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第17章 パーティーは終焉に向かう

359★状況を読めない皇女は、引導を渡される

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 エリカと聖女候補の美少女達の会話を聞いた貴族の集団は、皇帝アルフレッドとその妃達、その下賜相手の男達。
 そして、宰相や時期皇太子アルファード達の集団を、遠巻きに見るだけにしようと、こころに誓っていた。

 そんな彼らと違い高位貴族や妃達の親族や取り巻き、皇女達の取り巻き達、その護衛達などは、泣いている妃達の下へと駆け寄って行く。

 エリカ達や貴族達が見守る中で、皇女達は、自分の母親が何時もエスコートされている守護騎士ではない男に支えられているコトに疑問を持った。
 
 「母上、どうして、そんなに泣いているのですか?
  それに、守護騎士ではない者に
  何故エスコートされているんですか?」

 皇女サンディーヌが、首を傾げ眉を顰めて泣いている母エスメラルダにその疑問を口にする。
 慌てている為に、何時ものような口調を維持できずに………。

 そして、皇女ブランジェも同じように、母であるブリジットに首を傾げながら声を掛ける。

 「母上、どうして泣いているのですか?
  その男は誰なのです?
  母上の守護騎士でも、近衛騎士でも無いですよね?」

 その問い掛けに、エスメラルダもブリジットも答える余裕は無かった。
 最愛の夫・皇帝アルフレッドに、自分が捨てられたという事実を受け入れられず、ただただ泣くだけだった。

 そして、誰もが、皇女達に、母親達が皇帝アルフレッドの勘気を振って下賜された事実を言いたがらなかった。
 その為、その場は異様な雰囲気に包まれてしまう。

 異様な雰囲気と重苦しさ、それに、はらはらと涙する母に対する疑問、それらに、皇女として我がままに育てられたサンディーヌが、絶えられなくなりとうとう父である皇帝アルフレッドに、問い掛けをしてしまう。
  
 「父上、何故、母上は泣いているのですか?」

 公式の場では、アルファードでさえ、父とは呼ばす、陛下と呼んでいるのに………。
 それに、1番ピキッツとしたのは、ルーセア大公アスランだった。
 だから、アスランは、冷たく突き放すように、未来の義娘に言う。

 「サンディーヌ、そなたの母は
  トラバニア公国のエリオット・バラン公王に下賜された

  故に、ドラバニア公国大使であり
  公王の弟君のドラッシュ侯爵ライオット・ダスティ殿が
  エスコートしておる」

 婚約者ワルターの父であるルーセア大公の説明に、サンディーヌはむっとして言い返してしまう。

 「私は、ルーセア大公に聞いておらん
  父上に聞いておるのじゃ、余計なコトを………」

 サンディーヌの発言を遮って、皇帝アルフレッドが突き放すように冷たく言う。

 「ドラッシュ侯爵ライオット・ダスティ殿、その馬鹿娘は

  そなたの兄ドラバニア公国のエリオット・バラン公王に
  これの母親エスメラルダを下賜するゆえに

  これはそなたの義姪になる、連れて帰ってくれぬか?」

 「父上、何を………」

 父である皇帝アルフレッドは、泣きそうな顔で話しかけてくるサンディーヌを無視して話し始める。

 「控えろサンディーヌ
  そなたは、正式な婚約式をして、婚約した

  この婚約は結婚と同義だから
  その時点でルーセア大公が嫡男ワルターに嫁いだとみなされる
  故に、皇女の資格を失った

  ルーセア大公の嫡男ワルターの元へ行くか?
  ドラバニア公国大使の館に行くか?
  ふたつにひとつだ」

 「………」

 思いもよらない冷たい父皇帝アルフレッドの発言に、サンディーヌは呆然として言葉もなくしてしまう。









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