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0076★あははは……

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 姿見の鏡が置かれていた場所を中心に、丹念に探索したセシリア達が見付けたモノは、巧妙に隠された隠し部屋だった場所に隠されていた石櫃だった。

 この石櫃、セシリア達が何をしても解錠できなかった。
 というか、鍵穴すら見付からないモノだった。

 う~ん…魔力を注いでも、なんの手応えも無いのよねぇ………
 一体、中に何が入っているのかしら?
 大きさ的には、前世のホームセンターに売っていた衣装ケースくらいだけど

 前世知識を総動員して、こういう箱状のモノを開ける為の呪文唱えたんだけどなぁ
 ここは諦めて、ピアス型魔道具の鑑定を起動させよう
 ヤバイもんだったら、このままここに放置で知らないしたいし

 そんなコトを考えながら、セシリアは耳へと指先を無意識持って行きながら、起動の為の魔力を込める。

 ピロ~ンッ………ピッピッピッ………

 聖封の石櫃
 中に入れたモノを時止めして保存できる
 *****が無いと開封されない

 えぇ~……これだけぇ~……情報が無いのと一緒じゃない
 せめて、安全なモノかどうかだけでも確認できないかしら?
 もう一回、鑑定しなおし………

 見えたモノでは情報が足らなかったセシリアは、更に鑑定魔道具に魔力を込める。

 と、更に………ぴっぴっぴっぴろぉ~ん……という音がする。

 聖封の石櫃〔秘されし**を害悪から護る為に青龍の鱗で作られた箱〕
 中に入れたモノを時止めして保存できる
 *****が無いと開封されない
 聖なるモノしか入れられない

 はぁ~……これが限界なのねぇ~………でも、いっか
 取り敢えず、邪悪なモノとか封印したモノじゃないなら
 あとは、時間のある時にでも、ゆっくりと開ける方法を考えよう

 黙って、セシリアの様子を窺っていたルリが口を開く。

 「リア…この石櫃、何かわかったのかい?」

 その問いかけに、セシリアは肩を竦めて首を振る。

 「残念だけど…わからないのよねぇ………ただ、この石櫃の素材って、青龍の鱗らしいわ……あと、聖なるモノしか入れられないらしいわ……取り敢えず、これはアイテムボックスに収納して、どこかでゆっくりと調べましょう」

 そう言って、セシリアはあっさりと手首の腕輪型のアイテムボックスを翳して、石櫃を収納してしまう。
 セシリアが収納したコトを確認し、グレンが聞く。

 「んじゃ、ここはこれで良しとするか? 色々と探してみたけど、他にめぼしいモノはなさそうだし」

 グレンの言葉に、セシリアはもう探し忘れはなないかなぁと周囲を見回せば、今の今まで背中にベッタリとくっついていた母ウクダが、ククククッと鳴いてから、トテトテと歩き出す。

 っていうか、お母さんウクダってあんな風に鳴くのねぇ~……
 ケッケッケッとか言って、ツバとばしをしたりする姿しかん見てなかったけど
 なんで急に、あっちにいったのかしら?

 「あらあら…お母さんウクダちゃん…何処に行くの? もうココを離れるのよぉ……」

 そう言いながらも、やはり気になるセシリアは、母ウクダの後ろ姿を追う。
 トコトコと奥に進み、姿見の魔道具が設置されていた空間へと入って行く母ウクダに、ユナが言う。

 「なんか…あっちにあるみたいだって…お母さんウクダが言ってたよ」

 さっきのククククッて、そういう意味の言葉だったんだねぇ

 「そうなの? 何か残ってたかしら? さっき探した時は何もなかったように見えたけど?」

 追い付いて観たモノは、姿見が設置されていた場所に、母ウクダは前足をかけて、タシタシとしている姿だった。
 ちょうど、隙間から太陽光が差し込み、母ウクダがタシタシしている場所に差し込んで居たので、セシリアはその前足の先をマジマジと見る。

 と、例によって、まだ込めた魔力が消えていなかったコトで、ピアス型魔道具の鑑定が発動する。
 
 ピロ~ンッ………ピッピッピッ………

 ***を設置する場所
 太陽光が差し込んでいる間だけ起動する

 それを見た瞬間、セシリアは本能的に、先ほど腕輪型のアイテムボックスに収納に収納した石櫃をその上に出す。

 良く観たら、置く場所が分かる記号のようなモノがあるじゃない
 四つ角の模様と、石櫃の模様が繋がればいいのかしら?

 「ルリ、グレン手伝って、この石櫃をこの太陽光の当たる場所に置きたいのよ」

 重い石櫃を、グレンとルリがセシリアの指定した場所へと少しずつ移動させる。
 実はこの石櫃、見掛けよりもずっと重かったりするのだ。
 セシリアでは、到底動かせるモノじゃなかったりする。

 「ユナ…この石櫃の角とか面の模様と、床の模様が繋がっているか確認してくれる?」

 その指示に、ユナはかなり掠れて薄くなっている床の模様と、石櫃に描かれている面と角の模様があっているかを確認する。

 「うん………え~…とぉ……グレンお兄ちゃん、ルリお姉ちゃん、逆さまにできる?」

 「逆さまにすれば良いんだね」

 「うん…ここと…ここの模様? が、そうすれば繋がると思う………」

 「取り敢えず、やってみるかい…ゆっくりと転がすよ」

 「おう……んじゃ………」

 呼吸を併せて、ゆっくりと転がすように石櫃の上下を入れ替え、ユナが指さす場所に併せるように設置する。
 と、カチッという音が微かに響き、石櫃を置いた床に魔法陣が出現し、発光して何かが起動する。

 『よくぞ この石櫃を見付け 開封した
  この石櫃には 世界樹の種が納められている

  この大陸の世界樹は 呪詛に穢されて 枯れ果てた
  残された根は地脈に食い込み 呪詛の元となっている

  世界樹の根は 悍ましき怨恨の縛となり果て
  囚われし龍帝を 地脈もろとも封印している

  どうか 世界樹の穢された呪根を浄化し
  再び聖なる 世界樹を育て欲しい

  穢れを免れ 残された種子を
  ここに 封印する

  どうか こころある者の手に渡り
  種子達が 大樹へと育つコトを祈る』

 えぇ~……どうしよう…なんか…また…いらないモノ拾った気がする
 もう…ヒロイン疑惑はお腹いっぱいなんですけど……どうしよう
 って言うが、龍帝陛下の全身を縛っていたのって元世界樹の根なんですか?

 

 
 
  

 

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