上 下
431 / 450
第20章 帝国予算の為に………

425★エリカは経費削減の方法を提案してみました

しおりを挟む


 考えの纏まったエリカは、アルファード達にアル提案をする。

 「それでね、提案があるの」

 エリカの発言に食いついたのは、魔法騎士団の予算管理もしているオスカーだった。

 「どんな提案なんですか?」

 エリカは、アルファード達を見ながらゆっくりと言葉を口にする。

 「騎士団の経費を、ある程度浮かす方法なの
  それでいて、騎士達のお給料が実質アップする方法よ」

 アルファード達の瞳がギラリと光る。
 所詮、騎士団も軍隊でなので金食い虫なのだ。

 まして、魔物を討伐して経費を賄ったりする部分もあるので、それを浮かせる方法があるなら知りたいと思うのは人情である。
 そこで、やっぱりオスカーがエリカに質問する。

 「そんなコトが出来るんですか?」

 「うん、たぶん出来ると思うの」

 エリカは、にっこり笑って言う。

 「どういう方法ですか?」

 それに、再度、突っ込み入れるオスカーにエリカはさらっと答える。

 「各騎士団で購入している物を、一括購入
  えっとぉ~………全部の騎士団で共同購入するのよ」

 「それって、どういう意味ですか?」

 どうやら、一括購入とか共同購入という言葉自体が、いまひとつ判らないというオスカーの問い掛けに、エリカはちょっと考える。
 そして、具体的な例を上げて説明するコトにした。

 「例えば、パンを作る小麦を別々に購入するんじゃなくて
  帝国に物納として納税されていたモノを、商人達では無く
  帝国の倉庫から必要な分を一年分購入するの

  商人を通さないし、流通経費も無いから確実に安く買えるしね
  帝国としては、いちいち商人に入札させて売るより簡単に
  手間無しで売れるわ

  それも、確実に毎年ほぼ同じ量がね

  騎士団なら、かならず魔倉庫持ちの騎士が居るから
  直ぐに倉庫から小麦を運び出すから、倉庫は空になるわ

  その空いたスペースを商人に貸し出すコトだって出来るわね

  同じように、騎士服を帝国に物納された布で買い取り
  契約した職人達に加工をまかせる

  全ての騎士団の騎士服を作らせる為だったら
  職人を雇っても良いわけだから
  いちいち作らせる経費よりも浮くわね

  剣や槍、弓や矢も材料を騎士団で揃えて
  雇った職人達に作らせるんだったら、確実に経費は浮くわ

  それに、材料を運ぶのは魔倉庫持ちの騎士達なら
  材料から剣などを作る量を知られるコトも無い
  っていうメリットもあるわね

  こんな感じで経費を浮かせるのダメかな?」

 と、経費削減になるような提案をしてみるエリカだった。
 エリカの説明に対して、アルファード達は、考え込む。

 そして、お互いに会話を始める。
 どうやらエリカと会話する前に、アルファード達は自分達の考えを纏めようとしているらしい。

 そして、アルファードが、最初に話し出す。

 「オスカー、小麦を商人達から買うのではなく
  帝国の物納品から買うコトは出来るのか?」

 アルファードの質問に、オスカーは少し考えてから答える。

 「出来ると思います
  全てを金に換えて納税するのは難しいので
  納税額の7割までの物納は許されています

  これは、換金し辛い作物等が対象ですね
  小麦は、これに当たります

  商人達の多くは、帝国の倉庫より放出された小麦を
  入札して買い、それを市場に流します」

 その説明を聞いたアルファードは、嬉しそうに言う。

 「だったら、その前に、俺達が買っても問題は無いな」

 「はい、大丈夫だと思います

  騎士団では、小麦を商業ギルドに所属している穀物商人から
  その時々で選んで購入しているので………」

 オスカーも嬉しそうに笑って答える。
 
 「だったら、エリカの提案通りに小麦を購入しても構わないな
  お前は、どう思う、サルバトール
  カンパネラ商会の跡取りとしては?」









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

召喚されたのに、スルーされた私

ブラックベリィ
恋愛
6人の皇子様の花嫁候補として、召喚されたようなんですけど………。 地味で影が薄い私はスルーされてしまいました。 ちなみに、召喚されたのは3人。 2人は美少女な女子高生。1人は、はい、地味な私です。 ちなみに、2人は1つ上で、私はこの春に女子高生になる予定………。 春休みは、残念異世界への入り口でした。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...