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0006★妹達は女学院に放り込まれるようです

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 何時も通りに起床した俺は、両脇に寝ていた妹達を起こす。

「おはよう、楓、紅葉、今日は学校休んで良いからな」

 目を擦っている双子の妹の頭を撫で、威知護いちごは普段着に着替え、台所へと向かう。

 …………さぁーて、今日の朝食、何にするかなぁ~…………
 …………親父も、今日は休んでくれるみたいだし…………

 …………本当はこっそり母さんの顔を見て行きたかったけど…………
 …………親父は、俺が知っているって知らないしな…………

 …………顔を見て行くのは、ちょっとムリそうだよなぁ~…………
 …………取り敢えず、紅葉と楓のケアーだな…………

 …………昨日、寝付くまで結構グズグスとぐずっていたしな…………
 …………突然、家族のひとりが居なくなるんだ…………

 …………まぁ~ぐずるのもしょうがねぇ~よなぁ~…………
 …………まだ、そういうコトを納得できる年じゃねぇ~しな…………

 …………俺だって、本音を言えば納得してねぇ~けどな…………

 …………襲われて死んだコトになっている母さんの…………
 …………葬式にも来ないようなジジババに、元婚約者…………

 …………そんなモンが居座っているような 紫桜院本家しおういんほんけになんて…………
 …………大事な妹達を、身代わりに送るなんコトできない…………

 …………欲に憑りつかれた見境の無いジジババと…………
 …………爺様に認められなかった厚顔無恥な元婚約者…………

 …………妹を子供を産む道具にする未来しか見えない…………
 …………幼いなんて関係ない、孕めればイイなんて言いそうだ………

 そんな埒も無いコトを考えつつ、威知護いちごは何時もと変わらない朝食を作る。

 そうこうしている内に、竜治と楓と紅葉がテーブルに着く。
 威知護いちごは炊き立てのご飯をお茶碗によそい、具だくさんのお味噌汁を添える。
 サラダの皿に卵焼きにウインナー、シャケの切り身を添えて出す。

「ノリの佃煮と食べるラー油の瓶も出してあるからな」

 何時もと変わらない日常の風景に、楓が涙目になる。
 そんな中、竜治は言う。

威知護いちご、スマホは置いていけ
 向こうで、ちゃんと当主んなったら連絡して来い」

 ちょっと情緒に疎い竜治は、涙目の楓の隣りで睨む紅葉に気付かなかった。

「俺の部屋の机の上に置いて来たから………
 後で確認してくれ

 ああ、データーは消去しといたから………
 あると、ついつい頼りたくなるからな」

 既に覚悟を決めている威知護いちごの言葉に、竜治は頷く。

「俺が後継者ってコトで決まっているみたいだけど
 充分、楓と紅葉のコト気にしてくれよ

 母さんの血を引いているならって狙われないようにな
 特に、元婚約者とかいう厚顔無恥男には気を付けろよ

 脳内お花畑の馬鹿は見境ないからな
 最初から爺さんに認められてないっていうのにさ

 ジジババに纏わりついて、本家に堂々と居座ってるんだろ
 絶対に、ロクなヤツじゃないだろうからな」

「そこは、俺も懸念してたから、わかっている
 だから、2人は寮のある女学院に入れる

 身内でも簡単に会えないような学校だ
 面談も厳しい審査をしないと通らない

 勿論、2人一緒の方が安全だから同じ学校だ
 ついでに、こちらの事情を話して

 珠貴の両親は接近禁止対象にしてもらった
 勿論、身内に該当しない」

 竜治からの言葉に、威知護いちごはホッとしたような表情になる。

 「「聞いてないっ」」

 ハモる双子に、竜治は首を振る。

「言ってないからな…ギリギリまで伏せた
 勿論、今行っている学校にいるコトにする。
 で、突然の病気で休学ってコトにする

 お前達が、厳格な女学院に移動したコトは
 誰にも言わない

 威知護いちご紫桜院本家しおういんほんけで正式な当主になって
 珠貴の両親を抑え込めるようになるまでは
 世間一般には出さないからな

 紅葉と楓にも不自由を与える、すまないな
 珠貴の両親は、金と権力の亡者だ

 お前達が人質にでもなったら、威知護いちごは珠貴の両親の
 無茶苦茶な要求をのまなければならなくなる」

 その言葉で、自分達の行動が兄である威知護いちごを危険に晒す可能性が高いコトを悟り、シュンっとする。

「まっ頑張って、さっさと勘違いジジババを抑えるさ
 考えてもみろ、母さんの葬式に来ないような人達なんだぞ
 常識が通じると思うな」

 威知護いちごの言葉に、紅葉も楓も真剣な表情で頷く。

「私達、ちゃんと女学院でおとなしくしているから」

「早くちゃんとした当主になって、迎えに来てね」

 そんな2人に頷き、威知護いちごは言う。

「ああ、できるだけ早く、正式な当主になってみせる
 つーことで、湿っぽい話しはここまでにして………」

 威知護いちごの言いたいコトを理解した楓と紅葉は、いそいそとここ数日頑張って作った力作のケーキを取りに台所の冷蔵庫へと向かう。
 その間に、威知護いちごは竜治を振り返って言う。

「んで、その女学院って大丈夫なのか?」

「それこそ、やんごとない血筋の方を護る為の学校だ
 警備という意味じゃバッチリだぞ

 勿論、霊の類いも寄せ付けない【守護結界】が張られている
 女学院をすっぽりと包むような大規模なモノだ

 霊を使役して中を覗き見されるコトも無いから大丈夫だ
 威知護いちごはそういうモノをちゃんと認識できるが
 まだまだ、楓も紅葉もそういう意味じゃ甘いからな

 だから、ソコに入れるコトにした
 騙されて女学院の外になんてでないようにな」

 竜治の威知護いちご言葉には頷く。

「最近、俺のまわりもおかしいんだよな
 変な悪霊とか、チラホラと出没している

 たぶん、それは……そのジジババ……というよりは
 その厚顔無恥な、元婚約者があやしいと思う

 悪霊を使って覗き見しているんだろうな
 もっとも、この家は親父の友達が紹介してくれた
 〔霊能力者〕のお守りが張られいるもんな

 昨日も、玄関で弾かれているのたぜ」
 クスクスと笑って言う威知護いちごに、竜治は肩を竦めるだけだった。











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