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第16章 そして、パーティーが始まる

320★パーティー開始と同時に、こきおろすターゲットはエリカ

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 エリカはアルファードのエスコートで、パーティー会場に入って行った。
 その後に続いて、他の聖女候補達が、帝都騎士団の団長、中央騎士団の団長、東域騎士団の団長、西域騎士団の団長、南域騎士団の団長、北域騎士団の団長にエスコートされて入って来た。

 本来の身分制度を考えると、公爵または侯爵家の当主が大半の騎士団長が先にパーティー会場に入るべきだった。
 が、聖女候補達が不安にならないように、エリカとアルファードが、先に入るコトになっていた。

 また、騎士団長達が、聖女候補達をエスコートするという事態を認識させる為に、わざと皇帝が順番を決めていたりする。

 聖女候補達は、エリカの婚約者が魔法騎士団の団長だったから、その地位に合わせて、エスコート役を各騎士団の団長にさせると皇帝アルフレッドが言ったコトになっていた。

 その立場から外された近衛騎士団の団長は、かなり嘆き悲しんだが、既婚者の魔法師団の団長と神聖魔法師団の団長は、のほほんと笑っていたりする。

 忙しい騎士団の団長達とは違い、魔法師団と神聖魔法師団は研究を中心に稼働していたので、婚活をしてさっさと結婚していたのだ。

 なお辺境騎士団の団長達は、このパーティーに参加したが、くじ引きに負けて聖女候補達のエスコート役にはなれなかった。
 が、その程度で聖女候補を諦める者などいなかった。

 その結果、エリカと聖女候補は、男達の熱い視線にさらされていたりする。

 そんなエリカ達を守るはずのパートナーは、皇帝に呼ばれて少しの間は慣れるトコになってしまう。

 これは、他の騎士団の団長や、高位貴族に聖女と知り合うチャンスを与える為だったりする。

 そんな中で、聖女候補達を冷たい視線で見詰める集団がいた。
 何時もなら、男達にちやほやされていた、貴族のご令嬢と皇女達の群れだった。

 プライドの高い皇女達は、特にいらっとした視線を、聖女候補達に向けていた。

 既に、父親たる皇帝陛下から見限られ、道具としての価値しかないという岐路に立っているコトを知らない皇女達は、自分の地位が危うくなっているコトを知らないゆえに、傲慢な自尊心に慢心して、聖女候補達を見下していた。

 そして、格好のターゲット………苛めの………を見付ける。

 それは、聖女候補のなかで、一番小柄でむちっとしているエリカだったりする。

 すると、まず高位貴族の令嬢達が、エリカの容姿を酷評し始める。

 「なぁ~に…あの不細工は………」

 「不細工のくせに
  聖女候補だからって………」

 「アルファード様の瞳の色の
  ネックレスとピアス………」

 「まったく…身の程を
  わきまえていませんわね」

 「あの無駄に豪奢なドレス
  きっと、無理矢理アルファード様に
  強請ったに違いありませんわ」

 「真珠をあしらったドレスなんて………」

 「きっと、聖女候補から
  堕されるのを憐れんだんですわ」

 「あら、堕ちても
  誰が通って下さいますの」

 「あらあら…開店休業に
  なりますわね」

 「いえいえ…特殊趣味な殿方が
  通いますわね」

 「あんな不細工に通うなんて
  そこまで悪趣味な殿方が
  いらっしゃるのかしら?」

 「そうですわねぇ~………
  きっと、殿方が通わないと

  食事を貰えないそうですから
  きっと飢えて………」

 エリカ達聖女候補からちょっと離れた場所で、令嬢達は思い思いにエリカの悪口を言っていた。
 勿論、皇女達とその取り巻き達も、エリカの容姿を馬鹿にしていた。

 「騎士団の団長達も可哀想に
  あのように下賤な者達の

  エスコートを陛下に
  命令されるとはねぇ~………」

 東の側室エスメラルダの次女サンディーヌの取り巻きが、口元を扇で隠して言う。
 それに、呼応してサンディーヌが、くすくすと嗤いながら馬鹿にしたように言う。

 「特に、アルファード義兄上は
  皇子だというのに
  あんな不細工を

  エスコートさせられるとは
  ほんに哀れよのぉ~………」










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