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0013★欲しかったのは超能力だったんだけど………
しおりを挟む…………今考えると、お爺の【対】ってお婆だったんだろうなぁ…………
…………俺には望みようのない、連れ合いだろうなぁ~…………
…………見るからに、最後の最後まで相思相愛って感じだったし…………
…………爺さんの顔…人の良い好々爺という表情しか浮かばねぇ~…………
…………婆さんは相変わらず、菩薩みたいに優しく微笑む人だったし…………
…………じゃないっ…爺さん…婆さん…今更だけどさぁ…………
…………超能力じゃなくて〔霊能力〕って言うモンだったよコレ…………
…………嗚呼…今でも、はっきりとあの時のコトを思い出せるなぁ…………
…………母さんの葬儀から、半年と少しくらい経った頃だよなぁ…………
…………もの凄く元気だった爺さんと婆さんが一緒に亡くなったの…………
当時のコトを威知護は夢現の中で思い出して、無意識にクスッとほのかに笑う。
…………今思い出しても、あの時のコトを考えちまうわなぁ…………
…………どぉ~して、あン時の俺は不思議に思わなかったんだろう?…………
それは、父親の竜治に連れられて、一般客にコソッと紛れて、紫桜院本家の当主とその妻の合同葬式に出ている時のコトだった。
亡くなったはずの曾祖父と曾祖母が2人して、大きな木陰から手招きしていたのだ。
そのコトを疑問にも思わず、威知護は父親の竜治が知り合いと話しに気を取られているコトを良いことに、木陰へと走り寄って挨拶する。
『こんにちは、お爺ちゃんお婆ちゃん』
そんなに威知護に、にこにこしながら、紫桜院本家当主夫妻は笑顔で言う。
『相変わらず威知護坊ぉは可愛いのぉ~………
どれ、約束通り…このジジが、坊に超能力をやるからのぉ~………
今日お家に帰ってぐっすりと眠ったら、立派な超能力者になっておるぞ』
『本当に、良い素質を持つ子に育って……嗚呼、名残惜しいわぁ~………
だから、このババも威知護に特別な〔力〕を授けましょう』
そう言って、威知護の頭を撫で撫でして、すぅ~っと2人してルンルンで晴れ渡る空へと昇って行く姿を見送ったのだった。
その時のコトを昨日のコトのように思い出した威知護は、内心で溜息を吐く。
…………言われた時、何故気付かなかったのかなぁ俺…………
…………何度も言うけど…これは超能力じゃなくて〔霊能力〕だぜ………
…………まぁ~〔霊能力〕に覚醒しちまったから…………
…………今更、そんなコトを言ってもしょうがねぇ~けどさぁ…………
葬式から帰って来て、後日父親に母親の祖父と祖母がどういう家の人間か聞いて、ガックリしたのは確かな事実だった。
そう、母親の実家が、元々〔霊能力〕を多く発現する特殊な家の系譜だというコトを知って、超能力というモノが夢幻のような存在だと知った威知護だった。
…………まぁ~…そういう系譜の血筋だから、素地はあったんだろうなぁ~…………
…………何時、眠っている〔霊能力〕が発現してもおかしくなかった…………
…………爺さん婆さんは、俺の中に眠っていた潜在能力を|覚醒〔かくせい〕させんだろうな…………
…………そう言えば、喪主って母さんの両親じゃなかったなぁ…………
…………今更だけど、喪主を務めた人って誰だったんだろう?…………
…………考えてみたら、母さんの両親、葬式に居なかったな…………
そこで、おかしいコトだらけの葬式だったコトを思い出し、威知護は自分がいかにもの知らずで無邪気だったかを思い起こす。
…………嗚呼…子供の無邪気な時期の不用意な発言でこれだよ…………
…………〔霊能力〕なんてモンに覚醒めちまって…………
…………あげくが、ソレで後々こんなに苦労することになるなんてなぁ…………
…………爺さん婆さんの合同葬式に出て以来、色々と視えるようになっちまった…………
それからのコトを思い出し、威知護は無意識に苦笑いを浮かべる。
そう〔霊能力〕に覚醒したと同時に、威知護は死んで霊体となった者と、生きている人間の区分けが付かなくなったのだ。
…………マジで、普通に生きている人間と、死んだ人…………
…………そして悪霊化している霊魂の類いの見分けがつかなくて…………
…………あの後、随分と苦労したっけなぁ…………
…………大人達には変な目で見られるしよぉー……はぁ~…………
…………もの知らずゆえの、身から出た錆びだもんな…………
…………そして、母さんから引いた血統ゆえなんだろうなぁ…………
…………覚醒した俺の能力に引き摺られてか…………
…………紅葉まで、しっかり視える人になっちまった…………
…………勿論、楓もどうやら視える人の仲間入りしているらしいし…………
…………家族に霊媒体質が居ると、その能力に触発されるって…………
…………本当だよなぁ~…いや、マジで…母さんの血筋だよな…………
…………でも、俺は親父もそうなんじゃねぇ~かと疑っていた…………
…………まず、あの爺さんに認められていたコトがおかしい…………
…………そして、最大の証拠は、母さんを護り隠しているあの部屋だ…………
…………水晶のお婆が言った消えた家の血筋でも引いてそうだ…………
…………じゃなくって、現実逃避しても金縛りは解けないよなぁ…………
威知護は落ち込んでもなんの改善の足しにもならないと、意識を無理やり切り替えにかかる。
が、思い出されるのはイヤな記憶ばかりだった。
覚醒した〔霊能力〕の影響なのか、威知護は異常なほど、傷の治りが早くなった。
そのセイもあって、こころ無い言葉を随分とぶつけられたのも、また確かなコトだった。
そのセイもあってか、威知護は喧嘩なんて日常茶飯事だった。
覚醒めた霊能力のお陰で、腕に付いた浅いナイフの切り傷くらいなら半日とかからず、完全に塞がるほどだった。
そのお陰で、威知護の治癒能力を目の当たりにした奴等には、ほぼ例外なく嫌悪と恐怖を滲ませて罵詈雑言を投げ掛けるのだった。
そう『気味悪いヤツ』や『バケモンっ』や『魔物っ』と呼んで、威知護の純粋なこころを傷付けたのだ。
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