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0056★えぇーと…もしかして時空神さまでしょうか?
しおりを挟むふっと…意識だけが覚醒したような感覚なんですけど?
そう思ったセシリアは、何気なしに足元をみる。
足元には、床というモノが存在していなかった。
えっと……もしかして、私ってば、空中に浮かんでいるの?
疑問に思って、再び足元を見れば………。
その下でラグの上で眠っているセシリア自身が見える。
まるで、透明な床にでも立っているような感じねぇ……
それにしても、やっぱり……かなり、デ……げふんげふん…
はぁ~…こうして…上から自分を見ると…いやんなっちゃうわねぇ………
少しは、痩せた気もするけど……まだまだ…樽が転がっているみたいだわ
今の姿が、魔道具を身に付けさせられた結果から来ているとは理解していてもねぇ
その事実を知らない者達から見たら、だらしがない公爵令嬢なんでしょうねぇ
最近は、ただ座っているだけでも、呼吸をするのも苦しいほどになっていたもの
はぁ~…今更だけど……キツイと思いながら、出席した卒業パーティーで………
いわれのない冤罪に断罪、ほんとぉ~にありがとうございますだわぁ~……
お陰で、自由を得られたし、色々なコトを知るコトができたもの
最初があのイベントだったのは、ちょっとアレだったけどねぇ
それにしても、みんな可愛いわぁ~……ルリが寄り添ってくれると暖かいし
側には、レオとグリフォンの雛とユナがコロコロと丸まるようにして眠っていた。
反対側には、人化を解いたルリが、眠るセシリアに寄り添い、眠っていた。
今の状態は、アレね……前世で言うところの幽体離脱ってヤツだわ
この状態なら、グレンやルリに内緒で、周囲の冒険できるわね
まぁ…幽体だから…物に触れないだろうから、見学だけだけどね
ちょっとぐらい良いよね……馬車から離れなければ良いだけだし
そう思ったセシリアは、意識を上へと向けて、こころの中で呟く。
遠くが見渡せる程度…上へ……う~ん……馬車の10メートルくらい上
セシリアが、具体的に意識すると、スゥーと幽体が上昇する。
あはは……簡単に、上昇出来たわ……
けど、このままだと馬車に置いていかれそうねぇ
ふむ…ちゃんと、生身の私と幽体の私を結びつけておかないとダメね
イメージを明確にして、ヒモで縛るしかないわね
馬車の上から勝手に移動しないように、意識のヒモを作り上げ、馬車の中で眠っている生身の身体に結びつける。
これで大丈夫…な…はず……って?……あら?…お母さんウクダよねぇ?……
でも、子ウクダちゃん達の姿が見えないんだけど?
伴奏馬の斜め後ろを楽しそうに走る母ウクダの姿に、セシリアは首を傾げる。
ただ、母ウクダの様子から、子供達を失った悲愴な様子がないので、ちょっと考える。
あらあら……もしかして……んんん?
…ああ……いたいた…馬車のすみで寝ているわね
あはは…子ウクダちゃん達っば、グッスリねぇ……
というコトは、親子でついて来てくれるんだぁ~……
その事実に、セシリアはふふふふと微笑んで、気兼ねなくもう少し上昇して周囲の見学に出る。
ちょっとぐらいならと、上昇を続けて、遠くを見て歩く。
うふふふ………大街道から消えた先に、小街道の名残りがあるわ
もう、途絶えているってコトかしら?
住民の移動があったのかしら?
それとも、過去にスタンピードでもあったのかしら?
ちょっと行ってみたいけど………どうせなら、みんなで探検に行きたい
身体に戻ったら、グレンとルリに相談してみようかなぁ?
さて、あんまり身体から抜け出て、幽体離脱し過ぎると戻れなくなるっていうしね
ちゃんと身体に帰って、今度はちゃんとこころも休ませないとねぇ
そんなコトを意識した途端に、スッと身体に戻った感覚を感じたセシリアは、ボォーとしたまま、まぶたを開いて、馬車の中であるコトを確認する。
ああ、本当に、意識すると一瞬で帰れるのねぇ………
この揺れる感覚が、満員電車で通勤していたコトを思い出せるのよねぇ
などと、思っていたら、何時の間にか意識がフッと跳んでいた。
あら……今度はどこなのかしら?……さっきの続き?
そんなコトをセシリアが考えていると、視界がぼやける。
そしと、奇妙光景を観るコトになった。
ーー嗚呼…また失敗した……何度…やり直ししても……ーー
うん?うん?……聞いたことない音楽的な声?……たぶん、声よね
というか?…アレはなにかしら?
セシリアは、少し離れたところにいる、よく見えない人影へと視線を凝らす。
その人影の視線?の先では、観たコトのあるようなテーブルと、お供え物が映っていた。
えぇ~とぉ~…もしかして、アレって私が時空神様にお供えしたシーン?
アレは、朝食の時のお供え物よねぇ……って、もしかして…時空神様?
ふんわり卵焼きとサイコロステーキに、甘辛照り焼きチキンとカラアゲ
それに、ミルクたっぷりシチューとフレンチトーストにぶどう酒
セシリアの視線の先では、自分がお供えをして祈り、背中を向けて朝食をとる為に、グレンやルリ達のいるテーブルに向かっている姿が映っていた。
背中を向けて直ぐに、近場でその光景をジィーと見ていた、母ウクダがタタタタッと足音もなく、お供えしたテーブルの側を駆け抜ける。
同時に、その口には、しっかりとフレンチトーストが銜えられていた。
ーーああぁぁぁ~…ぼくのフレンチトーストぉ~……ーー
ーー…また失敗したぁ…何度やり直しても盗られちゃうーー
クッスンと鼻を鳴らして、同じ光景が繰り返されるのを、セシリアはぼう然と見ていた。
ーーよし…今度こそ……せっかく…せっかく…捧げられた供物ーー
ーーソレは…ぼくに捧げられたモノなんだぞぉ…盗るなぁぁ……ーー
ーーはぁ~……なんど繰り返しても、あとちょっとがたりないーー
ーーセシリアが背中を向けた瞬間に…取り寄せているのにぃぃぃ……ーー
えぇーとぉー…お母さんウクダってば、お供えくすねてたのねぇ……
もしかして、時空神さまなので、なんども取り返そうとしてたとか……
あれ?…もしかして、つまみ食いしたセイでお乳の張りが強くなったとか?
いや、まさかねぇ…まぁ…でも、あんなお供えでも喜んでくれていたのかなぁ?
しかしフレンチトーストの一切れを、あんなに惜しがってくれるなんて
綺麗に振るった小麦粉と卵もどきとでパンケーキでもお供えしようかなぁ
勿論、フレンチトーストも一緒にお供えしますから、泣かないでください
奮発して、アイスクリームも付けますから………
と、こころの中で思ったところで、セシリアは大きな揺れを感じて、意識が途切れるのだった。
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