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第19章 パーティーは、まだ終わらない

416★好みが被ってなくてよかったぁ~

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 そんな視線に気が付かない聖女候補達は、それほどに真剣だったりする。
 今後の将来が掛かっている婚活なので、結構必死な聖女候補達だっただ。

 「「「「なるほどぉ~………」」」」

 桔梗の以外と細かい部分にまで読み込んだ発言に、残りの聖女候補達は感心して頷く。
 そして、桔梗は、自分以外に興味を持たせようとして蘭に話しかける。

 「で、蘭ちゃんは?」

 その問い掛けに、普段からの好みを口にする蘭だった。
 実は、筋肉が好きでマッチョと細マッチョの中間ぐらいが最高と思っていた蘭にとって、この世界の騎士達は、好みの男性が多かった。

 その姿を見ながら眼福よ、まさに眼福とか、騎士様って尊いとか、ご馳走様でしたなどと思いながら、身近に居る騎士達を見詰めていたのだ。
 出来れば記憶ではなくスマホのフォルダーに、撮って入れておきたいと思うほどには堪能していた。

 ただ、魔法騎士団は、その性質上として騎士としては細めの者達が多かったりする。
 騎士としての鍛錬は、勿論行っているが、魔法の発動や《魔力枯渇》寸前まで攻撃魔法や治癒魔法を使って訓練するので、どうしても細身に見えるとか、細マッチョに分類される騎士達が多い。

 お陰で、圧迫感をあまり感じるコトなく過せているのも確かなコトだった。
 が、筋肉好きーな蘭には、ちょっとそうほんのちょっとだけ、物足りなかったのだ。

 そこに、好みの筋肉を持ち、顔も好みで、地位も爵位もちょうど良いベルゲングリューン伯爵を見付けて内心で、わぁ~いメッチャ好みと叫んでいた蘭である。
 そう、獲物を見つけた瞳を無意識にしていた………けど、本人にその自覚はない。

 「えっとぉ~………なんかねぇ~この帝都騎士団の団長さん
  ナイトハルト・ハインツ・ベルゲングリューン伯爵

  ベルゲングリューン侯爵の次代
  なんか、立ち姿がガッツリ筋肉って感じしてぞくぞくするの

  なんかもう色々なコトから守ってくれそうな気がして………」

 その発言に、そこまで筋肉に拘らない鈴蘭がぽつりと言う。

 「もしかして、肉体派?」

 その言葉に、全開の笑顔で応える蘭。

 「筋肉が好きなのよ」

 その発言にちょっと引きながら全員で応える。
 聖女候補達は、みな好みが分かれていた為に………。

 「「「「ふぅ~ん」」」」

 そして、蘭と同じように自分の好みを追求しているので、当たり障りの無いコトを次々に口にする聖女候補達。

 「だったら良いんじゃないの………」

 「ここに載っている時点で、聖女の夫として
  相応しい人物なんでしょうから………」

 それに、あえてのらずに、蘭が尋ねる。
 どうやら蘭は、自分だけが好みを言わされたような気がしたらしい。

 尋ねる相手は、誰でも良かったようだ。
 それなのに百合に話しかけたのは目が合ったから………。

 「百合ちゃんはどうするの?」

 すると、ねぇねえ聞いて欲しいのという表情で百合が言う。

 「私ね、銀英○が好きで、一押しが………
  あの……悲劇のヒーローって感じの、ジークなの
  だから、真紅の髪のこの団長さんが良いなぁ~って思うの」

 見事にオタクっぽい発言を平気でする百合に、誰もが引いたりしないで好奇心に任せてページを捲る聖女候補達だったりする。
 その姿は、コミケ後のオタク少女達のようだった。

 「えっどれどれ………」

 「なるほどね…うん、なんかイメージが似ているわ」

 「本当に、似ているよね。赤毛ののっぽさんって感じがするわ」

 「これでいくと、中央騎士団の団長で………
  ベルンハルト・シュナイダー・エーレンベルグ

  エーレンベルグ伯爵………エーレンベルグ侯爵の次代ね
  良いんじゃないの」

 本人確認を鈴蘭にされた百合がにっこり笑って頷く。

 「これって、上半身の肖像画の他に、騎士服とマントを付けた
  っていうか、正装姿の全身像が入っていたから
  すっごく見やすかったわ」

 「うんそれは確かにそうだよね」

 「できれば、このままお持ち帰りしたいって思うんだけどぉ~」










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