上 下
404 / 450
第18章 サラディール王国にて………

398★シオババアの血はいらない

しおりを挟む

 「そう、アンジェロ皇子は皇太子だから優遇されているのかしら?
  それとも、サラディール王国の王女を母に持つからなのかしら………」

 (別にされているってコトだけど、本当に優遇なのかしら?

  でも、その下の階には、2人の皇子が滞在して居る
  ってコトを考えれば………たぶん、優遇措置よね

  アンジェロ皇子の周りに、お見舞いに来ている王族や
  貴族達がいないかを聞いてみるのも良いわね)

 エリカが考えている間に、アルファードがジュリアスに質問する。

 「ジュリアス、この国の騎士達は何処に配備されていた?」

 「ドラゴニア帝国の騎士達が立つ扉の向かいに
  同数の騎士が立っていました
  廊下も巡回していましたね

  階段の部分にも、騎士は、しっかりと配備されていました
  1階部分にも廊下や階段、玄関などの出入り口に
  それと、離宮のまわりにも巡回する騎士や兵士がいましたよ」

 アルファードの問い掛けに、ジュリアスは淡々と答える。
 ソレを聞いたアルファードは、真剣な顔で言う。

 「そうか、ありがとう」

 アルファードは、オスカー達に視線を向けて言う。

 「サラディール王国の国王達は、シオババアと父上の離婚を
  正式なものとして受け入れているようだな」

 「そうですね、人質として価値のあるアンジェロ皇子を
  最上階にしたってコトでしょうねぇ~………
  意味は無いというのに、ご苦労なコトですね」

 オスカーは、にっこり笑って毒を吐く。
 それに続けてマクルーファが呆れたように言う。

 「常識に捕らわれたままなんて、哀れなコトだ
  我らには、姫君の守護獣グリフォンがいるというのに………」

 マクルーファの言葉に、ギデオンが苦笑しながら言う。

 「地上から奪還するなんて
  馬鹿な真似をするなんて無いのになぁ~」

 「地上から奪還するなら、ドラゴニア帝国から
  かなりの兵数を出さないと無理だけど
  そこまでする価値なんて、アイツ等にある?」

 ギデオンの発言に、レギオンも苦笑しながら辛辣なコトを言う。
 それに注意する気など無いアルファードが、何でも無いコトをするとでも言うように宣言する。
 
 「俺達には、エリカの守護獣のレオ達と、ジュリアスがいる
  さっさと連れて帰るぞ、ひとりの取りこぼしも無しでな」

 アルファードの素直じゃない言葉に、エリカは苦笑する。
 そして、エリカなりにちょっと気になったコトを聞く。

 「そうね、パーティーはまだ終わって無いんだから
  さっさと連れて帰りましょう
  それと、アーカンディル皇子達はどうするの?」

 エリカの問い掛けに、アルファードは、はっとした顔をしてから考え込む。

 (父上からは、特に命令されていないが
  アンジェロ達だけを連れて帰ると
  アーカンディル達を無視したコトになる

  まして、今日のパーティーは、母上以外の妃達を
  離婚したり下賜したりしたからな

  それを、実際に自分の目で確認するとしないでは
  その気持ちが違う

  まして、母上を正式な皇妃として発表する場に
  立ち会えなかったとなると………
  確実にアーカンディル達の皇子としての格が下がる

  公爵家には、しっかりとした跡取りがいる
  侯爵家と辺境伯爵家と伯爵家の跡取り娘へ
  婿入りするしか無いだろう

  だから、皇子としての格は落としたくない
  父上はアンジェロを、皇子のままで何処にも降ろす気は無い
  子供なんぞは作らせたりはしない

  帰ったら直ぐに、黒薔薇を飲ませるしかないな
  哀れだが、俺達帝国にあのシオババアの血はいらない

  《魔力量》が少なく《寿命》も短い《身体能力》も低い
  サラディール王国の民族特性はいらないからな

  アンジェロが血を残さなくても構わないほど
  皇子や皇女達の数はいるから………)








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

召喚されたのに、スルーされた私

ブラックベリィ
恋愛
6人の皇子様の花嫁候補として、召喚されたようなんですけど………。 地味で影が薄い私はスルーされてしまいました。 ちなみに、召喚されたのは3人。 2人は美少女な女子高生。1人は、はい、地味な私です。 ちなみに、2人は1つ上で、私はこの春に女子高生になる予定………。 春休みは、残念異世界への入り口でした。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...