11 / 23
0011★悪霊に見付かってしまいました
しおりを挟む教室を出た威知護は、取り敢えずというコトで保健室へと向かう。
途中、担当教室に向かう教師と行き交うが、顔色の良くない威知護を心配するコトはあっても、見咎めるようなコトは無かった。
ふらふらとおぼつかない足取りで、保健室にたどり着いた威知護だったが、そのドアを開けるコトは無かった。
なぜなら、手首に着けているミサンガが教室の時同様、熱くなったから…………。
…………嘘だろぉ~…このいやぁ~んな気配って教室に居たアレじゃん…………
…………うわぁ~…守護としてもらったミサンガも反応してる…………
…………あの時、がっちりと悪霊と視線が合ったような気がしたけど…………
…………クソッ…気のせいじゃなかったのかよ…見えないはずなのに…………
…………あっ…そっか…とり憑いた女子の視線を通して、俺を見たのか…………
…………霊体状態では認識できなくても、とり憑けば見れるってコトかよ
…………
…………ソコは盲点だったな………じゃない、マジで不味い…………
…………確実に、保健室ン中に、あの悪霊は居る…………
…………これだと、あの女子に張り付いたまま先回りしたってコトだな…………
…………まだ、学園内の避難場所の確認が終わってないって~のによぉ…………
保健室の中で待ち構えている、まるで蜘蛛のような悪霊を前に、威知護は敵前逃亡をはかる。
…………こういう時は三十六計っだよな…………
…………どっか隠れられる、清浄なスポットに逃げ込もう…………
自分では手に負えない悪霊と判断し、威知護はそぉ~と気配を殺して、取り敢えず外へと逃げるのだった。
…………確か、弓道部が使っていた体育館…わりと綺麗だったよなぁ…………
…………毎日部活動しているわけじゃないだろうけど、祓われてたよなぁ~…………
そんなコトを考えながら、澱んだスポットを避けつつ、幾つかある体育館のひとつへと向かった。
威知護は、悪霊と視線があった後から、妙な倦怠感と眩暈を感じていたコトで、自分の判断能力が落ち居てるコトに気付かなかった。
体育館に入った威知護は、人目を避ける意味で、舞台の左右にある二階の小部屋へと入った。
ちなみに、椅子などを収納する部分は、澱みがあるので、隠れ場所としては論外だった。
二階の小部屋のひとつに入った威知護は、妙な疲労感を感じて、予備として置かれている真新しい体操用マットを広げ、そこに倒れ込む。
…………うげぇ~…まいった…一瞬視線が合っただけなのに…………
…………〈生気〉を吸い取られた気がする…あぁ~クラクラする…………
体操用マットに身体を伸ばして、双眸を閉じた威知護は何とはなしに欝々とここ最近に起こった出来事を考えていた。
環境が激変したコトによる疲労がピークにきていコトも、ある意味では自覚していた。
…………はぁ~…なんか…ものすごぉ~く疲れたなぁ~…………
…………誕生日からこっち、ずっと気を張り詰めっぱなしだったし…………
迎えの車に乗って、紫桜院本家の正門に到着するなり、利権の亡者と化したジジババの出迎えから始まり。
母親の元婚約者とか言う男に、勝手に【対】宣言されるは、調教してやるなどと言われるわ…新しい学校の編入試験…と、威知護は無意識指折りして重い溜め息を吐く。
その間も、チラチラと視界の隅に現れる、元母親のジジババ公認の自称婚約者の姿に、威知護は神経を尖らせていた。
一応は、威知護を当主と仰ぐ、萌葱を筆頭にした使用人達が警戒して、見つけ次第排除しているのだが、何時の間にか本家周辺に現れるのだ。
…………間違いなく、長老達の誰かが手引きしているんだろうなぁ…………
…………桜霞学園以外の行く先々に出没ジジババとクズ男…………
…………あのクズ男…なんて言ったっけ……たしか…………
…………視気観優希とか言ったっけ…………
…………でも次男の秀明さんの方が優秀だって言ってたな…………
…………水晶のお婆様、めっちゃ怒ってたなぁ~…ああ眠い…………
眠気を自覚すると同時に、溜まりに溜まった疲労感から、意識が暗闇へと引き摺られ、次第に深い睡眠へと滑り落ちて行くのだった。
中二階の外側の窓が空気の入れ替えの為に開けられていた為、心地よい風が疲れ切った威知護を慰撫するように流れる。
だが、邪悪なる手先は、逃げられた獲物を求めて、桜霞学園内を徘徊していた。
勿論、何度も穢れた邪霊や悪霊に遭遇したお陰で、シンの施した悪霊などからは見えないという呪いの効力が薄れつつあるもの、威知護の知らない事実だった。
そして、その呪いによって封じられたはずの刻印から、微かに流れるモノを感知して、一度は見失った獲物の存在を知覚し、探し回っていたのだった。
さながら、海に落ちた一滴の鮮血に反応するサメのように…………。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
檻の中
Me-ya
BL
遥香は蓮専属の使用人だが、騙され脅されて勇士に関係を持つよう強要される。
そんな遥香と勇士の関係を蓮は疑い、誤解する。
誤解をし、遥香を疑い始める蓮。
誤解を解いて、蓮の側にいたい遥香。
面白がる悪魔のような勇士。
🈲R指定です🈲
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説はだいぶ昔に別のサイトで書いていた物です。
携帯を変えた時に、そのサイトが分からなくなりましたので、こちらで書き直させていただきます。
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
マフィアのペットになりました。
かとらり。
BL
藤谷真緒はごく普通の日本人。
ある時中国に出張している父親に会いに行ったら、チャイニーズマフィアに誘拐されて次期トップの李颯凛(リ・ソンリェン)に飼われることになってしまう。
「お前は俺のペットだ」
真緒は颯凛に夜な夜な抱かれてー…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる