上 下
103 / 173

0102★本当にもうお腹いっぱいなんですけど

しおりを挟む

 その言葉から、ルリも幼少期には両親から魔石をもらって色々な意味で成長して来たと理解する。

 なるほど、ルリもそうやって強く大きくなったのね
 なら、ユナもそうやって育てればいいってことね
 まぁ~ユナは神獣だから、吸収させる魔石は厳選したほうが良いわよねぇ

 リアとしても、ユナが神獣と判ってから、どういう風に育てるのが正当かをちょっと考えていたので、ひとつの指針ができたコトにホッとする。
 そんな中、ルリが大きな元・皇帝陛下の第三の瞳を、リアへと持って来る。

 「ユナに、あのトレント亜種? の魔石は吸収させた用だけど、コレはどうする? コレの扱いは、アタシでもちょっと困るモンだよ」

 そう言いながら、何気にラグビーボールの一番大きなサイズを更にふた回りぐらい大きくして、もう少しずんぐりむっくりした、元・龍帝陛下の第三の瞳を、リアへと差し出す。
 ルリが抱えて来た、元・龍帝陛下の第三の瞳は、その中央に瞳孔を表わす縦中の色違いの筋がしっかりと入っていた。

 いやぁ~…大きさはめっちゃデカイけど、もの凄く綺麗だわぁ~………
 透明度が極上の、中央に向かって色がより濃くなるグラデーションの紫水色
 その中央に、黒色と見まごうほど来い深紅の縦長瞳孔が凄く綺麗だわぁ

 本体の額に嵌まっていたら、さぞや見ごたえのある御姿だったろうなぁ~……
 って、そこまで明るくできなかったけど、龍帝陛下って瞳を閉じていたわ
 もしかして、抉り取られていたってコトかしら?

 あの遭遇してからの、本当に短い時間のあの時に見た姿を思い出して、リアは無意識に身体をブルッと震わせる。
 体中に杭のようなモノを打たれ、その杭に繋がる、呪詛のようなモノが練り込まれた鎖が暗闇の空間へと延びていた。

 全身のいたるところに杭は打ち込まれていた、その全てに鎖が繋がっていたコトを思い出す。

 あの杭の一つ一つから繋がる数えきれない無数の鎖から、生命力や魔力を吸い上げられていたのだろうと予測できたリアは、ゴキュッと喉を鳴らす。
 あの時、龍帝陛下の双眸も第三の瞳も開いて無かったのは、そういうコトだったのね

 もう、命の焔(ほむら)が切れかけていたから、瞳を開けている力が無かったと思ったけど
 あんな姿にされていたし………ココに第三の瞳が存在するってコトは………
 たぶんに、そういうことなのだろう

 誰がしたコトかは、私にはわからないけど許されるコトではないわ
 前世の乙女ゲームに、チラッと第三の瞳が出たコトがあった
 アレはファンデスクに入っていたものだったのかしら?

 それとも、初回特典として封入されていた、特別抽選券で当てたモノだったのかしら?
 自分で買って、やり込みしたモノじゃないから、そこが判らないわ
 あの妹(こ)は、だいぶ課金とかグッズとか買い込んでたものねぇ

 そう言えば、買ったのバレると困るからって、私の部屋に置いていたわね
 今更だけど、私があっちで亡くなった後、どうなったのかしらねぇ
 いや、今更だけど、ちょっとだけ気になるのよねぇ

 まぁ~…今は、それどころじゃないんだけど…………
 そう言えば、隠しミッションイベントのひとつだったっけ?
 ゲットしろ『龍帝陛下の第三の瞳』って、いうのがあったわね

 私がやったルートに、そんな隠しミッションなんて出なかったのよねぇ
 ああ、オープニングとエンディングの一部の場面はかなり正確に覚えているけど
 その映像クレジットに、ほんのちょびっと、一瞬、色々とカットで入ってたのよねぇ

 例えば、どっかの神殿らしいモンとか、幻獣らしいモンの一部とか人影とか
 その中に、龍帝陛下の第三の瞳も映っていたんだよねぇ~………
 アレって、深夜の宣伝用映像クレジットだったのかなぁ?

 流石に、前世で終電か終電間際のに乗って、帰宅した時に見たモノは記憶が微妙だわ
 たぶんに、そういうヤツだとは思うけど………
 そう言えば、この大陸の話しもあったわねぇ

 って………あれ? えっ…とぉ~………今、妙なの浮かんだんだけど
 ちらっと……アゼリア王国の成り立ちの…穢れた土地の理由ぅぅぅぅぅ~………
 あははは………もしかして、龍帝陛下の第三の瞳と関係ありぃぃ~…

 現公爵と、ものごっつよぉぉ~く似た人物が、誰かから受け取っているんですけど
 ソレ、ぜぇ~…ったいに…龍帝陛下の第三の瞳でしょぉぉぉぉぉぉ………
 クソッ……観え無いっ…第三の瞳を差し出したヤツ……誰だぁぁぁ

 んでもって、何、その可憐な少女から美幼女までのうつむいている集団
 パッと見て、二十人以上いる娘達…みぃ~んな…死んだ目しているじゃないのぉ~……
 これってアレなの? 生贄みたいなモノってコト? 

 たぶんに、龍帝陛下の第三の瞳と交換で、少女~幼女まで誰かに引き渡している
 なんで、現公爵にあんなに似てるのぉ~かしらぁ?
 いや、それ以前に、何処から流れた来た映像なのぉぉぉぉ~………

 と、こころの中で思い切り叫んでいたリアは、ルリから差し出された元・龍帝陛下の第三の瞳を無意識に受け取って、抱き締めていたりする。
 ちなみに、リア自身は無意識に、ほぼ条件反射で、ルリの差し出したモノ………主にルリが獲って来た獲物………を受け取るをしていたのだ。

 そんな風に第三の瞳を受け取って、抱き締めたコトで、リアの中に本体の御霊が眠って居るコトに反応した結果が、妙な幻視であったりするのだ。
 リア自身が、その現象や理由に気付くのは、この後しばらくしてからのコトだが、リアが幻視で観るコトになった映像は、その受け取った第三の瞳からなのは確かな事実だったりする。

 そう、アゼリア王国は、その成り立ち以前から、問題ありの人物が、しっかりしと王国の中枢付近に紛れ込んでいたのだった。
 もう、絶対に直視したくないような、真実へと思考が行きついた瞬間。

 取り敢えず、現実逃避と物理逃避は必須だわ
 私は、何も知らないってコトで、アゼリア王国のコトはパスよ
 まずは、ここの古代遺跡を堪能したら、絶対にもっと遠くに移動よ

 こころの中で、大きく叫んで握りこぶしを作るリアであった。










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

あなたが幸せならそれでいいのです

風見ゆうみ
恋愛
流行り病にかかった夫の病気を治すには『神聖な森』と呼ばれている場所にしか生えていない薬草が必要でした。 薬草を採ってきたことで夫の病気は治り、今まで通りの生活に戻るはずだったのに、夫に密かに思いを寄せていた私の親友が、自分が採ってきたと嘘をつき、夫もそれを信じてしまったのです。 わたしが採ってきたと訴えても、親友が採ってきたと周りは口を揃えるため、夫はわたしではなく、親友の意見を信じてしまう。 離婚を言い渡され、追い出された私は、実家に帰ることもできず、住み込みで働ける場所を探すことにしました。 職業斡旋所に行ったわたしは、辺境伯家のメイドを募集している張り紙を見つけ、面接後、そこで働けることに。 社交場に姿を現さないため『熊のような大男』(実物は違いました!)と噂されていた辺境伯の家での暮らしになれてきた頃、元夫の病気が再発して―― ※独特の世界観であり設定はゆるめです。

●婚約破棄ですって…!!でしたら、私に下さい!!●

恋愛
セイラ・エトワール辺境伯令嬢はつい先日16歳を迎えた。   本日デビュタントのものだけが着ることを許された純白のドレスに身を包みながらも、セイラはどこか浮かない顔をしている。 そんなセイラがなぜ浮かない表情を浮かべていたのか……いないのです。 そう.…見た目は麗しい淑女であり、引く手数多であろうと思われる彼女だが実際は恋愛経験ゼロ!! それならばと両親が躍起になって婚約者を探すが、それでも見つからないのだ…!! このままでは一生独身を貫くことになるのでは!?と危惧した父親が今回のデビュタントにて良い縁を結んでこられなければ、セイラを領地の修道院に入れると…!! のんびりスローライフを送りたいセイラはそれでも良いかもの楽観視するが、娘の現状を嘆いた母が泣きながらセイラを説得するため、渋々王宮へとやってきたのだ。 これからどうするか…と料理をつまんでいると、会場の奥から甲高い大きな声が響き渡ってきた。 遠くて話の内容がよく聞き取れなかったけど…王女様と見覚えのない金髪の優男が寄り添っている。 その2人の前には顔は見えないが黒髪の青年が絶望した空気を背負いうずくまっているのが見えた。 えっ!!いま婚約破棄とおっしゃいました!? でしたら、私のところに連れて帰っても問題ないのでは!? その青年、私に下さい!! 全て声に出ていたのか王女様と金髪と黒髪の青年は驚いた様子でセイラを見ていた。 そんな何を言い出すか分からない破茶滅茶な行動の辺境伯令嬢が巻き起こすドタバタラブストーリー!!

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

あなたがわたしを本気で愛せない理由は知っていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。

ふまさ
恋愛
「……き、きみのこと、嫌いになったわけじゃないんだ」  オーブリーが申し訳なさそうに切り出すと、待ってましたと言わんばかりに、マルヴィナが言葉を繋ぎはじめた。 「オーブリー様は、決してミラベル様を嫌っているわけではありません。それだけは、誤解なきよう」  ミラベルが、当然のように頭に大量の疑問符を浮かべる。けれど、ミラベルが待ったをかける暇を与えず、オーブリーが勢いのまま、続ける。 「そう、そうなんだ。だから、きみとの婚約を解消する気はないし、結婚する意思は変わらない。ただ、その……」 「……婚約を解消? なにを言っているの?」 「いや、だから。婚約を解消する気はなくて……っ」  オーブリーは一呼吸置いてから、意を決したように、マルヴィナの肩を抱き寄せた。 「子爵令嬢のマルヴィナ嬢を、あ、愛人としてぼくの傍に置くことを許してほしい」  ミラベルが愕然としたように、目を見開く。なんの冗談。口にしたいのに、声が出なかった。

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています

矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜 ――『偽聖女を処刑しろっ!』 民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。 何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。 人々の歓声に包まれながら私は処刑された。 そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。 ――持たなければ、失うこともない。 だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。 『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』 基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。 ※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

処理中です...