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0060★ルリがお土産を持って帰って来ました
しおりを挟むセシリアがお乳を搾り、2つ目の壷が首まで満ちたが、母ウクダの乳房は、まだまだ余裕な状態だった。
あれぇ~……まだ、かなり残ってる……昨日よりも出るの?
ここは、ちゃんと搾っておかないとねぇ……身体に悪いコトになるわね
え~と…開いてる壷は……
と、セシリアが顔を上げれば、葉っぱの採取を頼んだユナが、気付いてにこにこしながら、一回り小さい壷を用意して持って来る。
「はい、リアお姉ちゃん」
手渡された壷を受け取り、思わずユナの頭を撫で撫でしてしまう。
「ありがとう、ユナ。助かったわぁ~……採取は終わってるようだから、グレンところに行ってくれるかな……おイモを茹でてもらっているから、クシで刺して通るならそれで出来上がりだから……もうひとつは炒めて、味付けしたら煮るんだけど…できそうかな?」
セシリアの言葉に、ユナは嬉しそうに頷く。
「うん……グレンお兄ちゃんところ行って来るねぇ……」
「よろしくぅ」
という会話をしながら、セシリアはせっせと母ウクダのお乳を搾り、ユナがグレンのところに行って手伝いを始めてから少しぐらいに、きっちりと搾り終える。
「はい、お母さんウクダちゃん、お疲れ様ぁ……それじゃ、内緒のご褒美を先に上げるわね」
そう言って、セシリアは干した果物を、母ウクダのお口に入れて上げる。
母ウクダは、嬉しそうにモゴモゴしながら、少しも落としたくないと口先を少し上に向けて、もらったモノを食べるのだった。
ユナがナベのところに来たので、グレンが交代でセシリアの側に来る。
「搾り終わったんなら、子ウクダ達に飲ませるんだろう。どれだ?」
グレンの言葉に、セシリアは最初に搾った壷を指さして言う。
「これを器に入れて上げてくれるかな……あと、呑み終わったら、温めたお水も上げてくれる」
そう言いながら、セシリアは搾ったミルクで満ちている大中の壷を、ひとまず腕輪型アイテムボックスへと入れる。
それから、おもむろにユナのいるところに移動するのだった。
そして、セシリアはチラッと茹でているジャガイモもどきを見て、用意しておいたクシでヒョイッと刺す。
うぅ~ん……もう少しかなぁ?……でも、ホクホクで食べたいし
いいや、これはこのまま持ち上げて、余熱でゆで上げでも良いかな
取り敢えず、この腕輪型アイテムボックスにしまっちゃおう
セシリアは、お湯の中のジャガイモもどきを見詰めて小さく呟く。
「収納」
その呟きと共に、煮立つお湯の中からジャガイモもどきが消える。
セシリアは無意識にニコッと笑って、火の代わりの魔石をナベ下から外す。
お湯は後で使うとして、このままだと、お母さんウクダが悪戯しそうね
なんと言っても、時空神様のお供えでさえつまみ食いするんだもの
だから、お乳が張って痛くなるったんだろうけど……
きっと、ぜんぜん懲りてないわよねぇ……
嬉々として、お乳を搾ってぇ~って、私に寄って来ていたし
取り敢えず、面倒だから、お湯はナベごと収納しちゃいましょう
うふっ……ポテトサラダに、バター乗せたジャガバター…美味しそう
あとは、うん…肉じゃがはユナが見てくれているから大丈夫そうね
なら、こっちはフライドポテトを作っちゃいましょう
面倒だから、魔法を多用しちゃいましょう
まずは、水漬けしといた細切りのジャガイモもどきを取り上げて…と
本当に……カラアゲの時にも思ったけど…コレは…便利だわぁ~……
水の中から魔法で分離した細切りのジャガイモもどきを風魔法を使って乾かし、霧状にした油脂をまぶして、高温油で揚げるイメージを投射する。
と、イメージの通りにきつね色よりやや薄めの色合いでジャガイモもどきが綺麗に揚がる。
うふ…魔法って便利だわぁ~……
あの魔道具のセイで、今まで使えなかったけど、私は魔法が使えるわ
よく、魔法はイメージっていうけど、本当よねぇ~……
そう思いながら、セシリアは空間に浮かせたフライドポテトに、塩コショウを軽く風魔法を使ってまぶす。
そして、一本を手に取り、パクリッと食べてみる。
うん…美味しいわぁ~……コレよコレ…はぁ~…コーラー欲しいかも
この世界の野菜って、前世と似たモノが多いから助かるわ
後で、野菜チップスでも作りたいわねぇ~…
勿論、ダイエットのおともとして、油無しで作らないとね
みんなには、ちゃんと油で揚げたの出すけどね
ふふふふ………さーて、パンケーキも作らないとねぇ~……
それから、泣いていた時空神様に、フレンチトーストも追加しないとね
アイスと生クリームは、まだ残っているから、それも添えてあげないとね
私以外、みぃ~んな痩せているから、ちゃんと食べさせてあげないとね
などと思いながら、セシリアは卵もどきの植物の実を使って、昼食用のパンケーキを作り上げる。
ついでに、フレンチトーストも人数分プラスで作って、取り敢えず、腕輪型アイテムボックスにしまい込む。
「さぁーて、肉じゃがはどうかなぁ~…水分がイイ感じに減ってきたけど」
ヒョイッと、自作のお箸を使って、ジャガイモもどきを木でできた小皿に取り上げ、チョイチョイと割って中までの染み具合を見てから、口に入れる。
うぅ~ん…もうちょい味が濃い方が良いかなぁ?
これはこれで美味しいけど………やっぱり、ちょっと違うのよねぇ~……
お醤油に近いモノだけど、味は薄いし少し微妙な臭さがあるんだよね
何を使って………って、そうだ、さっき肉料理やサラダに良いってあったわね
砂漠鹿尾菜〔さばくひじき〕を刻んでパラッと入れたら良いかしらね
火を止めて、器に盛る前に混ぜたほうが良いわね
「ユナぁ~……もう、火の魔石外して良いよぉ~……取り敢えず、蓋してそっちに避けておいてくれるかな?」
と、ユナに指示を出していたら、ルリが丁度良く帰って来た。
ただし、でっかいお土産を背負って。
セシリアのすぐ側に、ドサッと大きな動物を降ろす。
うわぁ~……通常の魔獣状態のルリ並の大きさあるわぁ~……
この動物って、なんという動物かしら?
見た目は肉食獣っぽくないけど………内臓食べるウクダの例もあるからねぇ
この大きな鼻って……前世で絶滅危惧種になっていたのに似ているわ
あれは…そうたしか…サイガとかいうカモシカの一種?いや、ウシ科だっけ?
オオハナレイヨウとか、オオハナカモシカとかいうのに似ている…大きいけど
そんなコトを考えつつ、セシリアは本体の猫型魔獣のままルリに声をかける。
「おかえりなさい、ルリ……大きな獲物ねぇ……捌いてステーキにでもする?」
セシリアの問いかけに、身体をブルッと震わせて、一瞬で人化したルリはハフッと嘆息して言う。
「ただいま、リア…ステーキ…イイねぇ~………あと、ほら…リアが内臓で……そー何とかっていうのとか……うー何とかいう腸詰めの話ししていただろう……こいつなら、作れるんじゃないかい?」
どうやら、ルリはあの時に私が聞いたコトを覚えていてくれたみたい
嬉しい…これで、ソーセージとかウインナーが作れるぅ~………
うふふふ………フライドポテトにウンンナーとかベーコンのセット
「覚えていてくれたんだ…腸詰め……だったら、小腸で作った方が良いかなぁ?……大腸で作っても良いけど……名前の通り…腸で作るのが基本なんだぁ……」
嬉しそうにするセシリアに、にっこりと笑ったルリがグレンを呼ぶ。
「グレン、ちょっと付き合っとくれ……調理は後でも、捌くだけ捌いとかないとね……リアが欲しがっている小腸と大腸を取り除いた内臓は、グリとレオのご飯だからね……全部は食べられないだろうから、母ウクダにもおすそ分けしてあげないとね」
呼ばれたグレンは、ルリと共に巨大なサイガに似た動物を2人で持って少し離れた場所へと移動した。
捌くところを見学する余裕なんてないセシリアは、時空神様へのお供えの準備にとりかかった。
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