補を《召還》して
勝手に、配属を決めたのは無効では?」
そうオスカーに言われたアルファードは、ちょっと小首を傾げ、思案顔になった後に頷く。
「そうだな、アルバードもアーカンデイルも
帝都に居ないんだから、全員が揃うまでは
この魔法騎士団本部に、聖女候補達をおくと
俺が、父上に言ってくる
正式な守護騎士を決めたら、それぞれの
守護騎士が所属している騎士団へと
改めて配属してもイイと思うが……
現時点では、聖女候補の全員を
魔法騎士団所属とするという
正式な書類を作ってくれ、オスカー
あと、魔法騎士団の団長が不在の時に
勝手に聖女候補《召還》を行った事と
各騎士団へと、俺の許可もなく
配属したことよる言い訳の為の
挨拶すらしに来ないことの詰問状もな」
低い声で、魔法騎士団の団長として命令するアルファードに、こちらも有能な副団長として、オスカーは答える。
「はい、さっそく書類を作成します」
アルファードとオスカーのやりとりを聞いていたエリカは、ちょっと小首を傾げる。
「アル、帝都に居る皇子達は?」
どうするの?と聞くエリカに、アルファードはクスッと嗤って言う。
「この魔法騎士団の本部に来たいなら
来れば良いとは言っておくつもりだ
勿論、聖女候補の守護騎士候補として
俺やオスカーやマクルーファが
大丈夫と判断した者だけな
《力》の無い者や、野心的過ぎる者を
聖女候補達の側になど寄せ付けない
馬鹿者は何処にでもいるからな
俺の魔法騎士団の騎士達は、俺や
オスカーやマクルーファに逆らう者など
1人も存在しないから、安全だけどな」
そうエリカに説明するアルファードに、マクルーファが眉を顰めて聞く。
「騎士団の団長とか副団長が
来たいって言ったらどうしますか?」
心配そうなマクルーファに笑いかけて言う。
「フン、団長や副団長は、各騎士団で
仕事がたぁ~んとあるんだから……
ここに来たいって言うことは、仕事を
サボってということになるからな
職務怠慢と言われたいか?と言って断るさ」
なるほどと頷くマクルーファの隣りから、ギデオンが別のことを聞く。
「では、騎士団の隊長あたりの
上位貴族の子弟達は?」
どう対応しますか?と聞けば、鼻で嗤うように言う。
「ここは、魔法騎士団の本部だぞ
他の騎士団の手は借りない
なに、俺を煩わせるなよって言って
脅すから大丈夫だ」
そんなやりとりをするアルアフードに、エリカはふんわりと無意識に微笑みながら言う。
「アルって、すっごい権力を
持っているんだねぇ~」
エリカに褒められたと判ったアルファードは、とても嬉しそうに笑いながら言う。
「これでも、魔法騎士団の団長だからな」
そのセリフに、マクルーファが茶目っ気たっぷりの口調で言う。
「その上で、第1皇子で皇帝の色を纏った
本物の皇太子ですからねぇ~」
書類作成の指示をしていたオスカーは、マクルーファを振り返ってたしなめる。
「マクルーファ、団長が拗ねるような
言い方は止めなさい
仕事をガンガン入れられますよ」
そう注意されたマクルーファは、シュンとなって頷く。
「あっ…うん…気をつける」
そんなマクルーファを、アルファードは小さく微苦笑して見ていた。
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