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0067★ソーセージを作ります

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 魔道具の姿見の中から転がり出たセシリアは、鏡の中へと姿を消したコトで慌てたグレンとユナに抱きつかれた。
 必死と抱きつく2人にびっくりしつつも、それだけ心配してくれたコトに、こころが暖かくなる。

 うふふふ………こんな風に、私のコトを心配してくれる人が居るって幸せね
 まぁ…あの悍ましい魔道具が外されたからこその自由なのよねぇ
 本当に、婚約破棄して、国外追放にしてくれて幸運だったわぁ~……

 たとえ、国王様や大神官長様が、外す予定をしていたとしても………
 王妃様はああだしねぇ………エイダン王太子は…言うに及ばず
 そして、未来の国王となるエイダン王太子の側近達も、私を粗雑に扱ったもの

 そんな国の生贄なんて、やっていられないわよ
 だいたい、重責を背負わされたって言うのに、おいしい思いなんてしてないし
 私を大事になんて思っていなかったんだから、捨てても良いわよね

 「そうだよ、リアお姉ちゃんが消えちゃってどうしようかと思ったよぉ……」

 「心配したぞリア…鏡の中に消えてしまって………」

 半泣きどころか全開の大泣き状態のユナと、言葉を詰まらせるグレンの腕の温かさに、鏡の中から戻れたコトを実感したセシリアは、大き安堵の溜め息を吐いてから言う。

 「心配をかけて…ごめんね……まさか、鏡の中に転がり入るなんて思ってなかったから……ちょっと……ううん…かなりびっくりしちゃって、直ぐに戻れなかったのよ」

 まぁ…完全に魔力切れしていたから、再稼働と所有の再設定しなきゃいけなかったし
 いやぁ~…それより、姿見の中に入れるなんて思っていなかったから………
 まぁ…姿見の中の検証なんてしていないけど……これは後回しにしましょう

 持って行けるようなら、腕輪型アイテムボックスに収納したいんだけどねぇ
 そうすれば、じっくりと時間をかけて検証できるんだけどなぁ~
 とにかく、今はユナを宥めないとそれもできないのよねぇ

 「ほらほら、泣き止んでユナ……グレンも心配かけたわねぇ………」

 そう言いながら、セシリアは真正面から抱きついて、まだ涙をポロポロと零れ落としているユナの頭を優しく撫でる。
 そんなセシリアの様子を、背後から抱き締めて観ていたグレンの方はハッとして、ソッとその腕を外す。

 グレンは自分がセシリアを離すまいと抱き込んでいたコトに気付き、ちょっと頬を赤らめながら、ユナを慰め続けているコトにホッとしていた。

 うわぁぁ~…なにやっているんだよ、俺……
 いくら、突然リアが鏡の中に消えてびっくりしたからって……あうぅぅ~
 はぁ~…でも、良かったぁ~…リアの意識がユナに向いていて

 流石に、奴隷の俺が、主に向かってこんなコトしたら不味い……けど
 でも、きっと優しいリアはそんなコト…カケラも気にしないんだろうなぁ
 リアの慈愛が、俺やルリとルリの胎の子達に、ユナやレオやグリを救ってくれた

 まぁ……だから、人馴れないウクダ…それも子持ちの母ウクダが懐いたんだろうな
 きっと…野生ゆえのカンが、リアは安全で庇護してくれる人と判断したんだろうな
 事実、リアは母ウクダも、子供のウクダ達も可愛がっている………じゃない

 現実逃避するな、俺
 年代不明の姿見が魔道具で、生きた人(=リア)が入って出て来たんだ
 マジックポーチやアイテムボックスに、生きたモノは収納できない

 その常識が、たった今、くつがえされた
 今よりも古い時代の方が、魔道具が途轍もなく優れていたあかし
 俺だって、アーティファクトと呼ばれるモノが存在しているのは知っている

 実際に、ダンジョンから出る宝箱から、色々と出ているのも事実だし
 俺自身、今は持っていないが、奴隷に堕ちる前には所有していた
 けど、生き物が生きたまま入って、出て来れるモノは見たことが無い

 じゃなくて、リアはよく無事に戻ってこれたなぁ…いや、まじで
 はぁ~…どさくさで抱き締めてしまったけど、リアは気にならなかったのかなぁ?
 いやいやそれより、そろそろユナも泣き止んでくれないかなぁ……

 「ユナ…リアも困っているし、そろそろ泣き止んで欲しいなぁ……それに、眠っていたちびっこ達が起きて、俺達が居ないコトに気付いたら大変だし、戻らないか?」

 グレンの言葉に、頭をグリグリとセシリアの胸に摺りつけていたユナも、その言葉にハッとする。
 ユナはセシリアの身体に回した両腕を外して、目元をコシコシしてから頷く。

 「うん…そうだね……リアお姉ちゃん、取り敢えず馬車に戻ろう」

 泣き止んだユナの言葉に、セシリアはその頭をひと撫でして、にっこりと笑って言う。

 「そうだね、ユナ…」

 そう言ってから、背後に立つグレンを振り返って、セシリアは言う。

 「グレンも、一度馬車に戻ろうか……」

 「ああ……そろそろ、ルリも戻ってくると思うし……夕飯の支度しても良いんじゃないかな」

 「そうだねぇ~……今日はソーセージ作る予定だし………っと、その前に『収納』」

 姿見に向かってセシリアが唱えれば、姿見は腕輪型アイテムボックスにシュッと吸い込まれるように、なんの抵抗もなく収納されたのだった。

 あははは……アイテムボックスに収納できるんだ、姿見の魔道具
 後で、中に生きた動物が居る状態で収納できるか確認しないとね
 もし、生きたモノを入れてアイテムボックスに収納できるならば

 今後の移動とかも色々と便利になるかもだしね
 軍馬ちゃん達が姿見の魔道具の中に生きたまま収納できると良いなぁ~……
 でもって、そのままアイテムボックスに収納できるなら、ダンジョン行きたいな

 そんなコトを考えながら、セシリアはグレンとユナと、後でまた周辺を探検する約束をしながら馬車へと戻った。

 馬車に戻るとほぼ同時に、馬車の扉をカリカリする音がした。
 内側でレオとグリが起きて、ドアを開けてをしているようだった。

 「あらあら…起きちゃったみたいね……グレン、開けて出してあげてくれる? 私は、取り敢えずソーセージを作っちゃうから…ユナはお手伝いしてね」

 「了解、出してメシ食わせておくわ…子供だから細かく食べさせないとなぁ……子ウクダ達も一度出すな」

 「はぁ~い……ソーセージ作り…楽しみぃ~……」

 そんな会話をしていると、トテトテっと母ウクダが近寄って来て、セシリアに『お乳を搾ってぇ~…それで、なにかちょうだい』と訴えて、その手にスリスリする。

 「あらあら……それじゃ、まずはお乳を搾っちゃおうか……そしたら、ご飯を食べようねぇ~………」

 と言って、出合ってからルーティンと化している、母ウクダのお乳搾りをするのだった。
 その間に、ユナはセシリアからの指示で下ごしらえを始めていた。
 グレンは、レオとグリのご飯の準備に取り掛かる。

 お乳搾りを済ませたセシリアは、母ウクダにたっぷりのご飯とお水を与えて、ソーセージ作りをするのだった。
 セシリアは壷に入っている小腸と大腸を取り出し、魔法で洗浄と浄化をすませる。

 その間に、ユナは今まで獲ってストックしてある肉の塊りを、大きな木皿に置いて行く。
 同時に、必要そうな香辛料なども、分量がわからないのである程度の量で小分けにして置いて行く。

 ユナが用意した魔獣の肉の塊を、適当に手に取り、魔法でミンチにする。
 勿論、ミンチし終わったら、そこに卵の実や香辛料などを混ぜて、数種類の肉ダネを作り上げた。

 配分や混ぜ物を変えた数種類の肉ダネを作りあげたセシリアは、洗浄と浄化を済ませておいた小腸と大腸に、空間魔法と風魔法を併用して、器用に詰め込むのだった。

 勿論、刻んだ砂漠桑〔さばくそう〕や砂漠鹿尾菜〔さばくひじき〕などを入れたモノも作ったのは言うまでもない。








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