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0073★どうやら、私を探している親族が居るみたいです

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 ほとんど大河ドラマを観ている気分で、大神官長の思いを観て居たセシリアは、思わずこころから叫ぶ。

 「もぉ~…言ってよぉ~……この墫のような身体になったのって、ご飯を2倍も食べていたセイだってぇ~………その上、胃に負担がかからないように、食欲増進と胃薬までって………それじゃ、太れって言っているようなものじゃない………」

 って、もしソレを知らされても、当時の私には何もできなかったのは確かだけどね
 絶対に、あの王妃様がソレを理由に、執拗に私への虐待するってわかってるしねぇ
 どうして、ああいう性格なのかしらねぇ? 本当に、理解に苦しむわ

 まぁ…世の中には、他人の嘆きを無常の喜びと感じる人もいるのは確かだけど……
 そういう人達が、マンガや小説の悪魔や妖魔のモデルになったのかもしれない
 じゃなきゃ、こういう異世界を夢とかいうカタチで垣間見ているのかもねぇ
 
 そう言えば、前世の会社にも確かに居たわねぇ……そういう人
 俗に言う、お局様とか呼ばれている人
 マンガや小説に出て来るような、仕事のできる責任感の強い人じゃない方のお局様

 とにかく、綺麗な人や可愛い人、特に新入社員に意地悪をして楽しむ人だったわ
 幸いなコトに、私はお局様の標的にならずにすんだけど
 意地悪されている人に対して、なにもできなかったのよねぇ……

 残念なにコトに、私自身が、コミュ症だったから………
 まぁ幸いなコトに、引きこもりにまではならなかったから自力で生活出来たし
 前世では、与えられた仕事を黙々とこなす日々だったし……

 基礎賃金は安い会社だったけれど、残業多かったしねぇ
 それに、ちゃんと残業代は出たから、まだマシな会社だったと思う
 ブラック企業って呼ばれるほどには酷くなかったんじゃないかな……たぶん

 いやいや、前世のコトより…今は、今世の進路を考えないとね
 それにしても、私の記憶には無いけど、質より量でたくさん食べた他に
 浄化された、良質なご飯にオヤツまで食べていたのねぇ……

 そりゃ~……どうやったって、太るよねぇ~……はぁ~……
 まぁ…それが判明したのは幸いだったわぁ~……
 痩せる為の食事制限しようかどうしようか、もの凄く迷っていたからねぇ

 と、無意識に肩を竦めたセシリアは、今まで食べても記憶に残っていない分がもの凄いゼイ肉になっていたと知って、心底ほっとするのだった。

 いやいや、それよりも重大な事実が、分かったのよねぇ
 あのオバサンに、御婆様とお母様と、それに仕える人達が殺されていたのね
 私に対する扱いがもの凄く悪かったのは、逆恨みから来るモノだったのねぇ

 その上、自分の父親まで毒殺しているなんてねぇ
 あげくに、リリエンタール公爵家の宝石鉱山からの産出する宝石手に入れる為に
 逆恨みで憎んでいる私を、自分の娘の代わりに生贄に差し出したなんて

 いや、マジでどこの乙女ゲームやハーレークインのヒロインですか?
 どんどんモブや当て馬から離れて、ヒロインよりの設定が出て来るんですが……
 勘弁して欲しいです………いりません、そんなもの
 
 はぁ~……現在進行形で、私を探している親族がいたのねぇ~
 それも、婚約者候補が2人もいるなんて………むぅ~りぃ~……
 前世を思い出しちゃったら、なおのコト

 どの国かは知らないけど、名乗り出る予定なんて無いわ
 今更、そういう身内意識みたいなモノを感じられないし
 残念だけど、この世界の産みの母親の記憶って無いのよねぇ

 セシリアは、母親や祖母と暮らしただろう、自分の幼少期を思い浮かべようと、意識を向けてみるが、そこには何も感じるモノが無かった。
 あるのは、暗く寒い、痛いツライという負の感情を纏うモノしか見当たらなかった。

 う~ん……やっぱり…そういうのを感じられないなぁ~…
 あの人達に攫われてからが悲惨過ぎて、記憶が消しとんじゃったのかなぁ?
 はぁ~……薄情かも知れないけど、覚えていないから何とも思わないのよねぇ

 幼少期、一緒に暮らしていたはずの人達の記憶も無いんだもの
 そう、母親達と楽しく暮らしていたという、優しい思い出ってモノが無い
 それに、色も失っているから……私を見付けられるとは思わないしね

 私が私としての証明できる、誕生時の色を持っていない
 その上、アゼリア王国での姿を参考にしたら、見付けられるとは思えない
 もしもし、仮に探している人にであっても、しらばっくれる

 取り敢えず、アゼリア王国の力がおよぶ範囲から逃げたいのよねぇ……
 一応、生来の色を失っているから大丈夫だとは思うけど
 龍帝陛下を拘束して、封印していた得体の知れない者もいるようだし

 嗚呼…どうせなら、大神官長様、ちゃんと情報を出して欲しかったわ
 正体不明の父親が居る国の名前とか呟きもしないんだもの
 どうやら、わけありの王子様だったようだけど………

 母親の祖国は隣国? の、その隣りなの? どの国なのかしら?
 どうせなら、国名も口にしてくれれば良いのに………
 そしたら、そっち側は回避して旅するから………

 いや、呟きすら不味いってコトよねぇ~……
 誰に聞かれるかわからないってコトなんでしょうね
 はぁ~……こうして悩んでいても、しょうがないわね

 取り敢えず、私を探す者が居るってコトはこころにとめておきましょう
 幸いなコトに、一緒にいるグレンもルリもユナも、本当の色を知らないんだから
 それに、時空神様に捧げちゃったから、戻る心配も無いはず

 そう言えば、時空神様、ソーセージとか喜んでくれたかなぁ?
 前世で食べたモノの再現したモドキが多いけど
 他人が作ったのも食べたいから、何処かで落ち着いたら色々と広めたいなぁ~

 などと、思うとそれに引き摺られたかのように、スゥーっと意識が一瞬霞んだら、別空間にふわふわとしていた。
 そして、その先では美味しそうに捧げられた夕飯を幸せそうに食べている時空神様の姿があった。


 ーーう~…ん……おいしぃぃぃ~……しあわせぇ~……ーー
 ーーふふふふ…このソーセージっヤツ…パリッとして…じゅうしぃ~ーー
 ーーあの子が捧げる供物って…本当に美味しいんだよねぇ~……ーー

 ーーこころがしっかりと込められているから…ぼくの力にもなるし…ーー
 ーーあの子〔龍〕にあんなコトしたから…見捨てようかと思ったけどーー
 ーーそれも…助けて…砕け散る前に再誕の為の御霊移ししちゃうしーー

 ーーもうしばらくは…黙って観ていようかなぁ~……ふふふふーー
 ーーそう言えば…****が…召喚なんてしようとしているねぇ~…ーー
 ーー……ふむ…放置しようと思ったけど…邪魔しとこうかな………ーー

 ーーこれ以上…混乱と澱みや空間の歪みは迷惑なんだよねぇ……ーー
 ーー修正しないで破棄しちゃおうかと思ったけど……供物くれるしねぇーー
 ーー瘴気の原因を排除してくれるなら……もうしばらく見守ろうかなぁーー

 なとど、かなり怪しい発言をしているのを遠目に観たセシリアは、誰かに呼ばれる声に引かれて、その空間からストンッと本来いる場所へと戻るのだった。


 「………ちゃん………リアお姉ちゃん…おはよぉ~…朝だよぉ~……」

 ユナの声……って、ああ…もう…朝なのねぇ……はぁ~……
 なんか色々と頭の中がグリグリしちゃうコトを観ちゃったけど
 しぃ~らないっとぉ~……本来、私が知るようなモノじゃないしねぇ~……

 「おはよう、ユナ……グレンとルリは?」

 「お外で朝食の準備しているよぉ~……」

 ユナの答えに、セシリアはラグから起き上がり、着替えてフード付きマントを纏い、編み上げブーツを履いて、馬車の外へと出るのだった。





 
 
 


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