上 下
104 / 173

0103★第三の瞳は第三の瞳のようです

しおりを挟む


 こころの中で思いっきり叫んだリアは、腕の中に抱きかかえた、わりとずっしりとする物体に、ハッと意識を取り戻す。

 ありゃりゃ~……もしかしなくても、意識が飛んでたのかなぁ?
 じゃなくて、コレってやっぱり、あの龍帝陛下の第三の瞳なんだよねぇ~……
 見掛けや大きさを考えると、かなり軽いよねぇ~………じゃないでしょ、私

 この第三の瞳に反応して、ほんの一瞬とはいえ、龍帝陛下が覚醒めたんだから
 あげくに、トレント亜種? から、強引にむしり取ってくれたんだし
 まぁ~…そのお陰で、わりかし簡単に討伐できたのは、確かな事実だけどね

 じゃなくて、これって………もしかしなくてもぉ………
 私のお腹の中で眠る龍帝陛下の御霊に、第三の瞳も反応したってコトかな?
 それなら、さっきの映像の理由も……認めたくないけど、納得はできる

 ようするに、この第三の瞳が見たモノだったのかもしれないってコトよねぇ
 そう言えば、隠しミッションイベントが色々とある、乙女ゲームだったわねぇ
 たしか……『龍帝陛下の珠玉』なんていうモンあったわね

 こうなってくると……どっかの死神の王様みたいなモンもあったりして
 そう、こういう古代遺跡とかに、龍帝陛下の手だとか足なんかもありそうだわ
 はぁ~…こうなったら……乙女ゲーム的なモンは…全力でスルーしてやる

 取り敢えず、コレは抜け殻と一緒に放り込んでおくしかないかしら?
 それでも、もし龍帝陛下の身体の一部とかが封印されていたら………
 やりたくないけど、ちゃんと回収するしかないわよねぇ

 だって、龍帝陛下の身体の一部なんて、人族が扱うには危険すぎるモノだもの
 まったく、誰なんでしょうねぇ~……はた迷惑なコトしてくれるのは……はぁ~……
 いや、だいたいは想像つくんですけどねぇ~……

 私のお腹の中にある、龍帝陛下の御霊を御霊移しした陽の精霊王の靈石が存在する
 ということは、きっと、堕ちた陽の精霊王の神子も存在しているでしょうねぇ
 そして神子を、巧妙にそそのかしたモノがいるのも確かでしょうねぇ……はぁ~……

 元・陽の精霊王の神子自身が、そういう性質だとは思わないのよねぇ………
 そして、私という前世の記憶持ちがいるコトを考えればねぇ……ふぅ~………
 前世でも、いたモノねぇ~…なんで、そういう思考になるのか? っていう人

 自分だけが可愛くて、全てにおいて、自分が優先されるのが当たり前
 他人の嘆きほど面白いモノは無いっていう性悪
 お局様なんか、ものすごぉぉぉぉ~く可愛い性格って思える、究極の我が儘な人

 思い付くだけで、それだけ該当する人居たものねぇ………はぁ~……
 前世の私でさえ、そういう人を見たコトあるくらいだもの
 そんな、存在自体が迷惑な人が、記憶を持ったまま、こっちに転生していたら………
 嗚呼、考えたくないわぁ………はぁ~………

 この世界にも、私と同じように前世の記憶を持っている人……居そうだしなぁ………
 その上で、私はヒロインだから、何をしてもOKなの💛なんてのが居たら最悪だわ
 そういう記憶持ちの、とんでもちゃんとは絶対にかかわりあいになりたくないわ

 溜め息しか出ないリアは、ヒロイン枠のイベントは全力スルーをこころに決めつつも、龍帝陛下に関連するモノは、できる限り回収しようと思うのだった。

 御霊の他に、抜け殻となった本体さえ、手に入れているリアは、そのコトがどれだけもの凄いコトか気付かずに、腕の中の第三の瞳を見下ろして呟く。

 「流石に、ユナに吸収させるなんてコトできる代物じゃないわよねぇ……ルリで無理っていうぐらいだし……コレどうしようかしらねぇ~………もっとコンパクトなら良かったんだけど……」

 なんて言うコトを呟いたリアの言葉に反応したかのように、シュルシュルっともの凄い速さで縮み、ウズラの初玉と変わらないぐらいに収縮するのだった。
 そして、ヒュッとリアの掌の中から飛び出して、その額にペタッと張り付き、さもソコが自分の居場所だとばかりに、潜り込むのだった。

 本当に、一瞬のコトだったので、誰も動くコトができなかった。
 額に飛んで来たが、当たった感じもなく、なんとなぁ~く額に温かいモノを感じるなぁ程度しか感じなかったリアは、きょとんとする。
 が、周りにいた者達は大慌てする。

 「「リアっ」」
 「リアお姉ちゃんっ」

 「えっ?」

 ルリやグレン、ユナがワタワタすると、シャドウハウンド達もなにごと?と慌てて周囲に鋭い視線を走らせてグルルっと唸る。
 シャドウハウンド達にすれば、リアは大事な主人(=勝手に、自分達の主だと認定している)なのだ。

 あわあわする三人に小首を傾げてリアは、ほけほけと考える。

 えぇ~とぉ………もしかして、みんなが私の額を見て騒いでるのってぇ………
 ちっちゃくなったのが飛んで来たけど、私の額に張り付いたの?
 別に、痛みとか、なぁ~んにも無いんだけどぉ~………

 そうすると、このなんとなく温かいのって、第三の瞳のセイでしょうかねぇ~…
 でも、ただ単に張り付いただけで、そんなに騒ぐもの?
 …………ルリもグレンも、ユナまで、何をそんなに…………ぃぃぃたぁぁ~………

 ズキンッというもの凄い痛みを感じたと同時に、妙な映像がもの凄い速度で流れて、リアは思い切り目眩を起こして倒れる。
 が、グレンがサッと抱きとめて、リアを抱き上げ、馬車へと向かう。

 ルリは周囲に危険が無いコトを確認し、シャドウハウンド達に馬車と軍馬を護るように待機するコトを命令してから、グレンを追い駆ける。

 ユナは、グレンがリアを抱き上げた段階で馬車へと走り、ドアを開けてリアを抱えたグレンが馬車へと入りやすようにする。

 勿論、ささっと中に入り、倒れたリアを寝かせられるようにしたのは言うまでもない。

 意識がブッツンしてないけど、目眩がもの凄いわ
 それに、妙に気怠いのってなんでかなぁ?
 コレ、あの時に似ているわぁ~………

 残業三昧になった、魔の三日間
 クライアントがもの凄く性格が悪くて、やり直し何度もしたっけ
 お局様でさえ匙なげて、私に押し付けたのよねぇ~………はぁ~……

 ものごっつ美形なクライアントだったから、みぃ~んな群がって………
 結局、仕事は私の方に回されたのよねぇ………
 残業代と、特別手当は嬉しかったけど、アレはキツかったなぁ………

 あははは………なんか、もの凄くいっぱいの魔法陣だわぁ~………
 んん? …あれ? コレ見たコトあるわ………
 って、龍帝陛下に使われていたのもかなりあるわねぇ………

 ああ、知識がどどっと雪崩れ込んで来て、対応しきれなくてブレーカー落ちたんだ
 今の私の身体って、そういう状態ってコトでしょ
 う~ん……痛みは直ぐに無くなったのに、まだ、目眩がおさまらないんですけど

 取り敢えず、目眩が落ち着くまでここでおとなしくしておくしかないかなぁ
 ああ、まず確認しておかないとねぇ………はぁ~…めんどい
 他者から見た状態を知りたいし、聞いてみるのが一番ね

 「グレン、私の額に張り付いた第三の瞳ってどうなっているの?」

 リアの言葉に、グレンはそのまま言ってイイものかと、ルリとユナへと視線を振る。
 その視線を受けて、ルリは端的に事実を言う。

 「リア、あんたの額の中におさまっているよ」

 言われて、気怠さのあるリアは、確認するように額へと指を持って行く。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

訳あり王子の守護聖女

星名柚花
ファンタジー
下民の少女ステラは姉のように慕っていた巫女ローザに崖から突き落とされた。 死にかけたステラを助けたのは隣国アンベリスの第三王子ルカ。 ――もう私を虐げるばかりのエメルナ皇国で巫女見習いなんてやってられない! 命を救われた恩義もあるし、これからは隣国のために働こう! そう決意した少女の奮闘記。 ※他サイトにも投稿しています。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

転生した愛し子は幸せを知る

ひつ
ファンタジー
 宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。  次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!    転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。  結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。  第13回ファンタジー大賞 176位  第14回ファンタジー大賞 76位  第15回ファンタジー大賞 70位 ありがとうございます(●´ω`●)

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

処理中です...