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0047★お乳が欲しいんだけど………

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 少し早いお昼込みの休憩を終え、再び、馬車は走り出す。

 ルリの指示で、たっぷりと揚げたカラアゲもどきと甘辛照り焼きチキンは、さめる前に半分に減らされ、ユナが持つマジックポーチにしまわれた。
 その後に、ルリはひとつふたつと口にしてから、ユナにもう半分をしまうように指示した。

 なぜなら、揚げたてと焼き立ての状態で食べたいから、という理由で。
 セシリアもグレンも、揚げたて焼き立てで食べたいと思ったので、反対はしなかった。

 休憩を終えて馬車の中に戻っても、レオとグリフォンの雛は、ぐっすりと眠ったままだった。
 それを見て、ルリが言う。

 「リナ…魔力に余裕があるなら、レオと…そのグリフォンの雛に魔力をあげな……診たところ、まぁーだまだ…足りてないみたいだからね……だだし、アタシが止めたらちゃんとやめるのよ」

 「うん…了解……っと、ルリは?」

 「アタシは後で良いよ………あと、寝る前に、グレンにも魔力あげなさい……あいつだって、口にしないけど、キツイはずだからね」

 まったく……魂がボロボロだったってーのにと心配して怒るルリに、セシリアはクスッと笑ってしまう。

 本当に、ルリってば、魔獣のはずなのに、心配性なのよねぇ
 とはいえ、私も、グレンの魂の状態は気になるのよねぇ………

 そういうのを視る能力はないからなぁ……はぁ~……
 あっ…そう言えば、私の魔法の適性って何だったんだろうなぁ

 幼い頃から、あの悍ましい魔道具のセイで、ろくな魔法を発現出来なかったから
 いや…でも…『ライト』と『ヒール』は、失敗なく使えたわよねぇ

 どうも、あれ(=娯楽観劇)でいくと、魔力量がもの凄くあったみたいだけど
 そのほとんどを、私は浄化に使っていたようね

 まぁ…だから、光り属性的なモノには、適性が強いのかも知れないわね
 1度、どこかの神殿で確認したいところだけど………はぁ~……無理かな?

 もう、利用されるのはイヤだもん
 膨大な魔力量があるってわかったら……不味い気がするわ

 なんて考えている間に、うつらっとなって何時の間にか眠ってしまいました
 が、今回はなぁーんにも、夢に観なかった………残念

 などと考えている間に、再び馬車は停まり、今日の野営地だそうです
 聞いたら、2度ほど小休止したって………あうぅぅ~………

 なぜ、起こしてくれなかったの?って、言える雰囲気じゃないです
 私が寝ている間に何かあったのかなぁ?

 でも、聞きませんよ……そんな怖いコト
 取り敢えず、今日は、食後のデザートが欲しいです

 お昼に作った甘辛照り焼きチキンとカラアゲもどきがありますからね
 あとは、具だくさんのスープを作りたいですね

 今日は、小麦粉を使ってシチューが良いんだけど………はぁ~……
 ミルクが無いんだよねぇ……買ってない(涙)

 その辺で、お乳が採れる動物っていませんかねぇ………
 この際、魔獣でも良いから…いないかなぁ?

 こういう時には、ルリかグレンに聞けば良いのかな?
 ユナは、そういう情報を持ってなさそうだしね

 ちょっと雰囲気が悪いけど、ミルクが欲しい
 ガンバレ、私

 「ルリぃ~…グレン~……この辺で、ミルクが採れる動物っているぅ?」

 そう聞くセシリアに、グレンとルリが首を傾げる。

 「ミルク?……ああ、乳のことかい………う~ん……」

 「遊牧民っぽいのも見てないからなぁ………」

 そんな2人をよそに、たたっとユナが何処かに走っ行く。

 いや、隠蔽結界、かなり大きく張ってあるから、大丈夫だけど
 ユナは、何処に行ったのかしら?

 「リア、その乳って何に使うんだい?」

 ルリの問いかけに、セシリアは既にアク取りも終わっているスープを見て言う。

 「うん、出来たらシチューにしたかったんだよねぇ…バターも無さそうだし…はぁ~」

 残念そうなセシリアに、何処かに消えていたユナが、前世のラクダのような動物を連れて帰って来た。
 その足もとには、小さな子供が3匹いた。

 そしてよく見ればどの子供も傷だらけで、母親らしきラクダ?もかなり傷だらけだった。

 えっ…ユナってば、こんな大きなの捕まえてきたの?
 いや…子供が居ないとお乳を絞れないけど………

 と、言葉に出来なくて、困っていれば、ルリが直接的に聞く。

 「ユナ、あんたが捕まえて来たのかい?」

 「ううん……お願いして来てもらったの……みんな怪我してるから…リアお姉ちゃんなら治せるでしょ……その代わりに、お乳を分けてって………」

 その言葉に、内心ちょっとホッとしながら、セシリアはさっさと癒しを発動させる。

 「ヒール」

 仄かな発光と共に、全身を包まれたラクダ?の親子は、傷ひとつなくピカピカになる。
 そして、捨てずにとっておいた内臓の入った壷をテテンッと出して、大き目の壷を母親に、子供達には大き目の少し深めのお皿に出してあげる。

 えっ?……そんなモノ食べるの?……えぇぇぇ?ラクダじゃないの?
 いや、でも、お乳くれるなら良いか……考えてもわからないから………

 「ねぇ…グレン…あれって…ラクダ?」

 前世の知識で聞けば、グレンは首を振る。

 「ラクダってヤツは知らないけど……アレは、ウクダってヤツで、滅茶苦茶狂暴な動物だぞ」

 「ルリ?」

 「グレンの説明であっているよ……もの凄く狂暴なヤツで、ウサギみたいに耳が長くて多産なんだよ……かなりの雑食で、どこかの国とか遊牧の民が、家畜にしようとして、挫折ったって話しがあるね」

 「ああ……おとなしいのを捕獲しようとして、家畜にしようとして、失敗した話しは多いな………妊娠中や子育て中は、肉食化が激しいって聞いたが、本当らしいな…アレ見ると」

 ふむ…どうやら……前世のラクダとは、だいぶ違うみたい
 雑食で肉食化するねぇ……私は、お乳さえもらえれば良いんだけど

 ユナがお話しをして、親子を連れて来たみたいだから大丈夫かな
 取り敢えず、食べ終わったら話しかけてみよう

 ウクダって…頭も良さそうだしね
 今日の必要な分だけ、わけてもらえれば良いんだし









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