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0065★廃村はスタンピードで滅んだようです
しおりを挟む「……ちゃん…リアお姉ちゃん………起きて……」
セシリアはユナの呼び声で、目を覚ましてぼぉ~っとした頭で現状を認識する。
あっ…あの見えた廃村?に到着したのかな?
取り敢えず、大神官様の続きを観れたし、現在の場所も把握できたし
それに、時空神様が供物(=昼食)を喜んでいる姿も拝めたわねぇ
そんなコトを思いながら、セシリアは瞼をゆっくりと開きユナの姿を認めて微笑む。
うん…ユナは安定で可愛いわねぇ~………
さて、起こされたってコトは、予定の場所に到着したってコトかしらねぇ
取り敢えず、起こしてもらったから、起きて現在地の確認をしないとだわ
まだぼやけた頭のまま、セシリアはゆっくりと身体への負担が無いように上半身を起き上がらせる。
その際に、かけていた被り物の片側がやや重かったコトを認識していたセシリアはソッとその原因となっていたモノ達へと視線を向けて微笑む。
あらあら…おちびちゃんズは全員、一塊になって寝ていたのね……可愛いわぁ
レオもグリも子ウクダちゃん達と一緒に、ぐっすりと眠ったままなのねぇ~…
気分もすっきりしているから、余剰になっている魔力を分けてあげましょう
そんなコトを何とは無しに考えて、両方の手の平を軽くかざして、魔力を眠る子供達に降り注がせるイメージで照射する。
セシリアは気付いていなかったが、周囲に仄かな光りを放っていた。
はたから観ると、ちょっとした宗教画的な光景だったりする。
が、そんなコト知るよしもないセシリアは、ひと眠りして余った感覚のあった魔力を子供達に注いだあと、ユナに手を伸ばしてその頭を撫でる。
勿論、ユナにも魔力を注ぐコトを忘れない。
「起こしてくれてありがとう、ユナ。もう、予定していた、村があった場所に到着したのかな?」
セシリアに頭を撫でられ、魔力を注がれたユナは、無意識ににこぉ~っと笑って、尻尾をパタパタさせながら頷く。
「うん、廃村に到着したってグレンお兄ちゃんが言ってた。この後、どうするの? 今日は、ここで野営するの?」
小首を愛らしく傾げるユナに、セシリアはクスクスと笑って同じように首を傾げる。
「そうね…お外を確認して、大丈夫だったら、今日はここで野営かな……」
セシリアは、まだ眠っている子供達を起こさないようにソッとラグの上から抜け出す。
寝る時に脱いだ靴下もどきを履いて、革靴のヒモをしっかりと締め上げて縛り、立ち上がる。
はぁ~……こっちの靴はどれも微妙なのよねぇ~………
前世で履いていたような、運動に適した靴が欲しいわねぇ
スポーツシューズとか、スニーカーとか欲しいわぁ~…はぁ~……
無い物ねだりと思いつつも、この世界で自由に行動するのに支障のない履物を選択すれば、いちいちヒモで編み上げるモノしかないのだ。
前世でのスリッポンと呼ばれるような、金具もヒモもない靴は、現在のセシリアの知る範囲には無かったりする。
この辺は、半分は砂漠のような状態だからブーツとか長靴みたいなの欲しいなぁ
履物の丈が短いと砂や小石が入って痛い目にあうのは確実だもの
だからって、ずっと宝箱から手に入れた『精霊のブーツ』を使うわけにいかないし
そう、現在のセシリアは、普通の一般的な女性冒険者が履いている編み上げ式の革でできたブーツを履いているのだ。
はぁ~……本音を言えば、替えがあるなら『精霊のブーツ』ですごしたい
けど、宝箱から出るくらいだから、普通には売ってないよねぇ……はぁ~……
それとも、魔道具の一種として売っているのだろうか?
そう思い、セシリアはさっさとトンズラこいた、ロマリス王国でのお店に並べられていた商品の数々を思い出して首を振る。
確率が低いわねぇ~……冒険者用の品物が置いてあったところに無かったし
とはいえ、補正が無くても良いから、もう少し履き心地が良いの欲しいわ
まぁ…今の私の足だと……こういうのが限界なのかもだけどね
そしてセシリアは、こころ新たにダイエットをしようと思うのだった。
前世でも、体重の変動で靴のサイズが結構コロコロと変わったものねるぇ……
あぁ~あ…また、ダンジョンにでも入って宝箱から探そうかしら?
宝箱から出る履物なら、サイズが勝手に適正値になってくれるモノあるし
そんな埒も無いコトを思いつつ、セシリアは馬車から降りるのだった。
勿論、ユナは楽しそうにセシリアの後について、馬車からおりたのは言うまでもない。
「あれ? グレンは? ルリ? って、どっちも居ないって? 周辺の安全確認かな?」
キョロキョロと周辺を見回すが、グレンの姿もルリの姿も見当たらないコトに、セシリアは?を浮かべて首を傾げる。
「あれ? 本当だね、グレンお兄ちゃんもルリお姉ちゃんも居ないね。何処に行ったのかなぁ?」
ユナもキョロキョロと辺りを見回して首を傾げ、大きなもふもふの耳をピクピクと震わす。
と、微かな音を聴き付けて、ユナがセシリアの手を握る。
「リアお姉ちゃん……あっちの方で何か音が聴こえたよ」
ユナが指で指示した方を向いて、セシリアは小首を傾げてちょっと考える。
ついで、もう一度周辺を見回して肩を竦める。
う~ん…ルリかなぁ? 結構大規模な隠蔽結界が張ってある
私達(セシリアとレオやグリに子ウクダ達)の安全確保したからかな?
お母さんウクダは、優雅にまばらな雑草を食べているみたいね
「それじゃ…そっちに行ってみようか……グレンかルリが居るかもだし……」
「うん」
セシリアは、ユナと手を繋ぎながら、散歩も兼ねて歩き始める。
勿論、耳に付けたピアス型魔道具のを起動させて、周囲を確認しながらである。
耳元で、定番の音が響く。
ピロ~ンッ………ピッピッピッ………
廃村 元ガリア村(廃村になって久しい・年代不明)
小規模スタンピードにより放棄された村
セシリアの耳元で鳴り響いた音を聴き取ったらしいユナは、大きなもふもふ耳をぴくぴくと震わせながら聴く。
「リアお姉ちゃん?」
首を傾げながら見上げられたセシリアは、廃村からユナに視線を降ろして言う。
「うん…ここって…スタンピードで廃村になった村みたいねぇ……年代は不明ってなったから、かなり古い時代に起こったコトみたい……ふふふふ……ユナが聴き取ったのは、コレの起動音……鑑定の魔道具なのよ」
セシリアの説明に、ユナはちょっとホッとした表情で頷く。
「そうなんだ……だから滅んじゃったんだ」
「うん…そうみたいね…だから、どんな村だったかはわからないのよねぇ……」
ユナが音が聴こえたという場所に向かうと、微妙な顔をしたグレンが首を傾げつつちょうど出入口らしき場所から出て来るところだった。
「グレンお兄ちゃんっ」
と、嬉しそうな声をあげたユナと一緒に来たセシリアに気付き、片手を上げながら長い真紅の髪を揺らし、金色の双眸を嬉しそうに細める。
「おう…ユナ…リアと見に来たのか? リア、体調はどうだ?」
ふわぁ~……相変わらずのイッケメンだわぁ~……じゃない
今は、確認よ
「うん、リアお姉ちゃんと見に来たの……」
「ええ…ユナが…こっちから音が聴こえたって言うから……グレンもルリも姿が見えないいから、周辺確認かなと思って………そうそう、ここはスタンピードで滅んだみたい……ただ、年代不明って出たから、住民が事前に逃げて滅んだのか…襲われて滅んだかは判らなかったけど」
そうセシリアが言えば、グレンはなるほどという表情をする。
「そうか…ここは、スタンピードで滅んだ村なのか……」
「それで、グレンはなんで微妙な表情していたの?」
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