326 / 450
第16章 そして、パーティーが始まる
320★パーティー開始と同時に、こきおろすターゲットはエリカ
しおりを挟むエリカはアルファードのエスコートで、パーティー会場に入って行った。
その後に続いて、他の聖女候補達が、帝都騎士団の団長、中央騎士団の団長、東域騎士団の団長、西域騎士団の団長、南域騎士団の団長、北域騎士団の団長にエスコートされて入って来た。
本来の身分制度を考えると、公爵または侯爵家の当主が大半の騎士団長が先にパーティー会場に入るべきだった。
が、聖女候補達が不安にならないように、エリカとアルファードが、先に入るコトになっていた。
また、騎士団長達が、聖女候補達をエスコートするという事態を認識させる為に、わざと皇帝が順番を決めていたりする。
聖女候補達は、エリカの婚約者が魔法騎士団の団長だったから、その地位に合わせて、エスコート役を各騎士団の団長にさせると皇帝アルフレッドが言ったコトになっていた。
その立場から外された近衛騎士団の団長は、かなり嘆き悲しんだが、既婚者の魔法師団の団長と神聖魔法師団の団長は、のほほんと笑っていたりする。
忙しい騎士団の団長達とは違い、魔法師団と神聖魔法師団は研究を中心に稼働していたので、婚活をしてさっさと結婚していたのだ。
なお辺境騎士団の団長達は、このパーティーに参加したが、くじ引きに負けて聖女候補達のエスコート役にはなれなかった。
が、その程度で聖女候補を諦める者などいなかった。
その結果、エリカと聖女候補は、男達の熱い視線にさらされていたりする。
そんなエリカ達を守るはずのパートナーは、皇帝に呼ばれて少しの間は慣れるトコになってしまう。
これは、他の騎士団の団長や、高位貴族に聖女と知り合うチャンスを与える為だったりする。
そんな中で、聖女候補達を冷たい視線で見詰める集団がいた。
何時もなら、男達にちやほやされていた、貴族のご令嬢と皇女達の群れだった。
プライドの高い皇女達は、特にいらっとした視線を、聖女候補達に向けていた。
既に、父親たる皇帝陛下から見限られ、道具としての価値しかないという岐路に立っているコトを知らない皇女達は、自分の地位が危うくなっているコトを知らないゆえに、傲慢な自尊心に慢心して、聖女候補達を見下していた。
そして、格好のターゲット………苛めの………を見付ける。
それは、聖女候補のなかで、一番小柄でむちっとしているエリカだったりする。
すると、まず高位貴族の令嬢達が、エリカの容姿を酷評し始める。
「なぁ~に…あの不細工は………」
「不細工のくせに
聖女候補だからって………」
「アルファード様の瞳の色の
ネックレスとピアス………」
「まったく…身の程を
わきまえていませんわね」
「あの無駄に豪奢なドレス
きっと、無理矢理アルファード様に
強請ったに違いありませんわ」
「真珠をあしらったドレスなんて………」
「きっと、聖女候補から
堕されるのを憐れんだんですわ」
「あら、堕ちても
誰が通って下さいますの」
「あらあら…開店休業に
なりますわね」
「いえいえ…特殊趣味な殿方が
通いますわね」
「あんな不細工に通うなんて
そこまで悪趣味な殿方が
いらっしゃるのかしら?」
「そうですわねぇ~………
きっと、殿方が通わないと
食事を貰えないそうですから
きっと飢えて………」
エリカ達聖女候補からちょっと離れた場所で、令嬢達は思い思いにエリカの悪口を言っていた。
勿論、皇女達とその取り巻き達も、エリカの容姿を馬鹿にしていた。
「騎士団の団長達も可哀想に
あのように下賤な者達の
エスコートを陛下に
命令されるとはねぇ~………」
東の側室エスメラルダの次女サンディーヌの取り巻きが、口元を扇で隠して言う。
それに、呼応してサンディーヌが、くすくすと嗤いながら馬鹿にしたように言う。
「特に、アルファード義兄上は
皇子だというのに
あんな不細工を
エスコートさせられるとは
ほんに哀れよのぉ~………」
10
お気に入りに追加
2,241
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる