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第8章 エリカは聖女候補達と一緒に学校に通いたい
104★日本人は岩塩の認識が低いです
しおりを挟むちょっと考え込むエリカに、オスカーが更に補足する。
「まっ…現在の団長の立場は……
今だけでも自由に生きて良いっていう
陛下の親心で皇太子候補第3位って
ことになっているだけです」
判っているからこそ、言って欲しくないと思いながら、アルファードはさらりと言う。
「本来は、皇妃の子が継ぐのが普通だろう」
現皇帝の子の中で、皇家の色をまとって生まれたのが、唯一自分だけと判っていても……。
そのセリフが所詮は単なる悪足掻きだと思いつつも、アルファードはついつい言いたくなってしまうのだ。
そう、年長者のオスカーに、若造の自分が口で勝てるはずが無いというコトも判っているのだが…………。
案の定、オスカーは呆れ口調で言う。
そう、現皇太子のアンジェロなんて、皇妃リリアーナとその取り巻き以外は、誰も認めていないという口調で…………。
「今までに一度も、金茶の髪に茶色の瞳の
皇帝なんて存在したコト有りませんよ
人生、諦めが肝心ですよ…団長
その色を纏って生まれたんですから
素直に皇太子になって、帝位をきちんと
継いでくださいね」
最終的には、皇家の色をまとうアルファードが、皇帝になるのは決定しているかのように言うオスカーに、首を振る。
「むっ…俺は…エリカと…
魔法騎士団の団長で…伯爵で充分だ
皇帝なんて面倒だ…やりたくない
それに、どうせ…あの国が
いちゃもんつけるんだから……」
※アルファードは、魔物討伐で手にした《魔石》や肉、毛皮やアイテムを国に納めた結果、爵位を手にいれました。
そう、アルファードは自分の今後の理想(儚い希望とも言う)の将来を口にする。
そんなアルファードの諦めの滲んだ口調から、エリカはあることを連想する。
そう、元の世界で、さんざん日本が近隣の国からいらないちょっかいをかけられていたコトを…………。
〔パパが、艦から降りてグチる時、何時も
『毎回毎回、ふざけやがって……
あいつらの艦艇なんて中古なんだから
エンジントラブルってコトですませて
撃沈してやりたい』
って、言っていた
アノ国とかと一緒なのかな?
そんなにドラゴニア帝国って
何らかの理由で立場が弱いの?
なにか弱みでも握られてのかな?
もしかして、ハニートラップ?〕
それを思い出し、エリカはついぽつりと言う。
「ねぇ…それって、内政干渉?
って、ことよね、何かあるの?」
エリカが正確に、自分達から聞いた話しだけで現状を理解していることにびっくりしつつ、オスカーは深い溜め息混じりに言う。
「この国の岩塩が取れなくなり
輸入している先が、皇妃の故国なんです
ですから、シオババアって呼ばれるんです」
〔あっ…それで皇妃の座を取ったんだ
なるほど、祖国の後ろ盾が…岩塩か……
だからシオババアね〕
「「「「「「なぁーるほど
それで、シオババアかぁー」」」」」」
エリカが納得すると同時に、6人の聖女候補も、そのシオババアという呼称の意味になるほどと頷いた。
そして、牡丹が言う。
「塩、それも岩塩採掘って言ったら
最古の岩塩の採掘所がある
ザルツブルグよね」
そう言うと、共通の知識がある桔梗が頷く。
「確か、紀元前から掘っていたって話しよね」
その後を撫子が続ける。
「そう、確か7000年も掘っているのに
まだまだ岩塩は掘れるって聞いて
凄いて思ったのよねぇ……」
百合は、頬に指を添えて言う。
「私達には、岩塩って
今ひとつなんだよねぇ……
たまに、美容とかで話題になるぐらいで」
蘭も頷いて言う。
「そうよねぇ~……海に行って
海水を汲んでちょっと煮詰めると
直ぐに出来ちゃうものなんだもんね」
エリカもそれに頷いて言う。
「ザルツブルグって、列車の度番組か何かで
見たことある程度だけど、地震が無い地域に
あるんだろうなぁ~っては思った」
エリカの言葉に、鈴蘭が小首を傾げて聞く。
「どうして?」
その問い掛けに、エリカは記憶にある内容を引っ張り出して言う。
「確か、垂直で確か地下350mで
斜めだと700mで……
中は、7000年もの間掘削していたから
迷宮になっているって話しだったから…………」
エリカの答えに、百合がちょっと嫌そうに言う。
「確かに、地震があったら怖いわ」
うんうんと頷いて、鈴蘭がはっとしたように言う。
「それだと、周り全てが塩だから
鉄系の柱は使えないから
坑道を支える支柱は樹の柱じゃないの?」
撫子も、ちょっと考えるように頬に指を添えながら言う。
「う~ん、それって地震や水害の時に
どうなるの?って思うよねぇ」
桔梗も頷いて、もしもを口にする。
「岩塩を掘っている中に、大量の水が
坑道に入った時が怖いよねぇ…………」
つい最近のゲリラ豪雨を思い出して、牡丹が言う。
「そうね、岩塩だって一定の水の量があれば
溶解すると思うし…………」
エリカも、最近の天気を思い出してうんうんと頷く。
「日本みたいに、集中豪雨の酷いのに
当たったら………じゃなくて……」
そこで、エリカはやっと岩塩で話しがシオババアから反れたことに気付いた。
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