上 下
76 / 173

0075★周辺の探索をしよう

しおりを挟む

 ルリとグレンが姿見の魔道具の中を確認して、大丈夫だったというコトで、まずは子ウクダちゃん達とレオとグリを連れて入った。
 母ウクダは、なぜかセシリアの後をついて回るので、そのままでいいだろうというコトになった。

 「さて、心配の元となる子供達は、魔道具の姿見の中に入れたコトだし、馬車と軍馬達はどうする? 取り敢えず、昨日姿見の魔道具を見付けた場所をもう一度確認するんだろう?」

 ルリの言葉に、セシリアもまだろくに見て歩いていないので頷く。

 「うん、そのつもりだよ…運動しないと痩せないしね…筋肉も付けたいし……」

 宝箱から出たフード付きマントを纏っているセシリアに、グレンが注意する。

 「なら、ブーツも魔道具の方にした方が良いと思うぞ。その編み上げブーツ、普通の初心者冒険者用のだろ……なにがあるかわからないから、安全とって替えた方が良い」

 グレンの注意に、普通の編み上げブーツを履いていたセシリアは、納得して頷く。

 「そうだね…昨日も……姿見の中に入っちゃったしね…ちゃんと、履き替えるよ」

 そう言って、セシリアは宝箱から出た妖精のブーツへと履き替える。

 あははは………流石、魔法付与されている魔道具だよねぇ~……
 足が軽く感じるし、編み上げブーツ特有の微妙な拘束感が無くなる
 流石に、墫のような身体だからね、少しでも機動力が揚がるのは良いコトだわ

 なんとなく、軽く踵をトントンとしてみると、足元に魔法陣が浮き上がる。

 「えっ? コレって……こういう魔法も付与されていたんだぁ~……」

 フワッと全身がなにかに包み込まれたような感覚を感じると同時に、更に身体が軽く感じて、セシリアはビックリする。

 「リア、そのブーツって魔道具屋で買ったモンじゃないだろう? もしかして、宝箱から出たヤツか?」

 グレンの問いかけに、セシリアはコクッ頷く。

 「うん…ほら、グレンやルリ達と出合ったロマリス王国の出来たばかりの『ダンジョン』の宝箱から出たモノなんだぁ」

 いや、本当は、その前にある超古代遺跡の『ダンジョン』から出たモノだけどね
 いくつかある古代遺跡からの転移でしか入れないってコトになっている遺跡ね
 突入メンバーによって、出現する敵が変わるっていう厄介な超古代遺跡

 セシリアは、前世の乙女ゲームの知識のお陰で、難なく通過して来た幻扱いの超古代遺跡の中でのコトを思い出す。

 アレは、出現した蟻地獄の底から流れる流砂に乗って入れる特殊な超古代遺跡だからね
 ちゃんと、蟻地獄の開いた顎をかわして、その底へと潜らないと入れないんだよね
 その条件を満たさないと、敵なしで入れない『ダンジョン』なんだよねぇ

 点在する古代遺跡の転移場所から入ると、魔物がわんさか居るんだよねぇ
 なんど、全滅したコトか……妹が課金しまくっていたなぁ~……
 もう…顔さえもわからないけれど………

 そんな顔もおぼろげな妹に対しては、家族としての情をちゃんと感じるのに
 産みの母親とか祖母や、乳母とかのコトは綺麗さっぱり記憶がないのよねぇ
 本当に、復元不可能になったパソコンのデーターのようだわ

 じゃなくて、今は探検よ……せっかく、自由になったんだもん
 私の色と姿をベースに探されたら困るから、さっさと痩せましょう
 食べる量が普通になり、活動的に動けば、自然と痩せれるはずだしね

 そんなセシリアの様子に気付かないグレンは、買い与えられた装備の確認をして頷いていた。

 はぁ~…グレンってイッケメンよねぇ~……
 燃え上がるような長髪が風に靡く姿に、目を奪われちゃうわぁ~
 いったい、何があって奴隷堕ちしたのかしらねぇ……聞かないけど

 奴隷堕ちしたあげくに呪術師の実験体にされていたんだから………
 誰だって、元の出自なんて話したくないわよねぇ……その気持ちわかるし
 私だって、記憶が綺麗さっぱり無い部分あるしね

 横を見れば、ルリも何時の間にか剣を両腰に刺している。

 あれっ? あんな装備あったかなぁ? どっかで見付けてきたのかな?
 まいっかぁ……ルリもどこぞの森の主かなにかだったみたいだし
 そう言えば、文字化けしていて見えなかったのよねぇ……

 そんなコトを考えつつ、セシリアは宝箱から出た杖を取り出す。

 そしてセシリアは、そのコトを思い出す。
 面倒がって、宝箱を開けずに腕輪型のアイテムボックスに中身も見ずに収納したモノがいくつもあるコトを。

 あっ…後で、まんま放り込んだ宝箱も確認しないとなぁ
 ロマリス王国の『ダンジョン』で出現した宝箱をしまったままだわ
 そう言えば、蓋すら開けて無かったわ

 この腕輪型のアイテムボックスって収納に制限がないみたいだから
 ついつい、横着して放り込んだままだったわぁ
 いったい、いくつの宝箱があるかしら……記憶が……

 まぁ…それはあとで確認かな
 取り敢えず、この杖は祝福の杖らしいから………
 この祝福の杖を使って、防護力を上げておきましょうか

 魔法の呪文は……前世の知識通りで良いのかな?
 中二病臭いの唱えるのは恥ずかしいから、無詠唱でしょ
 何より、魔法は想像力が重要なんだよね

 ラノベと乙女ゲーム知識でなんとかなるでしょう……たぶん
 取り敢えず、スライムみたいに物理無効に魔法無効は必須よね
 あとは、状態異常無効もかな?

 そんなコトを考えながら、セシリアは手にした祝福の杖を両手で掲げて時空神様に祈りを捧げながら、仲間達への祝福をかけるのだった。
 声を出さずに祝福したが、かけられた3人はびっくりした表情になる。

 うん…ちゃんとかかったみたいね
 私自身も、ちゃんと魔法がかかったの感じたし
 あとは、持続時間の確認だね

 「リア」

 代表して、グレンがセシリアへと声をかける。

 「うん…取り敢えず、物理無効に魔法無効に状態異常無効っていうのかけてみたよ」

 上手くかけられたコトにホッとして言えば、ルリが呆れたように言う。

 「リア、無駄に魔力を使うのは良くないよ」

 そんなおとな組みとは別に、ユナは目をお月様のようにまんまるくしながら言う。

 「リアお姉ちゃん…すごぉ~い……」

 キラキラした瞳で言うユナに、リアは肩を竦めて言う。

 「実は、初めてなんだよねぇ……どのぐらいの時間、効果あるかも確認しないとだから、安全な場所で…安全な状態の今、確認しておきたかったんだ」

 セシリアの言葉に、なるほどと頷いたグレンとルリは、ならしょうがないかという表情で軽く肩を竦めて頷くにとどめた。
 グレンとルリの様子に、ちょっと内心でホッとしつつ、セシリアは楽しそうに言う。
 
 「それじゃぁ~…昨日、あの姿見の魔道具があった場所周辺を軽く探検しよう………あっ…魔法効果が切れたら教えてね……あえて、隠蔽とかはかけてないから……」

 「「「了解」」」








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵令嬢に婚約破棄されたので、人間やめました

えながゆうき
ファンタジー
 うー、ダイエット、ダイエットー!  子爵家の庭を必死に走っている俺は、丸々太った、豚のような子爵令息のテオドール十五歳。つい先日、婚約者の伯爵令嬢にフラれたばっかりの、胸に大きな傷を負った漆黒の堕天使さ。髪はブロンド、瞳はブルーだけど。  貴族としてあるまじき醜態はすぐに社交界に広がり、お茶会に参加しても、いつも俺についてのヒソヒソ話をされて後ろからバッサリだ。どっちも、どっちも!  そんなわけで、俺は少しでも痩せるために庭を毎日走っている。でも、全然痩せないんだよね、何でだろう?  そんなことを考えながら走っていると、庭の片隅に見慣れない黒い猫が。  うは、可愛らしい黒猫。  俺がそう思って見つめていると、黒い猫は俺の方へと近づいてきた! 「人間をやめないかい?」 「いいですとも! 俺は人間をやめるぞー!!」  と、その場の空気に飲まれて返事をしたのは良いけれど、もしかして、本気なの!? あ、まずい。あの目は本気でヤる目をしている。  俺は一体どうなってしまうんだー!! それ以前に、この黒い猫は一体何者なんだー!!  え? 守護精霊? あのおとぎ話の? ハハハ、こやつめ。  ……え、マジなの!? もしかして俺、本当に人間やめちゃいました!?  え? 魔境の森にドラゴンが現れた? やってみるさ!  え? 娘を嫁にもらってくれ? ずいぶんと地味な子だけど、大丈夫?  え? 元婚約者が別のイケメン男爵令息と婚約した? そう、関係ないね。  え? マンドラゴラが仲間になりたそうな目でこちらを見てる? ノーサンキュー!  え? 魔石が堅くて壊せない? 指先一つで壊してやるよ!  え? イケメン男爵令息が魔族だった? 殺せ!  何でわざわざ俺に相談しに来るんですかねー。俺は嫁とイチャイチャしたいだけなのに。あ、ミケ、もちろんミケともイチャイチャしたいよー?

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

転生後モブ令嬢になりました、もう一度やり直したいです

月兎
恋愛
次こそ上手く逃げ切ろう 思い出したのは転生前の日本人として、呑気に適当に過ごしていた自分 そして今いる世界はゲームの中の、攻略対象レオンの婚約者イリアーナ 悪役令嬢?いいえ ヒロインが攻略対象を決める前に亡くなって、その後シナリオが進んでいく悪役令嬢どころか噛ませ役にもなれてないじゃん… というモブ令嬢になってました それでも何とかこの状況から逃れたいです タイトルかませ役からモブ令嬢に変更いたしました ******************************** 初めて投稿いたします 内容はありきたりで、ご都合主義な所、文が稚拙な所多々あると思います それでも呼んでくださる方がいたら嬉しいなと思います 最後まで書き終えれるよう頑張ります よろしくお願いします。 念のためR18にしておりましたが、R15でも大丈夫かなと思い変更いたしました R18はまだ別で指定して書こうかなと思います

ヒロインに悪役令嬢呼ばわりされた聖女は、婚約破棄を喜ぶ ~婚約破棄後の人生、貴方に出会えて幸せです!~

飛鳥井 真理
恋愛
それは、第一王子ロバートとの正式な婚約式の前夜に行われた舞踏会でのこと。公爵令嬢アンドレアは、その華やかな祝いの場で王子から一方的に婚約を解消すると告げられてしまう……。しかし婚約破棄後の彼女には、思っても見なかった幸運が次々と訪れることになるのだった……。 『婚約破棄後の人生……貴方に出会て幸せです!』  ※溺愛要素は後半の、第62話目辺りからになります。 ※ストックが無くなりましたので、不定期更新になります。 ※連載中も随時、加筆・修正をしていきます。よろしくお願い致します。 ※ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~

SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。 物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。 4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。 そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。 現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。 異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。 けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて…… お読みいただきありがとうございます。 のんびり不定期更新です。

婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな

朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。 !逆転チートな婚約破棄劇場! !王宮、そして誰も居なくなった! !国が滅んだ?私のせい?しらんがな! 18話で完結

婚約「解消」ではなく「破棄」ですか? いいでしょう、お受けしますよ?

ピコっぴ
恋愛
7歳の時から婚姻契約にある我が婚約者は、どんな努力をしても私に全く関心を見せなかった。 13歳の時、寄り添った夫婦になる事を諦めた。夜会のエスコートすらしてくれなくなったから。 16歳の現在、シャンパンゴールドの人形のような可愛らしい令嬢を伴って夜会に現れ、婚約破棄すると宣う婚約者。 そちらが歩み寄ろうともせず、無視を決め込んだ挙句に、王命での婚姻契約を一方的に「破棄」ですか? ただ素直に「解消」すればいいものを⋯⋯ 婚約者との関係を諦めていた私はともかく、まわりが怒り心頭、許してはくれないようです。 恋愛らしい恋愛小説が上手く書けず、試行錯誤中なのですが、一話あたり短めにしてあるので、サクッと読めるはず? デス🙇

どう頑張っても死亡ルートしかない悪役令嬢に転生したので、一切頑張らないことにしました

小倉みち
恋愛
 7歳の誕生日、突然雷に打たれ、そのショックで前世を思い出した公爵令嬢のレティシア。  前世では夥しいほどの仕事に追われる社畜だった彼女。  唯一の楽しみだった乙女ゲームの新作を発売日当日に買いに行こうとしたその日、交通事故で命を落としたこと。  そして――。  この世界が、その乙女ゲームの設定とそっくりそのままであり、自分自身が悪役令嬢であるレティシアに転生してしまったことを。  この悪役令嬢、自分に関心のない家族を振り向かせるために、死に物狂いで努力し、第一王子の婚約者という地位を勝ち取った。  しかしその第一王子の心がぽっと出の主人公に奪われ、嫉妬に狂い主人公に毒を盛る。  それがバレてしまい、最終的に死刑に処される役となっている。  しかも、第一王子ではなくどの攻略対象ルートでも、必ず主人公を虐め、処刑されてしまう噛ませ犬的キャラクター。  レティシアは考えた。  どれだけ努力をしても、どれだけ頑張っても、最終的に自分は死んでしまう。  ――ということは。  これから先どんな努力もせず、ただの馬鹿な一般令嬢として生きれば、一切攻略対象と関わらなければ、そもそもその土俵に乗ることさえしなければ。  私はこの恐ろしい世界で、生き残ることが出来るのではないだろうか。

処理中です...