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0078★お母さんウクダに名前を付けました
しおりを挟む母ウクダが壁や床をカリカリするので、そのたびにその場所を入念に調べ、時に魔力を流して確認する。
と、まずソコにはかならず何かがあった。
結局、母ウクダ主導の探索で、希少な貴金属・オリハルコンらしき剣を入手したので、即座にグレンが装備することになった。
他にも、イージスの盾と鑑定に出た腕輪があり、一番ひ弱なセシリアが腕輪型のアイテムボックスを嵌めたのとは反対の手首に装備するコトになった。
ちなみに、イージスの盾は、何もしなくても常時防護展開されるようである。
とっさに魔法で結界などを張れなくても、瞬時に勝手に防護するモノならしい。
他には、見掛けがちょっと変わった畳んだ翼のような衣装の腕輪型のボウガンもあり、それはユナが装備することになった。
通常は手首から肘までの外側を護るような腕輪だが、魔力を込めるとパシュッという音ともに翼を模したモノが広がり、その間に弦が張られている形になる。
魔力が矢の形になって飛ばされる為、実際の矢を必要としないモノらしい。
普通の宝箱も2つほど出て、中身は魔石や魔晶石と装飾品に加工されていた首飾りや腕輪などが入っていた。
なお、母ウクダはなぜか首飾りが気に入ったらしく、ちょうだいをしたので、セシリアはなーんにも考えずに、その首に飾ったコトは言うまでもない。
そして、誰もそのコトに突っ込みを入れなかったのは確かな事実だった。
何と言っても、色々な隠しの中からそれらを発見したのは、母ウクダだったからである。
母ウクダは、セシリアに首飾りをかけてもらうと、嬉しそうにその空間からトテトテと出て行く。
が、勿論、セシリア達が付いて来ているかを確認して立ち止まって振り返ったりしていた。
それで、もうこの空間には気になる場所が無いと判断して、セシリア達も笑いながらその後について行くコトにした。
勿論、装備するモノは装備し、しまうモノはアイテムボックスに収納して、その後ろを追い駆けるのだった。
元、建物らしい石造りの場所を抜ければ、足元にちょぼちょぼと生えている雑草らしきモノを母ウクダは優雅に毟って口をモゴモゴさせていた。
その姿を見て、セシリアはクスッと笑う。
「今回のお母さんウクダちゃんは大活躍だったわね」
うふふふ………だいぶグレン達相手に、どもらずに普通に喋れるようになったわ
美人は3日で飽きる、ブスは3日で慣れるって言葉あるけど、その通りだわぁ
いや、グレンは相変わらずのイッケメンだけどね
ルリも、超絶ワイルド妖艶美女だし
ユナなんて、狐っ娘特有の愛らしさ満点だし
はっきり言って、墫な体型の私は異物だわ
グラコロのキャベツの気分ね
ぜぇ~んぶ小麦粉(=美しいモノ)製品に、キャベツ(=野菜)
それをたまたま耳にした時はちょっと?とも思ったけど
今、まさにその気分だわ
3人と一緒にいて違和感が薄れるように、せめて痩せないとね
そんなセシリアの気持ちに気付かず、グレンが頷いて言う。
「本当になぁ…野生のカンていうのは侮れないな」
「確かにねぇ……アタシでも気付かないようなモンに気付くんだから凄いよ」
グレンとルリに褒められた母ウクダは、口をモゴモゴとさせながらトテテテッと戻って来て、セシリアの身体にスリスリする。
どうやら、セシリアにもっと褒めてとねだっているらしい。
「うふふふ……大活躍だったわよ……流石ね」
そう言いながら、スリスリする頭や顔を撫で、首筋を何度も撫でると、満足そうにクゥ~っと可愛らしく鳴いて、尻尾をフリフリと振る。
良く観ると、動物園などで観たラクダよりもかなり幅があって長くて、ふさふさした尻尾をしていた。
へぇ~……こういうお尻尾だったんだねぇ
今まで、あまりそういうコトを気にする余裕なんて無かったのが自分でもわかるわね
じゃなくて、お母さんウクダちゃんにも名前が欲しいわねぇ~……
可愛いウサギみたいなの幅広の垂れ耳も可愛いわよねぇ
このまま旅にまで付いて来てくれそう出し
名前を付けちゃっても良いよねぇ……イイよね……うふふふ
お母さんウクダちゃんと出合ってから良いコトが結構あったからねぇ
なんとなくラッキーセブンな気分かしらねぇ……
う~ん…ラッキーだと男の子っぽいかな?
セブンから取ってナナのが良いかしら?
ここはやっぱり呼びやすくて、可愛い感じが良いわねぇ
よし、今日から『ナナ』って呼ぼう
「お母さんウクダちゃん、今日から貴女を『ナナ』って呼ぶわね……イイかしら?」
鼻先を撫でながら、そう問い掛けるように言えば、ナナは嬉しそうにウサギのような耳をふわりと拡げて、とても甘い声でクゥ~っと鳴いて頷いた。
「リアお姉ちゃん…名前がもらえて、とても嬉しいって言ってるよぉ~…」
ユナの言葉とナナの様子に、セシリアはホッとしながら頷く。
「これからもよろしくね、ナナ」
セシリアがそう言えば、ナナは再び甘えたような声でクゥ~っと鳴いて長い耳をふわふわさせ、尻尾もふわふわにして振りまくる。
あら? ユナやグレンやルリの時みたいに従魔契約みたいなのは感じなかったわ
やっぱり、そういう契約専門の人が居て、正式に契約しないとならないのね
まぁ…別にナナちゃんを縛りたかったわけじゃないしね…いっか
「ようやく名前を付けたのかい」
ルリの言葉に、セシリアはナナの首筋をナデナデしながら答える。
「うん…ナナは私達に付いて来てくれるみたいだから、名前を付けたの……後で、あの子ウクダちゃん達にも名前を付けてあげないとね……一緒に旅をするなら、必要だもの」
セシリアの言動から、母ウクダと長く旅は出来ないと思い、今まで名付けしなかったコトに3人は思い至る。
グリフォンの雛や猫型魔獣の子にはあっさりと名付けしたのに、今まで名付けしなかったのは、ウクダの活動域が縄張り限定だという知識があったセイだと気付いて、ルリはクスッと笑う。
ユナはというと、母ウクダから、なんで名前がもらえないんだろう的なコトを、馬車に付いて来た時に訴えられていたので、何時聞こうかと悩んでいただけに、ホッとしているだけだった。
そして、グレンはというと、実は何も考えていなかったりする。
ウクダが懐くコト自体が珍しい為、そこまで意識が行っていなかったのが実情だったりする。
「ふむ、取り敢えず、その母ウクダは、ナナって名前になったんだな…了解した」
どう反応して良いかわからず、ちょっと事務的にそう言って、結局、探索の間しまわなかった馬車と軍馬達がいる方へと歩き出す。
セシリアは、その後ろ姿を思わず視線で追って、馬車と軍馬をしまわないまま姿見があった場所周辺を探検していたコトを思い出して内心で舌打ちする。
あっちゃー…すっかり、馬車と軍馬達のコトを忘れていたわ
いやね、隠蔽封印をかけたままだったから、気が抜けていたのね
それに、三重の魔法無効魔法掛けられたコトでテンションマックスだったから……
まぁ…ルリもグレンもユナも突っ込まないから、これは知らないふりしよう
それに、危険な子ウクダちゃん達とグリにレオを姿見に入れて気が抜けたセイかも
何にしても、取り敢えず馬車の側に戻って、姿見を出して確認しないとね
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