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第16章 そして、パーティーが始まる

345★皇帝は自由意志で行動を始める

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 そこへ、侍女と守護騎士達を連れた華やかな側妃達の集団が現れた。

 側妃達は、最愛の皇帝アルフレッドを見つけると、上品に見えるようにしながら、自分の歩ける最大速度で近寄ってくる。
 キャロライン以外の妃達は………。

 今までの皇帝アルフレッドなら、苦笑を浮かべながらも側妃達に優しい声を掛けていた。
 が、今の皇帝アルフレッドには、最愛の妃キャロライン以外はどうでも良かったから、それ以外の側妃達を完全に無視する。

 はっきりと言うならば、アルファードが魔法騎士団の団長となった時点で、皇帝アルフレッドの権力基盤は、完全に確立していた。

 神聖法師団の団長はアスランだったし、幼馴染兼側近候補として育った神聖
魔法師団の団長オルディス・ハーラン・ヴァイアス公爵も友と言える状態だったから………。

 この時点で、有力な権力を持つ貴族達に配慮する必要は無かったが、皇妃リリアーナは岩塩の関係上、まだまだ配慮しなければならなかったから………。

 側妃達を適当にして、キャサリンだけを寵愛するのは不味かったのだ。
 それ故に、エリカが幻獣を手に入れて、塩を大量に確保してくれるまで、我慢、いや、鋼鉄の自制心で全ての妃を平等に扱っていたのだ。

 妃を平等に扱うというのは、その位に併せて寵愛していると見せる必要があった。
 故に、皇帝アルフレッドは、自分に忠誠を誓っている侍女や女官達、侍従や騎士達を使って、皇妃リリアーナと東の妃エスメラルダが、何かと争うように仕向けていたりする。

 2人が争えば、西の妃(自分の番)が間を取り持とうとする………。
 そうなると、皇帝であるアルフレッドは、2人の妃のもとに通わないで、西の妃(自分の番)の下に通うコトが出来るからだ。

 喧嘩両成敗として、2人に通う回数を同じだけ減らして(罰として)、その回数分を西の妃キャロライン(自分の番)のもとへ堂々と通える(ご褒美として)のだから………。

 そんなコトをもうする必要が無くなると思うと、アルフレッドの口角は自然と上がってしまう。
 機嫌の良い皇帝アルフレッドを見て、側妃達は皇妃リリアーナがいないのだから、寵愛されている自分がエスコートされると………。
 それぞれ思い込みそわそわし始める。

 そんな側妃達を今までエスコートしていたのは、それぞれの守護騎士長だった。
 その手を振りほどき、側妃達は皇帝アルフレッドのもとへと我先に歩いて行く。

 そして、1番位の高い東の妃エスメラルダが、皇帝アルフレッドに話しかける。

 「陛下、今宵は皇妃殿が………」

 その言葉を遮って、皇帝アルフレッドが冷たく命令する。

 「エスメラルダは
  トラバニア公国のエリオット・バラン公王の弟君である

  ドラバニア大使のドラッシュ侯爵ライオット・ダスティ殿に
  エスコートしてもらうように」

 予想外の命令に、エスメラルダは驚いて思うように言葉が紡げなかった。

 「…でも……陛下……あの…」

 エスメラルダが必死で言い募ろうとするのをアルフレッドは冷酷に切って捨てる。

 「私の命令に従えないのか?」









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