上 下
344 / 450
第16章 そして、パーティーが始まる

338★モノには限度というもがある、やったコトはその身に返るもの

しおりを挟む


 義妹達を思って問いかけるアルファードを見て、皇帝アルフレッド漆黒のオーラを纏い笑う。

 「あれらは、正式に婚約した時点で
  元皇女となったのだ

  婚約者に責任を持ってもらう

  ああそうだな
  誰かワルターを連れて来させておけ

  お前達以外の皇子達に
  私の興味も関心も愛情も無いコトに
  気が付かない貴族なぞいらぬ

  五月蠅いならば
  そなたの裁量で処分せよ」

 今までは隠し切っていた内心を吐露したアルフレッドは、冷たく嗤ってアルファードに命令する。

 「はっ」

 〔うっ………父上ってば
  塩ハバアを排除出来るってなってから
  本心を隠すコトを止めたんだなぁ~………

  母上の産んだ俺達と
  母上が育てたギデオンとレギオン以外に
  まるっきり愛情も興味も無い

  それを微塵も感じさせないように
  していたのは凄いな

  皇帝の義務で妃達を娶り
  政略結婚の為に使う皇子や皇女を
  義務と気合と根性とで作っていたんだ

  妃の身分にあわせて、均等に
  愛情があるように見せかけていたのは
  本当に凄いと思う

  でも、妃達も政略結婚に使おうと
  思っていたとは………

  皇帝とは
  本当に辛い立場なんだなと思う
  でも、あの時………〕

 エリカが、幻獣の森で幻獣のグリフォンを群れごと守護獣にしたと報告した真夜中に、父上に呼び出されて会ったときに………。
 父上は、何時もより元気そうに見えた。

 その上で、何時ものどこか憂いた様な表情を消し、本当に嬉しそうに笑いながら俺に問いかける。

 「本当に聖女殿は
  幻惑の森で出会った幻獣グリフォンを
  三十数頭も守護獣にしたのだな」

 「はい」

 俺の答えに、父上は思い付くままにというような顔で、再度問いかけてくる。

 「お前の率いる魔法騎士団の騎士達が
  かなりの人数いたというのにか?」

 それに、あの時の状況と、俺が思ったコトをあわせて応える。

 「はい…グリフォン達は…
  エリカと私達が捕獲した
  ヌーリアを狙って来た模様でした

  が、グリフォン達の姿を
  確認したエリカが

  異世界より持ち込んだ
  マタタビなど猫の好む物を
  風魔法で与えたのです」

 「まさかそのように簡単なコトで
  あの獰猛で狡賢(ずるがしこ)い
  グリフォンが引っかかったとは………

  俄(にわ)かには信じられんな

  昔の文献にグリフォンを捕らえる為に
  大量のマタタビをばら撒いたが

  まったく反応しなかったと
  あったからなぁ~………」

 首を傾げて不思議そうに言う父上に、俺は反論した。

 「でも、本当にそうなんです」

 俺の顔を見て父上は苦笑しながら、頭の中を切り替えたらしい。

 「そうか………しかし
  三十数頭ものグリフォンか」

 30頭を超えるグリフォンの有用性を考えているらしい父上に、俺はエリカの言っていたコトを改めて伝える。

 「そのグリフォン達に騎乗して
  塩水湖に行き
  塩を作りたいとエリカが………」

 「そうか…聖女殿は我が帝国と
  お前に好意的だな……

  お前は、聖女殿と
  婚姻する予定なのか?」

 黙って説明を聞いた後に、父上は俺をからかうような顔で見てから、にやりと笑って言う。
 それに、俺は今まで思っていても口にしなかったコトを、ついへろっと言ってしまう。

 「はい。義務と責任が付いて回る
  皇太子妃になっても良いと
  言ってくれました

  そして、早く塩を作り
  塩ババアを排除しようと………」

 「そうか、聖女殿は、何時でも
  この帝国に愛と繁栄をもたらすのだな

  そして、聖女殿を娶った皇帝達は
  聖女殿を番だと言ってたが………」

 俺の本音を聞いてくすくす笑った後に、父上が真剣な顔で聞いてきた。
 獣人の血が濃いこの帝国の中でも、ドラゴニアンである皇族の俺達は、番という存在にとことん拘る。

 だが、魔力量が多い皇族が、実際に番に出会える確立は低い。
 一般の帝国民が、100人にひとりなら、皇族は、1000人にひとりの割合に近いと聞いたコトがある。

 ざっくりと言えば、聖女と婚姻した皇太子や皇帝以外の皇族が、番を得られる確立は無いに等しいらしい。
 そして、俺のエリカは、人間なので番だという自覚が無い。

 が、俺にはエリカが番だとはっきりとわかっている。
 だから、俺は、父上にはっきりと言った。
 嘘をつくべきではないと思ったから………。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ
恋愛
気分転換として、巻き込まれモノも書いてみようかと………。 でも、通常の巻き込まれは、基本ぼっちが多いようなので、王子様(笑)を付けてみました。 なんか、どんどん話しがよれて、恋愛の方に傾いたので、こっちに変更ます。

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

召喚されたのに、スルーされた私

ブラックベリィ
恋愛
6人の皇子様の花嫁候補として、召喚されたようなんですけど………。 地味で影が薄い私はスルーされてしまいました。 ちなみに、召喚されたのは3人。 2人は美少女な女子高生。1人は、はい、地味な私です。 ちなみに、2人は1つ上で、私はこの春に女子高生になる予定………。 春休みは、残念異世界への入り口でした。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。 だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。 「もっと早く癒せよ! このグズが!」 「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」 「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」 また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、 「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」 「チッ。あの能無しのせいで……」 頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。 もう我慢ならない! 聖女さんは、とうとう怒った。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

処理中です...